初版発行日 2011年1月21日
発行出版社 新潮社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
ふたつの殺人をつなぐ鍵は、どこに存在するのか?十津川警部が、男女の愛憎と欲望が織り成す、闇の構図に挑む。
ふたつの殺人をつなぐ鍵は、どこに存在するのか?十津川警部が、男女の愛憎と欲望が織り成す、闇の構図に挑む。
あらすじ
新大阪から新神戸に向かう新幹線「こだま」。そのわずか十五分間に、女性デザイナーの尾西香里が殺された。さらに、その告別式で、夫の愛人が毒殺される。十津川警部の捜査で、香里の京都での浮気相手、ファッション界のドン・木下正道の存在が浮かび上がる。しかし、彼には、事件当日、姫路にいた完璧なアリバイが…。
小説の目次
- 時刻表を使った浮気
- 告別式
- 新井江美の過去
- 木下正道の女
- 二人の容疑者
- 蠢く男と女たち
- 浮気の果て
冒頭の文
若い頃は、夫の尾西洋次のほうが、才能に恵まれているといわれていた。
小説に登場した舞台
- 新大阪駅(大阪府大阪市淀川区)
- 日比谷公園(東京都千代田区)
- 京都駅(京都府京都市下京区)
- 帝国ホテル東京(東京都千代田区)
- 姫路城(兵庫県姫路市)
- 北野異人館街(兵庫県神戸市中央区)
- 新神戸駅(兵庫県神戸市中央区)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 松木:
兵庫県警の警部。 - 青木:
丸の内警察署の刑事。 - 桐野めぐみ:
30歳。丸の内警察署の刑事。 - 十津川直子:
十津川警部の妻。
事件関係者
- 尾西香里:
43歳。有名ファッションデザイナー。銀座、大阪、神戸に店をもつ。新幹線の車内で死体となって発見された。 - 尾西洋次:
50歳。尾西香里の夫。尾西デザインの社長。新人作家。 - 新井江美:
28歳。ファッションモデル。尾西洋次の不倫相手。四谷のマンションに在住。尾西香里の葬儀会場で毒殺される。 - 木下正道:
48歳。有名ファッションデザイナーであり服飾評論家。尾西香里の不倫相手。 - 姫野理香:
有名ファッションデザイナー。本名は姫野修。 - 高橋紀香:
25歳。MMC所属のモデル。尾西洋次の新しい愛人。 - 青木ゆかり:
和服モデル。
その他の登場人物
- 菊池清美:
尾西香里が営む大阪店の店長。 - 渡部真理恵:
尾西香里が営む神戸店の店長。 - 浅井:
『週刊ファッション』の記者。 - 篠崎:
中央テレビの広報担当。 - 山本加奈子:
姫野理香の秘書。 - 山野:
モデルクラブMMCの広報担当。 - 三浦美由紀:
25歳。モデルクラブMMC所属のモデル。
印象に残った名言、名表現
■男が浮気する一つのパターン。
「尾西洋次は、妻の香里に頭が上がらなかったわけです。こういう時、敗残者になってしまった夫は、よく、妻に隠れて、浮気したりするものなんですよ。中には、浮気することに、生き甲斐のようなものを感じる人さえいます」
感想
本作は、新幹線の車内と葬儀会場でそれぞれ殺人が起こるという、ショッキングな事件からスタートする。
当初は、元ファッションデザイナーで新人作家・尾西洋次の小癪な浮気情事だと思っていたのが、蓋を開ければ、妻も不倫をしているW不倫状態だったのだ。それ以外にも、いろいろな人物たちに男女の関係があり、ファッション業界らしい派手な人間関係、男女の愛憎や打算が描かれていた。
小一時間から二時間程度で読み切れる、ちょっとしたすきま時間を埋められる、コンパクトな推理小説だったと思う。
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