初版発行日 1988年8月25日
発行出版社 角川書店
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
もはや懲戒必至!罪なき命を弄ぶ快楽殺人犯に、十津川の怒りは爆発した!現代社会の病理に蝕まれた殺人犯の異常心理を、克明に描いた、渾身の長編サスペンス!
もはや懲戒必至!罪なき命を弄ぶ快楽殺人犯に、十津川の怒りは爆発した!現代社会の病理に蝕まれた殺人犯の異常心理を、克明に描いた、渾身の長編サスペンス!
あらすじ
人気アナウンサーの誘拐事件が発生した。十津川警部率いる捜査一課が事件を担当するが、送りつけられてきた脅迫状には、十津川が数年前に逮捕し死刑になった連続誘拐殺人犯“ジャッカル”の名前が記されていた!「殺人を楽しむために殺す男」と言われ、日本中の女性をパニックに陥れたジャッカル。死刑執行直前まで、服役中の彼の元に通いつめていた男の存在を知った十津川は、二人の関連性を探り始める。
小説の目次
- ジャッカル
- モンタージュ
- 敗北
- 戦いの場
- 二重の挑戦
- 最後の戦い
冒頭の文
去年の十二月二十七日。この日、仙台地方に、初雪が降った。
小説に登場した舞台
- 宮城刑務所(宮城県仙台市若林区)
- 歌舞伎町(東京都新宿区)
- 伊豆高原(静岡県伊東市)
- 堂ヶ島(静岡県・西伊豆町)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 田中大輔:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 片山明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
事件関係者
- 土橋功一郎:
3年前、宮城刑務所に収監された死刑囚。ジャッカルと呼ばれていた。 - 吉崎加奈:
25歳。Sテレビのアナウンサー。亀井刑事の家の近くにあるマンションに在住。 - 井上信一:
50歳。城西タクシーの運転手。晴海埠頭で死体となって発見された。 - 小田まゆみ:
16歳。高校生タレント。日本一の美少女と言われていた。中央テレビで犯人に誘拐された後、殺害された。 - 新井亜季:
小田まゆみのマネージャー。中央テレビで犯人に襲われて死亡した。 - 川島ユキ:
19歳。国立大学に通う女子大生。新人女優。準ミス日本。犯人に殺害された。 - 石原ひろし:
週刊ミラージュに投書をした男。写真家。四谷三丁目のマンションに在住。ジャッカルに陶酔している。 - 三原:
日高淳の助手。飯田橋のマンションに在住。奥多摩の渓谷で死体となって発見された。
その他の登場人物
- 土橋信次郎:
土橋功一郎の弟。足立区新田のマンションに在住。 - 佐伯:
Sテレビのアナウンス部長。 - 木本清:
フリーター。元商社マン。吉崎加奈のストーカー。 - 吉崎文子:
吉崎加奈の母親。伊豆でホテルを営む。 - 日高淳:
37歳。日本一のメイク技術をもつ男。六本木在住。 - 金田徹:
30歳。M銀行の行員。世田谷区駒沢のマンションに在住。 - 折原:
小田まゆみが所属するプロダクションの社長。 - 田村:
ラジオジャパンのプロデューサー。 - 崎田:
週刊ミラージュの編集長。 - 河合多美:
20歳。N製薬のOL。準ミス日本。世田谷区太子堂に在住。 - 田沼:
大学病院の神経内科の医師。 - 金子:
KKタクシーの運転手。
感想
十津川警部シリーズ史上、もっとも猟奇的な作品だったと思う。
十津川警部シリーズは、トラベル、社会派、トリック、歴史がメインであり、殺人そのものや犯人の異常性を克明かつ微細に描く作品は比較的少ない。
だが、本作は、殺害の残酷さ、犯人の病的な人間性を克明に描いている。読む人によっては、ゾッとするような描写が数多くあるので、注意が必要でもある。
身の毛がよだつようなおぞましい事件。北条早苗刑事も精神錯乱され、十津川警部も怒りで一時、精神を壊しかけたほどであった。
恐ろしい作品だが、文章そのものは読みやすく、一気通貫で読める。
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