初版発行日 2020年1月20日
発行出版社 新潮社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
被害者の「最後の旅」の目的地を辿り、ライオンズ黄金時代から遡って、十津川警部の捜査は意外な方向へ!
被害者の「最後の旅」の目的地を辿り、ライオンズ黄金時代から遡って、十津川警部の捜査は意外な方向へ!
あらすじ
福岡から大牟田へと走る西鉄特急の車内で、九十一歳の元社長が殺された。かつて三連覇に熱狂した西武ライオンズゆかりの地を巡り、鹿児島へ向かう旅の途中だった。
小説の目次
- 老いたる男の旅
- 十七歳の青春
- 十七歳の生と死
- 女学生の周辺
- 西鉄ライオンズ
- 昭和二十年の真実
- 終りなき戦後
冒頭の文
坂西勝利、九十一歳。今回の旅が、最後の旅になるという予感を抱いていた。
小説に登場した舞台
- 博多駅(福岡県福岡市博多区)
- 筥崎宮(福岡県福岡市東区)
- 櫛田神社(福岡県福岡市博多区)
- 西鉄福岡(天神)駅(福岡県福岡市中央区)
- 薬院駅(福岡県福岡市中央区)
- 西鉄久留米駅(福岡県久留米市)
- 花畑駅(福岡県久留米市)
- 知覧特攻平和会館(鹿児島県南九州市)
- 福岡空港(福岡県福岡市博多区)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 藤田:
福岡県警の警部。 - 大谷:
京都府警の警部。 - 田島:
中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。
事件関係者
- 坂西勝利:
91歳。江戸川区にある町工場「坂西機械」の元社長で現在は相談役。九州を旅行中、西鉄大牟田線の車内で何者かに殴られて死亡する。 - 坂西弓子:
坂西勝利の娘。「坂西機械」の社長。 - 三浦晋助:
62歳。「坂西機械」の社員。酒場で泥酔し外の路地で喧嘩して刺殺された。 - 丸山圭子:
70歳。福岡市内にある料亭「まるやま」を営む。太平洋戦争の丸山飛行隊長の娘。 - 大竹千枝子:
太平洋戦争時代、知覧基地で特攻隊員の世話をする女学生だった。現在は、肺結核で都内の病院に入院中。 - 木村健治:
元西鉄ライオンズの選手。元特攻隊員。すでに死亡している。 - 木村悠太:
木村健治の甥。 - 神山一平:
96歳。元西鉄ライオンズの選手。元特攻隊員。すでに死亡している。 - 神山かおり:
神山一平の孫。京都にある花器会社の社長。 - 吉永昭三:
保守党の代議士。太平洋戦争時代の青木中尉の息子。吉永家の養子になった。 - 佐々木:
知覧特攻平和会館の館長。 - 金子太一郎:
45歳。フリージャーナリスト。 - 橋口:
N大学の事務長。
感想
本作は、太平洋戦争の特攻隊員と西鉄ライオンズの話がメインである。
西武ライオンズの前身が西鉄ライオンズなのだが、今の若者は西鉄ライオンズという存在を知らない人も多い。逆に高齢者の方は、西鉄ライオンズを懐かしむ人も多いだろう。
また、太平洋戦争時代の話について、今回は特攻隊の話である。鹿児島県の知覧の基地での出来事がメインだった。
本作の最後は、次の言葉で締めくくられる。
十津川は、平和とは、特攻とは何だろうかと、繰り返し考え続けている。
これは西村京太郎先生のメッセージなのだろうと思う。
ちなみに、西日本鉄道は序盤に登場するだけであり、中盤以降はほとんど登場しない。ここが残念な点だった。
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