初版発行日 1981年4月25日
発行出版社 光文社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
意表をつく物語の展開に、息をのみ、酔いしれる本格推理。
意表をつく物語の展開に、息をのみ、酔いしれる本格推理。
あらすじ
国鉄総裁あてに送られてきた爆破予告の手紙!国鉄当局と警察は対策に苦慮していた。一方、”国鉄全線完乗”を目指す男が殺され、しかもその腕時計のアラームが爆破予告時刻にセットされていた。十津川警部の調査で、犯人の恐るべき計画を知った捜査側は、190本の全夜行列車に厳戒態勢をしくが……。
小説の目次
- 夜行列車
- 東京駅
- 合同会議
- 青森
- 警告
- 砂丘の影
- 架線事故
- 午前三時の男
- 退職者
- 大安吉日
- 謎を追って
- 郡山駅
- 女性会員
- 四月十三日
- 午前三時へ
- 脱出へ
冒頭の文
北野浩は、小柄で、あまり見栄えのしない男である。
小説に登場した舞台
- 東京駅(東京都千代田区)
- 寝台特急「出雲1号」
- 寝台急行「ゆうづる5号」
- 青森駅(青森県青森市)
- 特急「はつかり11号」
- 鳥取砂丘コナン空港(鳥取県鳥取市)
- 鳥取砂丘(鳥取県鳥取市)
- 鳥取駅(鳥取県鳥取市)
- 鳥取駅前商店街(鳥取県鳥取市)
- 福知山駅(京都府福知山市)
- 特急「はまかぜ2号」
- 大阪駅(大阪府大阪市北区)
- 郡山駅(福島県郡山市)
- 新大阪駅(大阪府大阪市淀川区)
- 郡山駅(奈良県大和郡山市)
- 中野駅(東京都中野区)
- 三鷹駅(東京都三鷹市)
- 熱海駅(静岡県熱海市)
- 五反田駅(東京都品川区)
- 戸越銀座駅(東京都品川区)
- 名古屋駅(愛知県名古屋市中村区)
- 神泉駅(東京都渋谷区)
- 京都駅(京都府京都市下京区)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 小川:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 桜井:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 安井:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
青森県警
- 三浦:
青森県警捜査一課の刑事。 - 小野:
青森県警捜査一課の刑事。 - 江島:
青森県警捜査一課の警部。
国鉄関係者
- 北野浩:
国鉄総裁秘書。 - 木本:
国鉄総裁。 - 小野田:
国鉄副総裁。 - 山本:
国鉄の運転局長。 - 後藤:
公安本部長。 - 浅野:
寝台特急「出雲1号」の車掌。 - 中村:
寝台特急「出雲1号」の車掌。 - 松木:
寝台特急「出雲1号」の車掌長。 - 堀:
寝台特急「出雲1号」の専務車掌。 - 井上:
寝台特急「出雲1号」の専務車掌。 - 川島:
寝台特急「出雲1号」の荷扱専務車掌。 - 下田:
東京駅の駅長。 - 日下部淳:
国鉄職員。小山ひろ子の結婚相手。神泉のマンションに在住。
事件関係者
- 氷室悠子:
25歳。太陽製薬の社員。世田谷区代田橋のアパートに在住。 - 藤代友彦:
30歳。太陽製薬業部第一課の社員。氷室悠子の恋人。国鉄全線の完乗を目指している。「東京鉄道同好会」の会員。青森駅構内で死体となって発見された。 - 中河英男:
29歳。元水上建設の社員。「東京鉄道同好会」の会員。現在行方不明。 - 松原久仁枝:
26歳。三鷹のアパートに在住。「東京鉄道同好会」の会員。自宅でガス自殺を図ったが未遂に終わった。 - 小山ひろ子:
24歳。「東京鉄道同好会」の会員。戸越銀座のマンションに住んでいたが引っ越した。
その他の登場人物
- 北野君子:
北野浩の妻。 - 宮下:
太陽製薬業部第一課の課長。 - 佐々木:
太陽製薬の社員。藤代友彦と大学時代からの友人。 - 新井:
出版社の「チャレンジ20000キロキャンペーン事務局」に勤務。 - 折原伸子:
K大学に通う大学生。笹塚のマンションに在住。寝台寝台「出雲1号」に乗っていた。 - 戸谷尚子:
K大学に通う大学生。折原伸子の友人。寝台寝台「出雲1号」に乗っていた。 - 小早川進:
40歳。四谷三丁目にある出版社の編集者。「東京鉄道同好会」の会長。 - 鈴木:
新宿にある水上建設の会計課長。 - 矢野:
水上建設の社員。 - 真田功子:
新宿西口にある銀行に勤務。中野に在住。「東京鉄道同好会」の会員。 - 長沼洋子:
35歳。明大前にあるスナック「ピエロ」のママ。「東京鉄道同好会」の会員。 - 佐藤:
37歳。弘前のタクシー運転手。 - 藤堂:
新宿にある青年会館の館長。
感想
謎、謎、謎。読み進めるほどに、謎が深まっていく、極上のミステリーだったと思う。
本作では、何度も夜行列車のシーンが登場し、刑事たちが実際に乗ったり、時刻表を検証して、捜査を進めていく。その緻密さは凄まじいものだった。
殺人事件や爆破予告という派手なシーンもあるが、基本的には殺された藤代友彦が歩んだ道程の謎を追い、犯人の追跡を行っていくのがメインになる。
緊張感、緊迫感がずっと続く展開は、手に汗握る。読者を最後まで飽きさせないサスペンスフルな展開。本作は、ミリオンセラーにふさわしい、作品だった。
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