初版発行日 1983年7月15日
発行出版社 光文社
スタイル 短編集
私の評価
不可解な事件の謎を解くカギは時刻表。十津川警部の名推理が真相を暴く!トラベル短編推理集!
あらすじ
1.「雷鳥九号」殺人事件
大阪発金沢行特急「雷鳥九号」の車内で東京の貴金属商が射殺された。若い女性が容疑者として捜査線上に浮かぶが、事件は思わぬ方向に。金沢でも代議士が射殺され、同一凶器、同一時刻の犯行と断定されたのだ。
2.幻の特急を見た
短編集「東海特急殺しのダイヤ」に収録。下記を参照↓↓
→「東海特急殺しのダイヤ」
3.急行「だいせん」殺人事件
新井久美子は、同じ会社で働いていた三浦秀人と結婚することになった。三浦は久美子と同じ東西商事の社員だったが、退職して柳田という男と一緒に、大阪で人事興信所を立ち上げたという。結婚式をあげた久美子と三浦は、新婚旅行で山陰に出かけることになり、寝台車つきの急行「だいせん5号」に乗った。が、急行の車内で三浦が何者かに刺殺されてしまう。久美子は三浦の共同経営者・柳田に疑惑を抱く。
4.殺人は食堂車で
短編集「東海道殺人エクスプレス」に収録。下記を参照↓↓
→「東海道殺人エクスプレス」
5.夜行列車「日本海」の謎
十津川警部の妻・直子は、結婚前まで働いていたデザイン会社で再びインテリアデザイナーとして働くことになった。とある仕事のために京都に訪れた直子のもとに、5年前に離婚した前夫の脇坂和男から電話がある。大事な要件があるから会いたいという。待ち合わせ場所の六角堂に訪れた直子だったが、何者かに眠らされてしまう……。
小説に登場した舞台
1.「雷鳥九号」殺人事件
- 特急「雷鳥九号」
- 近江今津駅(滋賀県高島市)
- 敦賀駅(福井県敦賀市)
- 福井駅(福井県福井市)
- 九頭竜湖(福井県大野市)
2.幻の特急を見た
短編集「東海特急殺しのダイヤ」に収録。下記を参照↓↓
→「東海特急殺しのダイヤ」
3.急行「だいせん」殺人事件
- 大阪駅(大阪府大阪市淀川区)
- 急行「だいせん5号」
- 三田駅(兵庫県三田市)
- 松江駅(島根県松江市)
- 大社駅(島根県・大社町)
- 福知山駅(京都府福知山市)
4.殺人は食堂車で
短編集「東海道殺人エクスプレス」に収録。下記を参照↓↓
→「東海道殺人エクスプレス」
5.夜行列車「日本海」の謎
- 京都駅(京都府京都市下京区)
- 三条柳馬場(京都府京都市中京区)
- 詩仙堂丈山寺(京都府京都市左京区)
- 六角堂(京都府京都市中京区)
- 特急「雷鳥3号」
- 富山駅(富山県富山市)
- 新大阪駅(大阪府大阪市淀川区)
- 京都貨物駅(京都府京都市下京区)
登場人物
1.「雷鳥九号」殺人事件
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 桜井:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 青木:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 金子:
警視庁捜査二課の警部。 - 久木:
「雷鳥九号」の車掌長。 - 井手:
福井県警捜査一課の警部。 - 浜村:
福井県警捜査一課の警部補。 - 大牟田:
福井県警の本部長。 - 福井県警の本部長。:
都内にある羽田工業の社長。特急「雷鳥九号」の車内で射殺される。 - 松山:
羽田工業の副社長。 - 三浦由美子:
新宿西口にある商事会社に勤務。世田谷区深沢のマンションに在住。 - 河原俊夫:
当時29歳。都内の中学校の美術教師。去年の十一月、九頭竜湖で水死体となって発見された。警察では自殺と処理された。 - 川原明:
河原俊夫の弟。 - 瀬能久太郎:
福井県選出の代議士。金沢市内の空き家の床下で射殺体となって発見された。 - 井上:
27歳。三浦由美子が勤務する商事会社の社員。 - 清水弘:
35歳。サラリーマン。雷鳥九号に乗っていた乗客。 - 片岡慶:
三浦由美子を弁護する弁護士。 - 山本:
検事。 - 鈴木勇一:
保線区員。 - 奥田信介:
保線区員。 - 井川:
大阪科研の技官。 - 原田:
金沢大学病院の外科部長。
2.幻の特急を見た
短編集「東海特急殺しのダイヤ」に収録。下記を参照↓↓
→「東海特急殺しのダイヤ」
3.急行「だいせん」殺人事件
- 新井久美子:
東西商事の社員。東京生まれ。 - 三浦秀人:
27歳。新井久美子の夫。大阪で人事興信所「三柳調査事務所」を営む。東西商事の元社員。大阪生まれ。雷鳥九号の車内で何者かに刺殺される。 - 柳田:
30歳。「三柳調査事務所」を三浦秀人と共同で営む。 - 秋元:
島根県警の警部。 - 加藤:
島根県警の刑事。 - 新井文子:
新井久美子の母親。 - 木下徹:
新大阪駅近くにある太陽商事の営業所長。
4.殺人は食堂車で
短編集「東海道殺人エクスプレス」に収録。下記を参照↓↓
→「東海道殺人エクスプレス」
5.夜行列車「日本海」の謎
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 十津川直子:
十津川警部の妻。結婚前まで働いていた新宿にあるサン・デザイン工房でインテリアデザイナーの仕事をすることになった。 - 田辺:
新宿にあるサン・デザイン工房の社長。 - 脇坂和男:
十津川直子の前夫。富山市内に在住。京都のモーテルで刺殺される。 - 脇坂晋一郎:
脇坂和男の父親。富山にある「脇坂物産」の社長。一ヶ月前に病死した。 - 脇坂信子:
脇坂晋一郎の妻。 - 脇坂俊彦:
29歳。脇坂晋一郎の息子。「脇坂物産」の販売部長。 - 脇坂竜也:
27歳。脇坂晋一郎の息子。「脇坂物産」大阪支店の支店長。 - 小野:
京都府警捜査一課の警部。 - 山田:
脇坂和男の高校時代の友人。 - 守田:
京都にある大学病院の医師。 - 小林:
京都貨物駅の駅長。
印象に残った名言、名表現
■ひとり旅なら北陸路。
ひとり旅なら北陸路、という歌の文句がある。
北海道でも、九州でもいいわけだが、なぜか、北陸には、ひとり旅が似合っている。北陸という風土のせいだろうか。冬の鉛色の空と、荒れる日本海、吹きつける北風、そんなものが、人々に、ひとり旅の孤独を思い起こさせるのかもしれない。
感想
本作は、列車トリックが鮮やかな5つの作品が収録された短編集である。ただし、急行「だいせん」殺人事件だけは、十津川警部シリーズではない。
いずれも、トラベルミステリーとしての旅情あふれる作品であったが、表題作である「雷鳥九号」殺人事件は、琵琶湖から北陸にかけての描写が、特に秀逸だった。
これぞ、哀愁のトラベルミステリーであろう。
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