初版発行日 2016年2月25日
発行出版社 中央公論新社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
警視庁内に存在する深い闇に十津川が切り込む!
警視庁内に存在する深い闇に十津川が切り込む!
あらすじ
警視庁捜査一課の警部・佐々木は、一人娘さくらが病気で余命半年と宣告されたため、警視庁を退職し二人で旅行に出た。しかし、鳴門の「渦の道」でさくらは何者かに誘拐されてしまう。解放の条件として、射撃大会で優勝したこともあるその腕で、二日以内に現警視総監を射殺せよと命じられる…。
小説の目次
- 渦の道
- 巨大な計画
- 狙撃
- 殺人現場の確定
- 「風が変わるか」
- 罠と罠と
- 最終章
冒頭の文
佐々木圭、三十九歳は、警視庁捜査一課の元刑事である。三年前の夏に、彼は、妻の由美を、失った。
小説に登場した舞台
- 新神戸駅(兵庫県神戸市中央区)
- 明石海峡大橋(兵庫県神戸市垂水区&淡路市)
- 大観覧車 淡路サービスエリア(兵庫県淡路市)
- 洲本温泉(兵庫県洲本市)
- 大鳴門橋(兵庫県南あわじ市&徳島県鳴門市)
- 渦の道(徳島県鳴門市)
- 鳴門の渦潮(兵庫県南あわじ市&徳島県鳴門市)
- 鳴門公園(徳島県鳴門市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
事件関係者
- 佐々木圭:
39歳。元警視庁捜査一課の刑事。娘が余命半年と知らされ、警視庁を退職する。 - 佐々木由美:
佐々木圭の妻。3年前、病死する。 - 佐々木さくら:
16歳。佐々木圭と由美の娘。母と同じ病気で余命半年と診断される。鳴門の渦の道で何者かに誘拐される。 - 原田一郎:
私立探偵。元警視庁の刑事。佐々木圭の友人。 - 野沢明:
シナリオライター。 - 三村雄介:
50歳。警視総監。月島のマンションに在住。 - 早川:
副警視総監。 - 池内:
法務大臣。 - 黒田:
警察庁の長官。 - 春山俊:
銃マニアの男。ホテルで撃たれて死亡する。 - 小西あかり:
医師。 - 木元勝之:
正気の館のリーダー。
印象に残った名言、名表現
なし。
感想
本作は、警視総監の殺害を企て、警察組織を塗り替えようとする一味との抗争を描いた作品である。抗争としては壮大なものであり、警視総監、副警視総監、法務大臣、総理大臣の名前まで登場するようなものであったが、逆に、大味になってしまったという印象である。
登場する人物が上層部すぎるので、警視庁の刑事が動いているのが不自然に見えるし、感情を揺さぶられることもなかった。
序盤、警視庁を辞めた刑事と娘とのストーリーは良かっただけに、後半大味な展開になってしまったのが残念である。また、最後は完全にスッキリという終わり方ではなかった。モヤモヤする一方、余韻を残した終わり方にも見える。
終わり方については、賛否両論あるだろう。個人的には余韻が残ってよかったと思っている。
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