初版発行日 2014年4月25日
発行出版社 角川書店
スタイル 短編集
私の評価
好奇心と行動力を武器に、日下刑事が真実を暴く表題作ほか、十津川警部が謎に挑む3編も収録した短編集!
あらすじ
1.青森わが愛
警視庁の日下刑事は、身分を明かさず書道教室に通っていた。しかし、日下が現職の刑事だと知り、突然態度を変えた美人書道家が気になり、彼女の過去を調べ始める。本籍地は青森で、高校を卒業してから31歳の今日まで、実に8回も引っ越していた……。
2.北の空に殺意が走る
短編集「哀しみの北廃止線」に収録。下記を参照↓↓
→「哀しみの北廃止線」
3.余部橋梁310メートルの死
東京の経営コンサルタント・竹内勇が余部橋梁から落下して死亡した。地元の高校生が落下する瞬間、急行「だいせん5号」が走っていた姿を目撃している。竹内勇は殺されたのか?自殺だったのか?あるいは事故死なのか?
4.恋と裏切りの山陰本線
短編集「恋と裏切りの山陰本線」に収録。下記を参照↓↓
→「恋と裏切りの山陰本線」
5.特急ひだ3号殺人事件
警視庁捜査一課の北条早苗が旅先の「ひだ3号」車内で毒殺事件に遭遇した。岐阜県警は容疑者として、車内で被害者と接触した女性を逮捕する。だが、早苗は県警の判断に疑問を抱いていた。その直後、容疑者が犯行を否認したまま自殺! そして留置所には謎の遺書が……。
小説に登場した舞台
1.青森わが愛
- 隅田公園(東京都墨田区)
- 府中刑務所(東京都府中市)
- 府中駅前商店街(東京都府中市)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 青森駅(青森県青森市)
- 青森市街(青森県青森市)
- 浅虫温泉(青森県青森市)
2.北の空に殺意が走る
短編集「哀しみの北廃止線」に収録。下記を参照↓↓
→「哀しみの北廃止線」
3.余部橋梁310メートルの死
- 余部橋梁(兵庫県・香美町)
- 急行「だいせん5号」
- 羽田空港(東京都大田区)
- 新大阪駅(大阪府大阪市淀川区)
- 大阪駅(大阪府大阪市北区)
- 福知山駅(京都府福知山市)
- 出雲市駅(島根県出雲市)
- 鳥取駅(鳥取県鳥取市)
4.恋と裏切りの山陰本線
短編集「恋と裏切りの山陰本線」に収録。下記を参照↓↓
→「恋と裏切りの山陰本線」
5.特急ひだ3号殺人事件
- 名古屋駅(愛知県名古屋市中村区)
- 特急「ひだ3号」
- 高山駅(岐阜県高山市)
- 上三之町(岐阜県高山市)
- 城山公園(岐阜県高山市)
登場人物
1.青森わが愛
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 岡田麗花:
31歳。日下刑事が習っている習字の先生。本名は岡田林檎。青森出身。両親は青森駅近くで割烹料理店「岡田」を営んでいたが、13年前に両親が殺害された。 - 池永:
50歳。青森市内の警部保証会社に勤務。元青森県警の警部補。 - 野村大輔:
割烹料理店「岡田」に勤務していた男。岡田林檎の恋人だった。13年前、岡田夫妻殺害容疑で逮捕され、府中刑務所で服役中だったが、8月に出所した。 - 野村眉山:
津軽三味線の名人。野村大輔の父親。 - 北川:
府中刑務所の所長。
2.北の空に殺意が走る
短編集「哀しみの北廃止線」に収録。下記を参照↓↓
→「哀しみの北廃止線」
3.余部橋梁310メートルの死
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 田中敏夫:
高校2年生。余部に在住。 - 井上徹:
田中敏夫の友人。 - 竹内勇:
49歳。自称経営コンサルタントの詐欺師。世田谷区太子堂のマンションに在住。余部橋梁から落下して死亡した。 - 田口:
中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。 - 早見:
兵庫県警の警部。 - 沼田徹:
42歳。城東出版の編集者。石神井公園近くに在住。 - 春日康夫:
竹内勇のアシスタントの詐欺師。四谷三丁目のマンションに在住。自宅マンションで死体となって発見された。 - 原田勇策:
57歳。出雲市に在住。資産家。竹内勇らに騙されて2億円を騙し取られていた。
4.恋と裏切りの山陰本線
短編集「恋と裏切りの山陰本線」に収録。下記を参照↓↓
→「恋と裏切りの山陰本線」
5.特急ひだ3号殺人事件
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 大川広志:
54歳。ラーメンチェーン「大川ラーメン」の社長。特急ひだ3号の車内で服毒死する。 - 三田:
30歳。岐阜県警の警部。 - 内藤祐子:
世田谷区太子堂のマンションに在住。大川広志殺害容疑で逮捕された。その後、留置所で自殺した。 - 内藤:
内藤祐子の夫。下高井戸にあるスーパーに勤務。 - 小早川みどり:
23歳。内藤の不倫相手。
印象に残った名言、名表現
■青森ねぶた祭り。
町中が、太鼓と人々の歓声で、渦巻いていた。武者絵の巨大な山車が、ゆっくりと、大通りをねっていく。
感想
本作は、5つの作品を収録した短編集である。
それぞれ、青森、和倉温泉、余部橋梁、米子、高山が舞台となり、旅情をそそる描写があった。
いずれ劣らぬ5作品であるが、一つ挙げるとすれば、表題作の「青森わが愛」だろう。
13年前に自分の両親を恋人に殺害された書道の先生・岡田麗花。この事件に裏にあった悲しい真実と恋人との変わらぬ愛。青森ねぶた祭りが行われた青森市内で起こった哀しい結末。
哀愁や余韻を残す終わり方も良かったと思う。
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