初版発行日 2006年1月25日
発行出版社 実業之日本社
スタイル 長編
【POINT】
十津川警部が犯人に仕掛ける60秒の罠!風光明媚な房総半島を舞台に描く旅情ミステリー!
十津川警部が犯人に仕掛ける60秒の罠!風光明媚な房総半島を舞台に描く旅情ミステリー!
あらすじ
井口勲は、二年前に殺された恋人との思い出を胸に南房総の旅に出かけた。安房鴨川で出会った若い女性に、携帯電話のカメラで写真を撮られる。翌日、井口を写した携帯を所持した女性の絞殺体が井の頭公園で発見され、彼に容疑がかかる。捜査班の十津川警部が井口の身辺を探るうちに第二の殺人が発生し……。巧妙に張り巡らされた復讐のトリックに挑む!
小説の目次
- プロローグ
- 南房総の海
- 容疑者
- 証言者
- 二つの可能性
- ヘッドハンティング
- 二つの交叉点
- 逆の罠
小説に登場した舞台
- 東京駅 京葉線地下ホーム(東京都千代田区)
- 特急ビューさざなみ
- 館山駅(千葉県館山市)
- ひふみ養蜂園(千葉県館山市)
- 安房鴨川駅(千葉県館山市)
- 鴨川シーワールド(千葉県館山市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 田中刑事:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 片山刑事:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
千葉県警
- 森本:
千葉県警の警部。 - 藤村:
鴨川警察署の刑事。 - 本橋
鴨川警察署の刑事。
事件関係者
- 井口勲:
30歳。自動車東京駅八重洲口に本社のあるS自動車の社員。吉祥寺在住。K大学出身。 - 永野由香里:
井口が結婚を前提に交際していた女性。2年前に荻窪の自宅マンションのエレベーターで何者かに刺殺された。S自動車の秘書課に勤めていた。 - 中本裕次:
井口勲の親友。同じ大学出身で同じ会社の同期。 - 橋爪亜希:
26歳。人材派遣会社HNエンタープライズの秘書として勤めていた。井の頭公園で絞殺体として発見される。 - 沢田文子:
人材派遣会社HNエンタープライズの社長。52歳。熊本出身。 - 後藤博司:
HNエンタープライズの秘書。35歳。国立大学の政経学部卒業。 - 若杉慶:
25歳。無名のタレント。橋爪亜紀と交際していた。 - 木村寛:
HNエンタープライズの係長。橋爪亜紀と交際していた。 - 佐藤晴美:
20歳。鴨川シーワールドのレストランのレジ係り。 - 川上英子:
28歳、HNエンタープライズの隠れ秘書。
その他の登場人物
- 三浦:
S自動車の第一営業課長。 - 上条:
HNエンタープライズの管理部長。
個人的な推しポイント
- 館山や安房鴨川など、南房総の明媚な風景を堪能できる。
- 特急ビューさざなみ、外房線、京葉線地下ホームの構造など、著者の鉄道に関する知識に感嘆する。
- 十津川警部が犯人に仕掛けた60秒の罠。実行するときの緊迫感にドキドキする。
本作の重要な謎は「井口勲が鴨川シーワールドでデートした女性は何者だったのか?」
総評
本作のタイトル「外房線 60秒の罠」。なんとも意味ありげなタイトルである。
そして、冒頭のプロローグは「60秒で何ができるのか?」についての考察から始まっている。十津川警部シリーズでは珍しい始まり方だ。
走れば60秒で100メートル以上は進むことができる、車に乗っていれば60秒で1キロメートル走ることができる、60秒あれば脅迫の電話をかけることができる、そして、60秒あれば人を殺すことができるであろう、と。
この何とも意味深な考察を冒頭にもってきたことで、今回は「60秒」が大きなテーマになると読者は推測しながら物語を読みすすめる。
そして、タイトルにあった”60秒の罠”は、十津川警部が犯人に仕掛けた罠だったことがわかる。その罠の中身についてはここで明かすことはできないが、人間心理の裏の裏をかいた巧妙な罠であった。
罠の上にさらに罠をしかける。有頂天だった犯人がどん底へ突き落とされる、大どんでん返しを読者にもぜひ味わってほしい。
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