〈景品表示法に基づく表記〉当サイトはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

「十津川警部 海の挽歌」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物。

海の挽歌小説

初版発行日 1998年8月8日
発行出版社 角川春樹事務所
スタイル 長編

私の評価 4.2

POINT】
東京ー沖縄を結ぶ不可能犯罪。美しき島に潜む殺意の罠!沖縄の無人島でも五人の白骨死体が発見され、さらに東京でも不審な死体が……。十津川警部の名推理!
スポンサーリンク

あらすじ

米軍の支配下にある小さな無人島で、白骨が五体発見された。発見者である中央新聞の記者田島が、友人である十津川警部に白骨の調査を依頼したところ、それは戦時中のものではなく、一年から一年半前のものだとわかる。さらに中央新聞の那覇支局長の丹羽雄一が東京で死体となって発見され、事件は思わぬ方向へ展開する。一見不可能にみえる東京と沖縄間の犯罪に、十津川の推理は果たして……。

小説の目次

  1. ニライカナイの海
  2. ホテルK
  3. ヤマネコの島
  4. 四つ葉のクローバー
  5. 夏の海
  6. 海の挽歌

冒頭の文

中央新聞の社会部記者、田島は、五月十一日、石垣島行JTA(日本トランスオーシャン航空)の071便に乗った。

小説に登場した舞台

  • 石垣空港(沖縄県石垣市)
  • 那覇市街(沖縄県那覇市)
  • 那覇空港(沖縄県那覇市)
  • 羽田空港(東京都大田区)
  • 国際通り(沖縄県那覇市)
  • マチグヮー(沖縄県那覇市)
  • 八重山観光フェリー
  • 西表島(沖縄県・竹富町)
  • 大原港(沖縄県・竹富町)
  • 由布島(沖縄県・竹富町)
  • 豊見城グスク(沖縄県豊見城市)
  • 宮古空港(沖縄県宮古島市)

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

警察関係者

  • 中村:
    科研の技官。
  • 井上:
    警察病院の医師。
  • 吉田:
    沖縄県警の刑事。
  • 花城:
    沖縄県警の警部。

事件関係者

  • 牧志明:
    石垣島在住。田島の知り合い。中央新聞に沖縄の戦前・戦後の話を連載していたことがある。
  • 丹羽雄一:
    中央新聞那覇支局の支局長。那覇市の郊外にあるマンションに在住。行方不明になった後、調布市の多摩川で死体となって発見された。
  • ハナ・ロージ:
    アメリカ人。女性スタントマン。去年の二月に沖縄へ旅行にきて行方不明になる。
  • タナ・ロザリオ:
    米軍の少尉。
  • 柴田:
    由布島にある喫茶店「ヤマネコの店」のオーナー。
  • 木元要介:
    沖縄の自然を守る会の会員。西表島在住。横浜出身。
  • 高木知彦:
    21歳。S大学に通う大学生。沖縄に旅行中、ひき逃げにあって死亡した。
  • 野呂豊:
    那覇の海岸にあるフレンチレストラン「白いビーチ」のオーナー。

その他の登場人物

  • 丹羽洋子:
    丹羽雄一の妹。
  • 高木茂子:
    高木知彦の母親。
  • 木村:
    防衛施設庁の広報課長。
  • 馬場:
    中央新聞社会部のデスク。
  • 中曽根:
    中央新聞那覇支局の支局員。
  • 二宮:
    沖縄の新聞社の記者。
スポンサーリンク

印象に残った名言、名表現

■沖縄の料理。

豚肉を角切りにして、醤油で煮込んだラフティ。魚のカサゴを使ったから揚げ。野菜のチャンプルー。それに、ジューシー(炊き込みご飯)。

感想

本作は、沖縄を舞台にした作品である。

沖縄本島、石垣島、西表島、由布島、宮古島が登場する。また、作中に石垣島の離島・赤見島が登場するが、これは架空の島であった。

本作は、沖縄の2つの側面を描いた良作だと思う。2つの側面とは、1つは観光地としての沖縄であり、もう1つは米軍基地のある沖縄である。どちらも現在の沖縄であり、片方だけで本当の沖縄を語ることができないのだ。

この点について、西村京太郎先生は、作者のことばで次のように語っていた。

この作品のため、十日間の沖縄取材を行った。沖縄本島、石垣、宮古、西表と島めぐりをした。沖縄は、不思議なところである。観光という面だけを見れば、あくまでも美しい自然に恵まれている天国といえるだろう。

だが、本島を歩き、三メートルのフェンスにぶつかると、その向こうに、広大な基地が隣り合わせなのだ。どちらも沖縄である。どちらか片方だけしか見ないのは、沖縄を知らないことになるだろう。そして、沖縄の人々は、そのはざまに生きている。

本作は、観光地としての沖縄が入口になり、基地としての沖縄が出口になった。

コメント