初版発行日 1995年6月20日
発行出版社 文藝春秋
スタイル 短編集
私の評価
東尋坊、富士西湖、昇仙峡、つなぎ温泉を舞台にした傑作トラベルミステリー4編を収録!
あらすじ
1.恐怖の海 東尋坊
「私は殺されました。恨みます」留守番電話に吹き込まれていた死者からのメッセージの謎を解くため、日下刑事は単身東尋坊にとんだ。
2.恐怖の湖 富士西湖
亀井刑事は、二日間の休みを利用して、家族と石和温泉へ旅行した。旅行の二日目、亀井刑事がひとりで河口湖と西湖へ釣りに出かけ、西湖で死んだ鯉を釣り上げる。この死んだ鯉を西湖にいた野良猫に食べさせた事が事件へと繋がっていく。
3.恐怖の清流 昇仙峡
短編集「湯けむりの殺意」に収録。下記を参照↓↓
→「湯けむりの殺意」
4.恐怖の橋 つなぎ大橋
短編集「北国の愛、北国の死」に収録。下記を参照↓↓
→「北国の愛、北国の死」
小説に登場した舞台
1.恐怖の海 東尋坊
- 小松空港(石川県小松市)
- 東尋坊(福井県坂井市)
- 羽田空港(東京都大田区)
2.恐怖の湖 富士西湖
- 特急かいじ105号
- 石和温泉(山梨県笛吹市)
- 笛吹川(山梨県笛吹市)
- 河口湖(山梨県・富士河口湖町)
- 西湖(山梨県・富士河口湖町)
- 大井銀座商店街(東京都品川区)
3.恐怖の清流 昇仙峡
短編集「湯けむりの殺意」に収録。下記を参照↓↓
→「湯けむりの殺意」
4.恐怖の橋 つなぎ大橋
短編集「北国の愛、北国の死」に収録。下記を参照↓↓
→「北国の愛、北国の死」
登場人物
1.恐怖の海 東尋坊
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。 - 三浦:
福井県警の刑事。 - 野村ひろみ:
日下刑事の大学時代の同級生。A自動車の専務秘書。国立のマンションに在住。東尋坊で水死体となって発見された。 - 脇田肇:
52歳。銀座にある宝石店の店主。世田谷区太子堂のマンションに在住。太子堂の公園で刺殺死体となって発見された。 - 脇田陽子:
脇田肇の妻。 - 脇田みどり:
脇田肇の娘。 - 脇田治郎:
脇田みどりの夫。 - 永井克郎:
野村ひろみや日下刑事の大学時代の同級生。同じ演劇サークルに入っていた。R商事の営業二課に勤務。 - 広田健児:
野村ひろみや日下刑事の大学時代の同級生。BテレビのADをしている。 - 中林みな子:
野村ひろみや日下刑事の大学時代の同級生。シナリオライター。中野のマンションに在住。 - 柏木ゆう子:
声優。
2.恐怖の湖 富士西湖
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。 - 寺内:
大井町派出所の巡査。 - 沢木:
科研の技官。 - 佐伯:
山梨県警の警部。 - 亀井公子:
亀井刑事の妻。 - 亀井マユミ:
亀井刑事の娘。 - 新倉みゆき:
動物を守る会「JAPC」の会員。 - 吉田:
河口湖近くで淡水魚を売っている男。 - 加藤ひろ子:
N生命大井町支店に勤務。 - 磯辺功:
35歳。経営コンサルタント。世田谷区代田のマンションに在住。 - 磯辺文子:
50歳。磯辺功の妻。 - 磯辺良江:
磯辺功の前妻。結婚してすぐに心臓発作で死亡している。
3.恐怖の清流 昇仙峡
短編集「湯けむりの殺意」に収録。下記を参照↓↓
→「湯けむりの殺意」
4.恐怖の橋 つなぎ大橋
短編集「北国の愛、北国の死」に収録。下記を参照↓↓
→「北国の愛、北国の死」
印象に残った名言、名表現
■サスペンスドラマのワンシーンのような展開。
粉雪は止み、雲の切れ間から月がのぞいたが、風の冷たさは、変らないし、周囲はうす暗い。日下は、コートの襟を立て、東尋坊の崖の上に向って、歩いて行った。
感想
本作は、東尋坊、富士西湖、昇仙峡、つなぎ温泉を舞台にした4つの短編集である。
いずれも劣らぬ秀作であるが、この中で一つ上げるとすれば、表題作の「恐怖の海 東尋坊」であろう。
日下刑事の留守番電話に、夜な夜な吹き込まれるメッセージ。彼の大学時代の同級生から送られてくるメッセージなのだが、その内容が、なんとも奇妙なのである。
<きっと、私は殺されます>
<おかげで、私は殺されました。恨みます>
<せめて、私の死体を早く見つけて!このままでは、浮ばれない。>
<なぜ、私を見つけてくれないの?>
<発見してくれ、ありがとう>
このメッセージの内容を見る限り、彼女が殺された後になっても、メッセージが送られてくることになる。しかも、日下刑事が彼女の死体を発見したこともわかっているのである。つまり、死者からメッセージが届いていることになる。
普通に考えて、こんなことはありえない。このメッセージは誰か別の人間が送っていることになるのだが、これを推理するところが本作の肝になる。
真相は、、、本書を手にとって確かめてもらいたい。
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