初版発行日 1986年5月30日
発行出版社 光文社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
あまりに複雑な犯罪。十津川が看破する2億3000万円強奪の裏!
あまりに複雑な犯罪。十津川が看破する2億3000万円強奪の裏!
あらすじ
新宿から松本まで一緒に行ったことにしてほしい。恋人だった刑事に嘘のアリバイ証言を頼んでいた女が殺された。十津川は問題となる時刻に起きた現金強奪事件に着目。ところが共犯と思われる銀行員も絞殺された。どちらの死体にも拷問の痕跡が。強奪犯たちを狙うXの正体は?事件は意外な貌を見せ始めた。
小説の目次
- 昔の女
- 第二の殺人
- アリバイ
- 記者会見
- 過去を追う
- 罠を張る
- 目撃者
- 再び「あずさ」
- 追跡行
- モンタージュの男
- 対決
冒頭の文
日下は受話器を取り、あの女の声が聞こえた瞬間、電話を切ろうとした。
小説に登場した舞台
- 丸子多摩川(東京都大田区)
- 新宿駅(東京都新宿区)
- 歌舞伎町(東京都新宿区)
- 晴海埠頭(東京都大田区)
- 特急「あずさ」
- 茅野駅(長野県茅野市)
- 福岡空港(福岡県福岡市博多区)
- 美ヶ原高原(長野県松本市)
- 美鈴湖(長野県松本市)
- 八王子駅(東京都八王子市)
- 石和温泉駅(山梨県笛吹市)
- 甲府駅(山梨県甲府市)
- 小淵沢駅(山梨県北杜市)
- 清里駅(山梨県北杜市)
- 野辺山駅(長野県・南牧村)
- 海尻駅(長野県・南牧村)
- 松本駅(長野県松本市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 佐々木:
警視庁の警部。十津川と同い年でライバル。 - 塩見:
福岡県警の警部。 - 大野:
長野県警刑事課の警部。 - 田辺:
長野県警刑事課の刑事。 - 内野:
警視庁の広報室長。去年の10月に福岡県警から異動してきた。 - 大崎めぐみ:
25歳。西世田谷署の管理係の庶務。以前、福岡県警で庶務をしていた。 - 新田:
警視庁の第5機動隊に隊員。以前、福岡県警にいた。 - 晋吉:
亀井刑事の知り合いの情報屋。
事件関係者
- 川井けい子:
日下刑事の元恋人。元中央商会の秘書課に勤務。1年前に退職。丸子多摩川で死体となって発見された。 - 辻悠一郎:
M銀行田園調布支店の貸付担当。洗足に在住。自宅で死体となって発見された。 - 丸山伍郎:
32歳。元S組の組員。網走刑務所に収監されていたが出所した。晴海埠頭で死体となって発見された。 - 金子哲夫:
35歳。5年前、大阪の銀行で起きた8千万円強奪事件の容疑者だったが、裁判で無罪になった。調布市内の神社で死体となって発見された。 - 橋野要:
38歳。強盗の前科がある男。 - 新井優子:
美ヶ原にあるペンション「北斗星」のオーナー。 - 田中浩:
30歳。M製薬の社員。
その他の登場人物
- 坂田恵一郎:
元中央商会の営業部長。1年前に退職。現在はスーパーの顧問。浦和に在住。 - 田辺健:
歌舞伎町のチンピラ。元K組の組員。 - 吉野:
M銀行田園調布支店の支店長。 - 加藤勇一郎:
1年前、福岡市内で起きた現金強奪事件で逮捕・起訴され福岡刑務所に服役中。元国鉄職員。 - 浜谷岩男:
49歳。代議士。 - 吉沢:
特急「あずさ」の専務車掌。 - 佐野:
特急「あずさ」の専務車掌。 - 矢代:
出版社「世界と青年」の編集者。 - 水沼:
松本市内にある不動産屋の社長。 - 長谷川圭:
32歳。東京のサラリーマン。
感想
本作は、悪党に私刑をくわえるグループの犯罪だった。
作中では「グループX」が犯人ということはわかっているが、このグループの構成員とその証拠をつかむことが捜査の主眼となった。
派手なトリックやアクションシーンがあるわけではないが、十津川警部の執念ともいえる捜査で、一つ一つ状況証拠を積み上げていき、犯人をヒタヒタと追い詰めていく。
このジリジリとした緊張感が味わえる作品だった。
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