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「十津川警部の決断」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

十津川警部の決断小説

初版発行日 1989年6月25日
発行出版社 光文社
スタイル 長編

私の評価 3.6

POINT】
捜査ミスをバッシングされた十津川警部が、辞表を預けて出た賭けとは?
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あらすじ

都営三田線の満員の車内で殺された26歳のOL。凶器は千枚通し、目撃者はゼロ。自首してきた背広の男は、取り調べでずっと偽名を名乗っていた。その間にも同じ手口の犯行が行われ、犯人は十津川警部を名指しして、捜査本部とマスコミ各社に挑戦状を送りつける。

小説の目次

  1. ある男
  2. 挑戦
  3. 賭ける
  4. 容疑者
  5. 再検討
  6. 対決

冒頭の文

捜査本部に置かれた巣鴨警察署に、四月五日の夜、一人の男が訪れて来た。

小説に登場した舞台

  • 新宿駅(東京都新宿区)
  • 池袋駅(東京都豊島区)
  • 大手町駅(東京都千代田区)
  • 東京メトロ丸ノ内線
  • 都営三田線
  • 白山駅(東京都文京区)
  • 銀座駅(東京都中央区)
  • 東京メトロ日比谷線
  • 中目黒駅(東京都目黒区)
  • 霞ケ関駅(東京都千代田区)
  • 水戸駅(茨城県水戸市)
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登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 清水新一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 本多時孝:
    警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

警察関係者

  • 田口:
    警視庁初動捜査班の警部。
  • 坂口:
    警視庁初動捜査班の警部。
  • 中田:
    巣鴨警察署の警官。

事件関係者

  • 西尾ゆう子:
    26歳。芝公園にある外資系企業に勤務。板橋のマンションに在住。都営三田線の車内で千枚通しで刺されて死亡する。
  • 寺内きよみ:
    25歳。通産省の会計課に勤務。阿佐ヶ谷のマンションに在住。丸ノ内線の車内で千枚通しで刺され負傷する。
  • 上田順子:
    26歳。OL。都営三田線の車内で刺されて負傷する。
  • 水原美奈子:
    28歳。銀座のクラブ「オリエント」のホステス。日比谷線の車内で何者かに千枚通しで刺されて負傷する。
  • 若林冴子:
    25歳。厚生省に勤務する。霞ヶ関駅のホームで何者かに千枚通しで刺されて死亡する。
  • 堀田雄次:
    39歳。「丸上興業」の営業主任。阿佐谷南に在住。自宅で服毒死する。
  • 関口:
    堀田雄次が雇った弁護士。
  • 橋田隆:
    30歳。新丸ビルに本社のある「三田製薬」の販売課長。
  • 生田あい子:
    22歳。「三田製薬」の販売課に勤務。目白のマンションに在住。豊島園近くの雑木林で死体となって発見された。

その他の登場人物

  • 島崎:
    株式会社「サン」の社長。
  • 小宮:
    株式会社「サン」の社長秘書。
  • 長谷川健:
    大手町にある株式会社「サン」の取締役。駒沢に在住。
  • 長谷川美津子:
    長谷川健の妻。
  • 小暮保:
    銀座のクラブ「オリエント」のボーイ。
  • 塚本ひろみ:
    32歳。銀座にあるクラブのホステス。
  • 野口洋:
    50歳。銀座にあるクラブのマネージャー。
  • 矢木英司:
    29歳。K興業販売一課に勤務するサラリーマン。
  • 細木:
    丸の内にある「丸上興業」の人事課長。
  • 二村悠一:
    34歳。青葉工業の会計課長補佐。
  • 井本貢:
    29歳。TQ造船の営業課係長。東中野の高級マンションに在住。
  • 服部彰一:
    40歳。中村不動産の第一営業課長。

印象に残った名言、名表現

■挫折感。

「誰だって若いときは野心を持っています。サラリーマンなら、大会社の社長になりたい。社長が無理でも、重役の椅子ぐらいはと思います。だが、たいていは、せいぜい課長止まりでしょう。ただ、いい家庭を持てたり、子供がいたりして、なぐさめられるわけです。そのどちらも得られずに、年齢をとってしまった人間は悲惨です。完全に、自分の人生は失敗だったと深い挫折感にとらわれてしまう」

感想

今回の事件を一言で言うならば、「東京地下鉄で起こる、若い女性を狙った千枚通し連続殺人事件」の捜査である。

事件の動機は、犯人の精神的なものであり、女性への憎悪であり、社会への憎悪である。これまでの典型的な動機である「金や怨恨、痴情のもつれ」ではないのが、現代的な事件といえよう。

本作は、1989年に刊行されたものだが、社会への憎悪といった曖昧模糊として殺人事件が現代で頻繁に起きており、ある意味、時代を先取りした作品だったとも言える。

ミステリーとしては、容疑者が二転三転する。

真犯人はAと思わせて、実はBと思わせて、さらにどんでん返しをして、真犯人はCだったという展開である。ミステリーの王道パターンが使われているので、読者もドキドキしながら読み進められると思う。

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