初版発行日 2004年1月31日
発行出版社 徳間書店
スタイル 短編集
私の評価
友情、初恋、追憶……十津川の大学時代の友人が被害者!?亀井とともに怒りの追跡が始まった!十津川の学生時代の友人らが巻き込まれた4作品を収録!!
あらすじ
1.十津川警部の怒り
大阪府警に出張するため「ひかり5号」に乗車した十津川は、車中で偶然、大学時代の友人・早田規夫と再会した。現在辛口の野球解説者として活躍している早田は、甲子園へ阪神ー巨人戦を観戦に行くという。新大阪駅で二人は別れたが、翌日、警視庁に戻った十津川に、早田が殺されたという報告が!死体のそばには血まみれの、出雲市駅発の特急券が発見された。甲子園に行ったはずの早田が、なぜ出雲へ!?
2.特急「富士」殺人事件
短編集「展望車殺人事件」に収録。下記を参照↓↓
→「展望車殺人事件」
3.江ノ電の中の目撃者
十津川警部の大学時代の初恋相手・原口夕子の娘・原口由紀から、「母が夫の殺害容疑で、誤認逮捕された。助けてほしい」という相談をうける。原口夕子は20年前に不動産会社の社長と結婚し、七里ヶ浜の家に住んでいるという。2日間の休暇をとって独自捜査に乗り出した十津川だったが、哀れな結末を迎える……。
4.スーパー特急「かがやき」の殺意
売れない作家の岡田は、雑誌社の仕事で「紅葉の金沢」をテーマにした記事を書くために、金沢へ訪れた。金沢までの道中で乗ったスーパー特急「かがやき」の車内で、殺人予告ともとれる脅迫まがいの原稿を発見する。不審に思った岡田は大学時代の同級生である十津川警部に相談したが、殺人予告で指名された男が、実際に殺害されていた!
小説に登場した舞台
1.十津川警部の怒り
- 新大阪駅(大阪府大阪市淀川区)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 出雲縁結び空港(島根県出雲市)
- 出雲市駅(島根県出雲市)
- 大田市駅(島根県大田市)
- 特急「出雲4号」
- 特急「やくも18号」
- 岡山駅(岡山県岡山市北区)
- 新神戸駅(兵庫県神戸市中央区)
- 三ノ宮駅(兵庫県神戸市中央区)
- 甲子園駅(兵庫県西宮市)
- 梅田駅(大阪府大阪市北区)
- 京都駅(京都府京都市下京区)
- メリケンパーク(兵庫県神戸市中央区)
- 宍道駅(島根県松江市)
- 米子駅(鳥取県米子市)
- 米子鬼太郎空港(鳥取県境港市)
- 羽田空港(東京都大田区)
- 大阪国際空港(兵庫県伊丹市)
2.特急「富士」殺人事件
短編集「展望車殺人事件」に収録。下記を参照↓↓
→「展望車殺人事件」
3.江ノ電の中の目撃者
- 東京駅(東京都千代田区)
- 鎌倉駅(神奈川県鎌倉市)
- 七里ヶ浜駅(神奈川県鎌倉市)
- 七里ヶ浜海岸(神奈川県鎌倉市)
4.スーパー特急「かがやき」の殺意
- 上野駅(東京都台東区)
- 長岡駅(新潟県長岡市)
- スーパー特急「かがやき」
- 金沢駅(石川県金沢市)
登場人物
1.十津川警部の怒り
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。 - 早田規夫:
十津川警部の大学時代の友人。元プロ野球選手で現在は辛口の野球解説者として活躍する。甲子園球場の喫茶店「タイガース」の裏で死体となって発見された。 - 前川みどり:
早田規夫の妹。 - 坂本:
兵庫県警の警部。 - 小笠原敬:
元プロ野球選手。 - 森:
中央スポーツの記者。 - 小林:
パイレーツ球団事務所の職員。 - 山下:
特急「出雲4号」の車掌長。 - 吉田昭夫:
特急「出雲4号」の専務車掌。出雲市駅のJR寮で死体となって発見された。 - 松本圭子:
弁護士。 - 伊部カズ子:
JR出雲市駅の売店に勤務。 - 藤沢みゆき:
25歳。印刷会社に勤務するOL。奥多摩の山林で死体となって発見された。 - 増永:
検事。 - 清村勇一郎:
大阪にある焼肉店の店主。小笠原敬の知り合い。 - 田中:
世田谷署交通係の刑事。 - 安藤和夫:
元プロ野球選手。現在は目黒の運動具店の店主。
2.特急「富士」殺人事件
短編集「展望車殺人事件」に収録。下記を参照↓↓
→「展望車殺人事件」
3.江ノ電の中の目撃者
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 原口夕子:
十津川警部の大学時代の初恋相手。不動産会社の社長と結婚し、湘南の七里ヶ浜に住んでいる。夫の殺害容疑で逮捕された。 - 原口由紀:
原口夕子の娘。目黒区内のマンションに在住。 - 青木:
弁護士。 - 花田麻理:
28歳。OL。鎌倉高校前駅から品川へ通勤している。
4.スーパー特急「かがやき」の殺意
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。 - 岡田彰:
40歳。作家。十津川警部の大学時代の同級生。金沢市の中央公園で何者かに刺殺された。 - 本堂みな子:
岡田彰の恋人。 - 西崎修:
45歳。高級外車の輸入販売を営む。杉並区下高井戸のマンションに在住。自宅マンションの寝室で何者かに殺害される。 - 川本則夫:
40歳。雑貨店を営む。経堂のマンションに在住。以前、西崎修に3千万円を騙し取られていた。 - 川本典子:
36歳。川本則夫の妻。 - 松本進:
28歳。西崎修に自分の恋人を奪われた恨みつらみの手紙を送っていた男。 - 湯浅ひろ子:
25歳。松本進の恋人だった女性。その後、松本進を捨てて西崎修と付き合った。 - 中西みどり:
30歳。六本木にあるクラブのホステス。かつて西崎修と交際していたが捨てられた。 - 田島:
岡田彰に仕事を依頼した雑誌社の編集長。 - 三浦:
石川県警の警部。 - 本橋:
スーパー特急「かがやき」の車掌。
印象に残った名言、名表現
■若かりし頃の写真をみて誰もが感じる思い。
なつかしさと同時に、十津川は、恥ずかしさを感じた。当時の十津川は、もっと痩せていて、純粋な表情をしている。
どんなに偉い人間だって、二十歳前後の若いころに比べれば、明らかに醜いのだ。
感想
本作は、十津川警部の大学時代の同級生が登場する作品を集めた4つの短編集である。
長編では見られない十津川警部のプライベートの部分や、大学時代の片鱗が垣間見ることができて、いずれも、楽しい作品である。
この中で一つ挙げるとすれば、「十津川警部の怒り」だろう。100ページ超えの大ボリューム短編であり、もともと長編として書き始めたが、やっぱり短編にしたのか?と思えるほどの内容だった。
巨人の槇原や阪神の仲田幸司、斎藤、キーオが登場したり、近鉄バファローズの名前が出たり、この当時の時代を感じさせる。
また、「出雲4号」、「やくも18号」、新幹線や在来線などを利用した時刻表トリックもあり、今回はこの時刻表トリックを使ったアリバイ偽装と、十津川警部のアリバイ崩しがメインディッシュになった。
本作は、十津川警部シリーズファン、必見の一冊だといえよう。
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