初版発行日 2019年11月20日
発行出版社 小学館
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
十津川警部が、太平洋戦争から続く日韓関係の闇に切り込む!
十津川警部が、太平洋戦争から続く日韓関係の闇に切り込む!
あらすじ
網走刑務所で受刑中の堀友一郎という男が十津川警部に会いたいと言ってきた。余命わずかとなった堀は、15年前に仙山線の八ツ森駅で知り合った“めぐみ”という女性に、自分の写真を渡してほしいという。八ツ森駅は仙山線の中間地点、仙山トンネルの山峡にある秘境駅だった。訪れた十津川は、知り合った鉄道マニアの小林雄作から、その女性は山中愛ではと知らされた。堀は亡くなったが、写真立てを調べると京都での殺人事件の犯人につながる文字が残されていた。16年前の10月23日に、京都の旅館で韓国大使が殺害されており、未解決事件となっていた。調べを進めていくと、韓国で国宝級の器が事件に絡んでいることがわかってきた。
小説の目次
- 最後の偉業
- 京都の事件
- 招待状
- 朝の菊
- 誇りについて
- 歴史認識の罠
- 終わりの始まり
冒頭の文
警視庁捜査一課の十津川警部は突然、上司の三上本部長に呼ばれた。
小説に登場した舞台
- 女満別空港(北海道・大空町)
- 網走警察署(北海道網走市)
- 仙台駅(宮城県仙台市青葉区)
- 作並駅(宮城県仙台市青葉区)
- 八ツ森駅(宮城県仙台市青葉区)
- ニッカウヰスキー仙台工場宮城峡蒸溜所(宮城県仙台市青葉区)
- 作並温泉(宮城県仙台市青葉区)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 京都駅(京都府京都市下京区)
- 奥新川駅(宮城県仙台市青葉区)
- 一条戻橋(京都府京都市上京区)
- 嵐山駅(京都府京都市右京区)
- 湯豆腐 嵯峨野(京都府京都市右京区)
- 軽井沢駅(長野県・軽井沢町)
- 旧軽井沢(長野県・軽井沢町)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 長谷川:
京都府警の警部。 - 片桐:
京都府警の警部。 - 木村:
京都府警の刑事。 - 太刀川:
長野県警捜査一課の警部。 - 十津川直子:
十津川警部の妻。
事件関係者
- 堀友一郎:
網走刑務所に服役中の男。肺がんを患い余命わずか。十津川警部に15年前、仙山線の八ツ森駅で知り合った“めぐみ”という女に写真を渡してほしいと頼む。 - 山中愛:
30歳。京都の和菓子屋の娘。看護師。李静子の姪。堀友一郎が出会った”めぐみ”。 - 李青英:
15年前に殺害された韓国大使。 - 李静子:
李青英の妻。日本人。京都の家元の娘。 - 小林雄作:
40歳。鉄道マニア。「秘境駅探索クラブ」の会員。北千住のマンションに在住。 - 滝川武史:
70歳。京都の生花会の重鎮。 - 合田恵太郎:
82歳。銀座に本社のある「合田ファースト」の会長。旧軽井沢の別荘で死体となって発見された。 - 榊原友治:
代議士。16年前に病死している。 - 榊原友彌:
榊原友治の息子。若手の代議士。 - 藤安幸平:
京都にある旅館「藤」の当主。
その他の登場人物
- 大石:
京都の実力者。 - 羽田野:
京都大学の教授。朝鮮半島と日本の歴史が専門。 - 吉田正志斉:
京都在住。陶器類に詳しい。 - 佐貫:
文部科学大臣の秘書官。 - 山本:
大学教授。東洋史の専門。
感想
本作は、16年前に起こった未解決の韓国大使殺害事件が根幹であり、その背景として、日本と韓国の歴史や関係が解説されていくという流れであった。
ただ、本作のタイトルは「仙山線<秘境駅>の少女」である。確かに、仙山線が舞台として登場したし、網走刑務所に服役中の堀友一郎が山中愛と出会った場所として、捜査の発端にもなる欠かせない場所であった。
だが、本作の舞台の中心はどこか?と言われれば、京都である。作中には京都の解説の方が詳しくされているし、京都人の気質についての解説も多々あったのである。
だから、タイトルを京都を連想させるものの方がふさわしいと思うし、あるいは、最後まで仙山線を舞台にするべきだったと思う。
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