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秋田新幹線「こまち」殺人事件/感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

秋田新幹線「こまち」殺人事件小説

初版発行日 1998年2月25日
発行出版社 光文社
スタイル 長編

私の評価 4.3

POINT】
十津川警部が角館で事件の真相を究明する!
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あらすじ

戸塚由美は角館へ帰った。二十九歳の今なら新しい人生を始められる。その言葉を信じて。しかし、由美にはフランス料理店オーナーの殺害容疑がかけられ、刑事が尾行していた。実家の旅館の若女将として奮闘する由美の周りで、次々と殺人事件が起こる。ホステス時代の客・中山、別れた夫・島崎……。

小説の目次

  1. 北帰行
  2. 「こまち」の客
  3. 追ってくるもの
  4. 追跡
  5. 標的
  6. 避難行
  7. 子供を追う
  8. 動機
  9. 悲しみからの出発

冒頭の文

戸塚由美は、二十九歳である。今年の十月十六日に、三十歳になる。

小説に登場した舞台

  • 東京駅(東京都千代田区)
  • 盛岡駅(岩手県盛岡市)
  • 角館駅(秋田県仙北市)
  • 秋田駅(秋田県秋田市)
  • 田沢湖(秋田県仙北市)
  • 乳頭温泉郷 鶴の湯温泉(秋田県仙北市)
  • 伊豆長岡(静岡県伊豆の国市)
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登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三田村功:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

警察関係者

  • 安田:
    秋田県警の警部。
  • 吉田:
    秋田県警の刑事。

事件関係者

  • 戸塚由美:
    29歳。銀座のクラブ「シャノアール」のホステスをしていたが30歳を機に、故郷の角館へ帰り、実家の「扇旅館」の若女将になる。フランス料理店オーナーの殺害共犯容疑がかけられている。
  • 戸塚進一郎:
    戸塚由美の父親。「扇旅館」の主人。
  • 戸塚文子:
    49歳。戸塚由美の母親。「扇旅館」の女将。
  • 原田京介:
    45歳。フランス料理店のオーナー。隅田川で刺殺死体となって発見された。
  • 原田美代子:
    37歳。原田京介の妻。乳頭温泉郷 鶴の湯で死体となって発見された。
  • 中山弘史:
    タレント。戸塚由美の常連客だった男。「扇旅館」に宿泊していたが、秋田市内で死体となって発見された。
  • 島崎功:
    35歳。戸塚由美の元夫。私立探偵。杉並区下高井戸のマンションに在住。檜木内川の河原で死体となって発見された。
  • 高木:
    弁護士。高木法律事務所の所長。
  • 沼田勝:
    26歳。元木更津署の警官。S組の準構成員。現在は高木法律事務所の雑用をしている。
  • 永尾真一:
    40歳。「ナガオハウス」の社長。公益法人「新文化日本協会」の理事。港区南麻布のマンションに在住。
  • 美木紀夫:
    45歳。代議士。秋田県知事選に立候補している。
  • 美木めぐみ:
    42歳。美木紀夫の妻。
  • 黒田晋介:
    永尾真一の親戚。羽黒山の山麓にあるR村に在住。
  • 黒田ふみ:
    黒田晋介の妻。
  • 三井美加:
    4歳。黒田夫妻が育てている少女。知的障害がある。

その他の登場人物

  • 楠ゆきえ:
    角館町観光情報センターの職員。戸塚由美の高校時代の同級生。
  • 内山みき:
    島崎功の行きつけだった下高井戸にある飲み屋のママ。
  • 加代:
    下高井戸の飲み屋のホステス。
  • 田所ツネ子:
    伊豆長岡にある「サクラ組合」の別荘の家政婦をしていた女性。2年前に病死している。
  • 田所春子:
    田所ツネ子の妹。
  • 木島利夫:
    横浜で薬局を営んでいた。金融詐欺に引っかかり自殺した。
  • 木島夕子:
    木島利夫の妻。
  • 岩田:
    48歳。経営コンサルタント。かつて美木紀夫の秘書をしていた。
  • 富田:
    I商事の営業課長。永尾真一の大学時代の同級生。

印象に残った名言、名表現

(1)新しい船出。

由美は、今夜、新しい人生を求めて東京を離れ、故郷の角館に帰る。

ああ、角館ーと思う。

春の檜木内川堤の桜並木、秋の祭りの曳山と送り人形、冬の火振りかまくら、そして武家屋敷通りの雪景色。

(2)東京は思ったより良い場所ではない。だが、一度だけ経験するのもあり。

東京という都会に、未練はなかった。たぶん、二度と戻って来ることはないだろうし、戻りたくもない。

感想

東京での騒々しい生活に嫌気が差した一人の女性が、過去と決別し、故郷に帰り、新しい人生への一歩を踏み出す。実家の旅館の若女将になり、一生懸命働く。

これだけ見たら、実に綺麗なストーリーである。だが、これだけで終わらないから、ミステリーなのである。

地元の角館に戻った女性のもとに、次々と現れる、東京の男と女。しかも、その人間たちが、次々と殺されていくのだ。

「この角館に事件の関係者が、続々と集ってくる予感がするのです」

なぜ、彼女のもとに人が続々と集まってくるのか?なぜ、彼女の周りの人間が殺されていくのか?

事件の背景と真犯人を探すのが、十津川警部の使命であり、本作の肝でもある。捜査を進めた十津川警部がたどり着いた、今回の事件の全体像。

「若いエリート政治家の浮気、彼の妻の嫉妬、そして野心家の男の暴力、さらに一人の女性の新しい人生への決意。それらが絡み合って、連続殺人が起きたということです」

真犯人は誰か?どんな結末になるのか?

その答えをここで明かすことはできないが、本作のラストは心温まる終わり方になったことだけは、伝えておきたい。

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