初版発行日 2010年1月20日
発行出版社 新潮社
スタイル 長編
”神の領域”にまで侵食した、ある一人のドクター。十津川警部が不老不死の謎に挑む!
あらすじ
東京・横浜で相次いで起こった、高齢の資産家の殺人事件。岐阜羽島の研究室で、百五十歳までの延命を研究する謎のドクター。殺人と長寿、相反するふたつが繋がったとき、衝撃の事実が明らかに!
小説の目次
- 不老不死の誘惑
- 誘惑の論理
- 警視庁OB
- 緊急手術
- 自殺者
- 幻想の罠
- 25時の脱走
冒頭の文
その死体は、超高層マンションの、高価な絨毯の敷き詰められた、リビングルームの床に、横たわっていた。
小説に登場した舞台
- 新横浜駅(神奈川県横浜市港北区)
- 岐阜羽島駅(岐阜県羽島市)
- 名古屋駅(愛知県名古屋市中村区)
- 浜松駅(静岡県浜松市中区)
- 伊良湖岬(愛知県田原市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
事件関係者
- 安岡茂樹:
81歳。1年前までN商事の会長だった。自宅マンションで服毒死する。 - 筒井慶三郎:
85歳。筒井自動車の元会長。自宅マンションで服毒死する。 - ドクター朝倉:
岐阜羽島で不老不死の研究をしている。 - 天野五郎:
70歳。元警視庁の刑事。退職後は会津若松で大きな旅館を経営していた。 - 池上玲子:
岐阜柳ヶ瀬クラブ「れいこ」のママ。 - 池上清志:
池上玲子の夫。かつて不老不死研究所で働いてたが、自殺してしまった。
その他の登場人物
- 木下:
安岡茂樹の主治医。60歳。 - 安岡美奈:
安岡茂樹の妻。36歳。 - 成田:
神奈川県警の警部。 - 筒井綾子:
42歳。筒井慶三郎の妻。 - 木内:
愛知県警の警部。 - 島田新太郎:
108歳。愛知県の資産家。 - 天野典子:
天野五郎の妻。42歳。再婚相手。 - 後藤田:
国立老人医療センターの主任教授。 - 原口:
R医科大学の教授。脳科学の専門家。 - 沢村:
富士丸Ⅱの船長。 - 阿部信一郎:
75歳。資産家。
印象に残った名言、名表現
■十津川警部は、状況証拠をもとに、ひとつのロジックを組み上げる。そのロジックに合致していない方がおかしいと考える。合致した事象が必ずあると考える。
「たしかに、探すのは大変ですし、今のところ、その存在させ、はっきりしていません。しかし、私は、あると、確信しています。なければ、おかしいのです。」
感想
本作は、現代の最先端技術の一つとして注目されている、クローンや不老の研究がテーマになっている。作品の中に、その研究内容が記されるという、チャレンジングな試みだ。
もちろん、2020年現在において、作品が刊行された2010年から、さらに研究は進歩しているだろう。それでも、「医療技術はここまで進化したのか」という驚き、ある種の恐怖が感じられる。
さて、本作は犯人当てのミステリーではない。物語の序盤で、ほぼ確信に近い容疑者が浮上する。それが、ドクター朝倉である。十津川警部も、彼を容疑者の第一候補として、早い段階からマークするが、証拠がない。尻尾もつかめない。
この状態から、いかに、犯人を追い詰めていくのか?が、ストーリーの本筋になる。
内容は明かすことができないが、今回の犯人はかなり手強い。自信満々に警察に対し、挑発を繰り返す。警察が本丸に乗り込んでも、カウンターパンチを食らってしまう。
十津川警部シリーズ史上、最もやっかいな犯人の一人であることは、間違いない。
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