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「無縁社会からの脱出 北へ帰る列車」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

無縁社会からの脱出 北へ帰る列車小説

初版発行日 2010年11月30日
発行出版社 角川書店
スタイル 長編

私の評価 2.0

POINT】
現代社会の病理をえぐる、十津川警部シリーズ長編ミステリー!
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あらすじ

多摩川土手近くに立つ長屋の中で、老人の扼殺死体が発見された。長屋は老朽化が進み取り壊される予定になっていたが、老人―阿部光太郎が勝手に住み着いていた。世間から縁を切った状態で暮らしていた阿部だが、なぜか一千万円以上の預金を残していた。それだけの大金を持っているのに、なぜホームレースのような生活を選んだのか?阿部が生前残していた写真を手がかりに、十津川警部は彼の故郷である岩手県の廃村を訪れる。孤独な老人の“無縁死”かと思われた事件だが、予想外の展開を見せ―。

小説の目次

  1. 一人のホームレス
  2. 無縁ビジネス
  3. 廃村
  4. 遠野の風景
  5. 深層崩壊
  6. 北へ帰る日
  7. いざ帰りなん

冒頭の文

その事件は、若い女性の声の一一九番で始まった。

小説に登場した舞台

  • 新花巻駅(岩手県花巻市)
  • 遠野駅(岩手県遠野市)
  • 足ケ瀬駅(岩手県遠野市)
  • 帝国ホテル東京(東京都千代田区)
  • 遠野市役所(岩手県遠野市)
  • 東京駅(東京都千代田区)
  • 仙台駅(宮城県仙台市青葉区)

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三田村功:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 本多時孝:
    警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

警察関係者

  • 新井:
    神奈川県警の警部。
  • 田島:
    中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。
  • 臼井茂之:
    厚生労働省の新人職員。
  • 篠崎八重:
    厚生労働省の新人職員。

事件関係者

  • 阿部光太郎:
    上野にあった山田機械の元従業員。多摩川沿いにある長屋の中で死体となって発見された。
  • 水沢徳治:
    69歳。元山田機械の従業員。
  • 中川美由紀:
    中学3年生。
  • 中川美奈:
    中川美由紀の妹。小学校1年生。去年の8月、神社の境内で死体となって発見された。
  • 後藤誠:
    30歳。作家志望の男。
  • 小杉美香:
    25歳。後藤誠の恋人。

その他の登場人物

  • 阿部光雄:
    70歳。阿部光太郎の弟。
  • 阿部友江:
    68歳。阿部光太郎の妹。
  • 米山徳太郎:
    95歳。元加古村の村長。現在は、花巻の養護施設に入所中。
  • 緒方義男:
    保証人サービス営業部の社員。
  • 秋本勝:
    74歳。遠野駅前にある土産物店「秋本商店」の会長。阿部光太郎の同級生。
  • 近藤:
    65歳。帝国ホテル東京内にあるフランス料理店の料理長。
  • 根本由美子:
    阿部光太郎の元妻で元女優。結婚から5年後に阿部光太郎と離婚。現在はシドニーに在住。
  • 斎藤:
    神田にある出版社の編集長。
  • 坂井:
    遠野市役所の助役。
  • 野村清:
    70歳。弁護士。
  • 丹羽五郎:
    55歳。中川美由紀誘拐未遂で逮捕された男。
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感想

無縁社会というのは現代の社会問題の一つであり、この問題にスポットを当てたコンセプトは良かったと思う。

無縁社会に生きる人々の現状が描かれ、その社会的背景、社会での問題点、どういう人が社会的に孤立しやすいとか、今後の展望などが描かれば、社会派ミステリーという気はしたのだが、本作は社会派とは違う作品だったと思う。

どちらかといえば、社会で孤立してしまった被害者の半生を探るルポみたいな作品であったのだ。この点が非常に残念である。

ミステリーとしてもあまり良い出来栄えとは思えなかった。殺人事件が起きて、最後にポッと出の犯人が現れて、逮捕されただけに過ぎない。はっきり言えば、物語中盤の男の半生を探るルポは、犯人逮捕にあまり意味を成してないのだ。

個人的には残念な作品だった。

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