初版発行日 2012年12月31日
発行出版社 徳間書店
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
現職知事も狙われる事件の真相に迫る捜査陣に、やがて未曾有の危機が……。
現職知事も狙われる事件の真相に迫る捜査陣に、やがて未曾有の危機が……。
あらすじ
東京・田園調布で人気女優の千原玲子が射殺された。容疑者の坂本マネージャーを追って三田村刑事が鹿児島に飛ぶが、なんとJR最南端の西大山駅で狙撃されてしまう。一方、十津川は、玲子の愛人であるF&Kファンドの原口が南九州で進めた土地買い占めの背後に、巨大なプロジェクトの存在を掴む。
小説の目次
- 西大山駅(一年前)
- ある男
- 巨大造成地
- 原発問題
- 再び西大山駅
- 入り乱れて
- 最後の戦い
冒頭の文
三月三日、警視庁捜査一課の三田村刑事は、再び西大山駅のホームに、立っていた。
小説に登場した舞台
- 西大山駅(鹿児島県指宿市)
- 喜入駅(鹿児島県鹿児島市)
- 鹿児島中央駅(鹿児島県鹿児島市)
- 大観峰(熊本県阿蘇市)
- 開聞岳(鹿児島県指宿市)
- 枕崎駅(鹿児島県枕崎市)
- 指宿駅(鹿児島県指宿市)
- 天文館通り(鹿児島県鹿児島市)
- 鹿児島空港(鹿児島県霧島市)
- 成田空港(千葉県成田市)
- 博多駅(福岡県福岡市博多区)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。千原玲子殺害容疑で坂本明を鹿児島まで追っていたところ、西大山駅で坂本明に狙撃されて負傷する。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 片山明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 新藤:
指宿警察署の副署長。 - 品川:
鹿児島県警の警部。 - 島田:
鹿児島県警の警部。
事件関係者
- 千原玲子:
52歳。女優。田園調布の豪邸に在住。去年の2月、自宅で何者かに射殺される。 - 坂本明:
27歳。千原玲子のマネージャー。熊本出身。千原玲子と同棲していた。千原玲子殺害容疑で指名手配中。 - 片桐純司:
22歳。鹿児島市内にあるS運送のトラック運転手。鹿児島県知事の車と事故を起こした。 - 中曽根恵:
鹿児島市内で沖縄の物産店を営む。枕崎の原発反対運動のメンバー。西大山駅で何者かに狙撃され負傷する。
F&Kファンド
- 原口修一郎:
日本支社長。かつて九州支店の支店長だった。 - 太刀川勇:
38歳。原口修一郎の元秘書。鹿児島駅近くのマンションに在住。 - 井上:
広報部長。 - 安藤:
相談役。鹿児島県の元副知事。
その他の登場人物
- 渡辺浩二:
50歳。千原玲子の元マネージャー。 - 本間純子:
32歳。女優。 - 篠崎:
千原玲子の顧問弁護士。銀座に事務所をかまえる。 - 石井誠之助:
鹿児島県の副知事。元鹿児島県庁の職員。
感想
本作は、鹿児島市内、指宿、枕崎を舞台にした作品であった。
事件の根幹は、原子力発電所の誘致の問題があった。政治家と企業が癒着して、F&Kファンドが枕崎の土地を買い占めた後、政治家が原子力発電所の誘致の話を持っていき、ファンドが買い占めた土地を売却。ファンドは莫大な利益を得るという構図である。
この原発誘致問題に関連して殺人事件が発生したのである。
残念だったのは、登場人物の苦悩などがあまり描かれていなかったこと。かつての十津川警部シリーズにあった旅情や哀愁が感じられなかったことである。
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