初版発行日 2000年3月30日
発行出版社 文藝春秋
スタイル 短編集
私の評価
罠にかけられた男を救えー傑作トラベルミステリー五編収録。
あらすじ
1.殺し屋Aの記録
青梅の山林で見つかった2人の死体はよく似ていた。2人とも背広を着て死化粧されていたのだ。捜査を開始した十津川警部は、二人の被害者の共通点を探るが見当たらず、捜査は暗礁に乗り上げる。そんな中、第3、第4の死体が発見される……。
2.タイムカプセル奪取計画
短編集「欲望の街 東京」に収録。下記を参照↓↓
→「欲望の街 東京」
3.阿蘇幻死行
短編集「阿蘇・鹿児島殺意の車窓」に収録。下記を参照↓↓
→「阿蘇・鹿児島殺意の車窓」
4.下田情死行
私立探偵・橋本が受けたある依頼ー。それは、二年前に突然引退した女優・白石由加里を捜すこと。簡単に居場所を見つけ出した橋本は、由香里の部屋で話をするうちに、意識を失う。病院で目覚めた橋本は驚愕の事実を知らされた。由加里は死んでいたのだ。無理心中の疑いをかけられた探偵を助けるため、十津川警部が立ち上がるー。
5.道後温泉で死んだ女
短編集「湯けむりの殺意」に収録。下記を参照↓↓
→「湯けむりの殺意」
小説に登場した舞台
1.殺し屋Aの記録
- 青梅(東京都青梅市)
2.タイムカプセル奪取計画
短編集「欲望の街 東京」に収録。下記を参照↓↓
→「欲望の街 東京」
3.阿蘇幻死行
短編集「阿蘇・鹿児島殺意の車窓」に収録。下記を参照↓↓
→「阿蘇・鹿児島殺意の車窓」
4.下田情死行
- 修善寺温泉(静岡県伊豆市)
- 蓮台寺温泉(静岡県下田市)
- 河津温泉(静岡県・河津町)
5.道後温泉で死んだ女
短編集「湯けむりの殺意」に収録。下記を参照↓↓
→「湯けむりの殺意」
登場人物
1.殺し屋Aの記録
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。 - 井上徹:
25歳。N建設東京本社に勤務。福井出身。上井草のマンションに在住。1週間前、青梅の山林で死化粧された状態で発見された。 - 神木均:
42歳。M銀行新宿支店の貸付課に勤務。狛江に在住。青梅の山林で死化粧された状態で発見された。 - 神木礼子:
神木均の妻。 - 浅野:
M銀行新宿支店の支店長。 - 木村:
M銀行新宿支店の行員。神木均の同期。 - 岸本やよい:
25歳。三鷹にあるR病院の看護師。青梅の山林で死体となって発見された。 - 鈴木京子:
R病院の看護師。岸本やよいの友人。 - 夏川ミキ:
64歳。新興宗教「真輝会」の教祖。昨年死亡している。 - 吉岡昌夫:
46歳。明大前にあるバイク店の店主。あきる野市の山林で死化粧された状態で発見された。 - 吉岡文子:
40歳。吉岡昌夫の妻。 - 本西:
新宿にあるサラ金「ホープサービス」の支店長。 - 鹿島静山:
52歳。占い師「鹿島易断」の店主。本名は田所信太郎。青森出身。 - 井村稔:
29歳。建築会社に勤務。1年前、ラーメン店の開業について「鹿島易断」に占いに行った後、行方不明になる。 - 井村みどり:
井村稔の妻。 - 片桐美奈:
20歳。去年の2月に「鹿島易断」に占ってもらった女性。その後行方不明になる。 - 片桐京子:
片桐美奈の母親。
2.タイムカプセル奪取計画
短編集「欲望の街 東京」に収録。下記を参照↓↓
→「欲望の街 東京」
3.阿蘇幻死行
短編集「阿蘇・鹿児島殺意の車窓」に収録。下記を参照↓↓
→「阿蘇・鹿児島殺意の車窓」
4.下田情死行
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 橋本豊:
私立探偵。元警視庁捜査一課の刑事で、十津川警部の元部下。 - 藤原俊二:
中央映像のプロデューサー。自宅で死体となって発見された。 - 白石由加里:
25歳。元女優。2年前に引退。本名は石川ゆか。蓮台寺温泉の自宅で死体となって発見された。 - 小林あき子:
OL。 - 加代:
河津温泉近くのガソリンスタンドのサービス係。 - 大木:
静岡県警の刑事。 - 原口:
静岡県警の警部。 - 佐々木:
静岡県警の本部長。 - 香取収:
白石由加里の恋人だった男。ダンサー。2年前に自殺している。 - 吉田由美:
30歳。無名の女優。
5.道後温泉で死んだ女
短編集「湯けむりの殺意」に収録。下記を参照↓↓
→「湯けむりの殺意」
感想
本作は、タイプの違う5つの作品が収録された短編集である。
それぞれ特徴的な作品であるが、1つ挙げるなら表題作の「下田情死行」だろう。橋本豊が罠にかけられたというスタートであり、死んだ白石由加里を殺した犯人を見つけるのがテーマであったが、意表をついた結末が面白い。
「必ず殺人事件になっている」という読者の思い込みを利用した、ある種のミスリードを使ったトリックだった。
短編集はこうした思い切ったトリックがあるから面白い。
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