初版発行日 2012年9月10日
発行出版社 祥伝社
スタイル 長編
放火殺人、少女消失事件、銀行強盗、トレインジャック！十津川警部を翻弄する重大犯罪の連鎖！東京、九州、山陰、各地で仕掛けられた頭脳版の大掛かりな罠に十津川警部が挑む！
あらすじ
警視庁吉田刑事の留守宅が放火、焼け跡から女性の刺殺体が発見された。愛娘と鹿児島指宿へ向かう最中の事件だった。被害者のホステスと吉田は面識がないと言う。直後、吉田の愛娘が失踪。”走る密室”九州新幹線から忽然と姿を消したのだ。はがて、黒い噂が浮上し吉田に疑惑の目が……。
小説の目次
- 第一の事件
- 1/208
- 破片
- 第一の要求
- 落とし穴
- マイナス2
- 最後の反撃
冒頭の文
「君に電話だ」と、いわれて、三田村刑事は、目の前の電話を取った。「私だ」という、聞き慣れた男の声がした。
小説に登場した舞台
- 幡ヶ谷駅（東京都渋谷区）
- 鹿児島中央駅（鹿児島県鹿児島市）
- 博多駅（福岡県福岡市博多区）
- 長門市（山口県長門市）
- 益田駅（島根県益田市）
- 特急スーパーおき
- 松江（島根県松江市）
- 美山（京都府南丹市）
- 伊丹空港（大阪府豊中市）
- 福岡空港（福岡県福岡市博多区）
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三：
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄：
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下淳一：
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明：
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功：
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長：
刑事部長。十津川警部の上司。
事件関係者
- 吉田刑事：
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 吉田美香：
吉田刑事の娘。5歳。 - 吉田尚子：
吉田刑事の妻。去年、マンションの屋上から転落して死亡した。 - 木下由佳理：
28歳。六本木のクラブ「夢」のホステス。吉田刑事の部屋で、背中を刺され焼死体で見つかる。 - 金本洋文：
40歳の男。 - 梶原千香：
北千住に在住。30歳。鹿児島出身の女。
JR九州
- 佐野：
九州新幹線みずほの車掌。 - 相川：
九州新幹線さくらの車掌。 - 小野寺功：
九州新幹線さくらの車掌。 - 後藤：
JR九州の社長秘書。 - 高木：
JR九州の運転手。 - 持田：
JR九州の社長。 - 伊藤：
JR九州の車掌部門の部長。 - 武井：
JR九州の顧問弁護士。
その他の登場人物
- 二宮義男：
木下由佳理の元旦那。33歳。中野でレストランを営む。現在は再婚している。 - 二宮晴美：
二宮義男の妻。 - 荒木：
科捜研の技官。
印象に残った名言、名表現
（１）松江という町の概要。
「この松江という街は、歴史の町でもあるし、観光の町でも、ある。そして、宗教の町である。宍道湖という美しい湖もあるし、近くには、出雲大社という日本一の大きな神社もある。松江城もある。昔から、裕福な町だ。」
（２）刑事を続けることの難しさを、十津川警部はよく承知している。
これまでの刑事生活の中で、十津川は、何人もの現職の刑事が、悪の道に走るのを、見てきている。定年まで、真面目に、勤勉に働くのは、難しい。それに比べて、悪徳刑事になるのは、簡単なのだ。
感想
十津川警部シリーズの黄金パターンがある。
局面がめまぐるしく動き、スピード感があり、次から次へと事件が起こっていく。常に緊迫感があり、驚きに溢れ、次の予測ができない。序盤からあっという間に、物語の世界に引きずり込まれ、捜査の進展に一喜一憂し、気がつけば、最終盤を迎えているのだ。
とにかく、面白い。
本作は、警視庁捜査一課の吉田刑事の部屋が放火され、部屋から焼死体が見つかる、という驚くべき事件から始まる。さらに、吉田刑事の娘・美香が誘拐されてしまったというショッキングな事件も降りかかる。その後も、銀行強盗、トレインジャックという大事件が立て続けに起こる。
各章に少なくとも、一つ以上のワクワク、ドキドキがある。このスペクタクルな世界をぜひ、味わってほしい。
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