初版発行日 2014年10月14日
発行出版社 小学館
スタイル 長編
それは、誘拐からはじまった。事故死、自殺、毒物死……。殺人請け負いグループの正体を暴け!
あらすじ
ファミリーレストランチェーン社長・岡崎秀明が誘拐された。犯人は身代金を要求せず、相応の請け負い料を支払えば、敵対する人物を消してみせると持ちかけた。白石検事に不正経理で告発されることになっていた岡崎だったが、一億円を振り込んだ直後、白石検事と部下が事故死した。その頃、特急「南風」に乗車中だった岡崎には、アリバイがあった。その後、岡崎の弱みを握った誘拐犯から連絡が入る。それは甘言と卑劣な遣り口で人につけ込む、請け負い殺人グループのさらなる策謀の始まりに過ぎなかった!十津川警部は、奴らの正体をどうやって暴いていくのか?
小説の目次
- 闇からの声
- 高知で出会った男
- あるグループ
- 謎のアリバイ
- 終局への展開
小説に登場した舞台
- 特急「南風」
- 高知駅(高知県高知市)
- 桂浜(高知県高知市)
- 高尾山(東京都八王子市)
- 上野恩賜公園(東京都台東区)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
事件関係者
- 岡崎秀明:
ファミリーレストランチェーン「ザ・オカザキ」の社長。 - 白石:
50歳。検事。「ザ・オカザキ」の賄賂問題を執拗に捜査している。 - 古川:
検事。白石の下で捜査をしている。 - 藤田:
検事。白石の下で捜査をしている。 - 宮崎太一郎:
三田総合病院の外科部長。 - 渡辺博司:
三田総合病院の院長。 - 内田玲子:
有名女優。35歳。 - 浅野剛:
政治家。保守党の幹事長。 - 中川:
浅野剛の秘書。 - 桜木浩介:
神田の名曲喫茶「ラ・フランセ」を経営している。 - 青柳勝利:
神田の名曲喫茶「ラ・フランセ」を経営している。 - 中瀬川昭:
神田の名曲喫茶「ラ・フランセ」を経営している。
その他の登場人物
- 岡崎昭子:
岡崎秀明の妻。 - 佐伯:
岡崎秀明の秘書。 - 宮脇清次郎:
国交省の大臣。 - 阿部:
「ザ・オカザキ」社の顧問弁護士。 - 木村:
「ザ・オカザキ」の会計担当。 - 池田優子:
内田玲子のマネージャー。 - 前川:
芸能週刊誌の記者。 - 山下:
代議士。革新党のスポークスマン。 - 中沢美由紀:
有名女優。35歳。
印象に残った名言、名表現
■犯人がどんなに完璧に実行したと思っても、奢りが出て、奢りがミスにつながる。十津川警部の捜査ノウハウのひとつ。
十津川は、彼らの奢りに似たものを感じたのだ。このまま行けば、犯人グループは、何らかの小さなミスを、犯すだろうと、十津川は、考えていた。
総評
本作は”完全犯罪”をテーマにした作品だと思う。
完全犯罪とは、ミステリー小説によくある密室トリックではない。そもそも、殺人事件だと認識できないことをいう。つまり、事故や自殺にしか見えないことである。
白石と渡辺博司においては、事故死と自殺にしか見えない犯行だった。犯行の動機をもっている人物はいる。しかし、その人物には完璧なアリバイがある。これは依頼者と実行犯が別にいたからこそ、なし得た業である。
本作は、殺人の動機をもっている人物が明らかにされている。動機をもった人物が殺人の依頼者であることも明らかにされている。その被害者も明らかにされている。そして、どんなグループが犯行の実行犯であるかも明らかにされている。
しかし、実行犯の具体的な名前が明らかになっていない。さらに、証拠もない。
この難攻不落の事件を十津川警部たちがどのように暴き、犯人を逮捕していくかがミッションとなる。そのミッションがどのように行われたのか?十津川警部の執念の捜査をぜひこの目で確かめてもらいたい。
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