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「出雲 神々の殺人」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

出雲神々の殺人小説

初版発行日 2004年3月20日
発行出版社 双葉社
スタイル 長編

POINT】
相次ぐ女性の殺害。現場に残された<神が人を殺した。~~>というメッセージ。そして、捜査線上に浮かび上がった神木洋介という男。彼は宗教人なのか?狂人なのか?
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あらすじ

「神が人を殺した。これは神々の殺人の始まりだ」連続殺人の刺殺体の上には、奇妙なメモが残されていた。捜査にあたった十津川警部は亀井刑事と共にメモを手がかりに出雲に向かう。そして祝島いわいしまという無人島にたどりつき、島の神主かんぬしの息子・神木洋介かみきようすけを連続殺人事件の容疑者と特定するが…。

本作のキーワードは、「出雲大社

小説の目次

  1. 最後の罠
  2. 絵馬
  3. 犯人像
  4. 夜の闇の中で
  5. プラス1の殺人
  6. 神火
  7. 神々の死

冒頭の文

十月十五日の夜、青梅市郊外の林の中で、一人の女子大生が、殺された。

小説に登場した舞台

  • 青梅(東京都青梅市)
  • 臨海晴美公園(東京都中央区)
  • 田園調布(東京都大田区)
  • 羽田空港(東京都大田区)
  • 出雲縁結び空港(島根県出雲市)
  • 出雲大社(島根県出雲市)
  • 東京駅(東京都千代田区)
  • 寝台特急「出雲」
  • 出雲市駅(島根県出雲市)
  • 松江市立中央図書館(島根県松江市)

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三田村功:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

事件関係者

  • 広池ゆみ:
    日野市在住。S大学の3年生。出雲大社の参道で土産物店を営む両親の娘。青梅市郊外の林の中で殺されていた。
  • 三井恵子:
    28歳。都内のN電機のOL。青森の生まれ。
  • 大岡香代子:
    35歳。ジュエリーオオオかの社長。
  • 神木洋介:
    36歳。祝島の神木正二郎に育てられた養子。
  • 坪内冬美:
    25歳。渋谷にある建設会社のOL。浜田山近くに住む。
  • 高木香:
    24歳。フリーター。
  • 野村ゆかり:
    19歳。出雲大社の巫女。

その他の登場人物

  • 井上:
    31歳。N電機の営業。三井恵子の恋人。
  • 大岡明美:
    大岡香代子の妹。大学三年生。
  • 大岡隆行:
    60歳。大岡香代子の父親。横浜で貿易商社を営む。
  • 岡村:
    島根町派出所の巡査。
  • 鈴木:
    80歳。祝島で氏子の代表だった。現在は鳥取県に住んでいる。
  • 山下:
    寝台特急「出雲」の車掌。
  • 坂下:
    島根県警の警部。

印象に残った名言、名表現

(1)刑事のつらい仕事。

両親に会って、事件のことを、説明するのは、辛い仕事で、いつまで経っても、十津川は、慣れることができなかった。

(2)学者やコメンテーターに関する刑事側の本音。

「もし、私が、学者ならば、どんなことでもいうことができます。連中は、別に犯人を、逮捕できなてもいいんですから、面白おかしく犯人像について、語っていればいい。気楽なもんですよ。」

(3)出雲名物、三色そば。

色が黒く、コシがあって、香りの高い出雲そばである。卵、とろろ、大根おろしの三色そばは、コシが強いのに、やわらかみがあって、旨かった。

感想

本作のキーワードは、出雲大社と神道である。

出雲大社はよく知られていて、御本殿が日本一の大きさであり、縁結びの神様として日本で最も有名である。

神道も日本固有の宗教であることは知られている。しかし、その中身について、ほとんど知らない人も多いのではないだろうか。日本固有の宗教であるにも関わらず、学校でくわしく習わないからだ。

本作では、この神道について、西村京太郎先生が、そのあらましをわかりやすく説明してくれている。

日本には、八百万の神といわれる数多くの神々がいる。神社というのは、神が住む家という意味で、大社といえば、大きな住まいということである。

日本でいちばん大きな神社は、伊勢神宮と出雲大社である。

元々、日本の神というのは、人間が死ぬと、しばらく地上にいて、それから天界に昇って神になると信じられていた。一つの村で、その村の祖先神が氏神として祀られ、それが鎮守の森となって、村を守る神になる。村人が氏子である。それが次第に大きな集落になっていって、神社も大きくなっていった。

元々、日本では、死んだ人間が神になる。その典型的な例が、乃木神社や東郷神社だろう。だから、日本でいう神は、キリスト教のような、絶対的な神ではない。

さらに、日本の神々の二面性についても、こう説明されている。

日本の神には、二面性があるということ、である。それを「和魂にぎみたま」と「荒魂あらみたま」と呼んでいる。

和魂は、温和でやさしい神、荒魂は、荒々しく、時には、人間に害を及ぼす神のことである。しかし、それぞれの神が、あるわけではなくて、日本の神には、この二つの性格が、同時に具わっている。

そして、有名なお稲荷さんと、八幡神社についての記述もある。

日本全国に、お稲荷さんと、八幡神社がそれぞれ四万社ずつ、合計八万あるといわれている。八幡稲荷八万という。

八幡神社のおおともは、大分県の宇佐八幡でえある。日本全国に、四万社あるといわれる八幡神社に、祀られている八幡神というのは、欽明天皇の三十二年、西暦五七一年に、大神義という人物が、三年の間、断食して、祈ったところ、九州の宇佐八幡にあった池の中から、三歳の童子が現れ、われこそ八幡神であると宣言した。

神道は日本固有の宗教であり、長い歴史をもっている。今回、本作で説明のあった内容については、日本人として、最低限、知っておくべき内容ではないか?そう感じたのである。

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