初版発行日 1987年7月25日
発行出版社 集英社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
十津川、亀井の推理が炙り出す暗い過去とは!?
十津川、亀井の推理が炙り出す暗い過去とは!?
あらすじ
ひとり娘の女子大生・亜矢子が、伊勢・志摩に旅行に出たまま、帰ってこない―。元国務大臣で太陽薬品社長の平山から相談を受けた警視庁捜査一課の十津川警部は、元刑事だった橋本豊に捜索を依頼する。橋本は伊勢市内の旅館で、亜矢子が西尾あや子という偽名を使っていることをつきとめる。その夜、旅館のおかみと女子従業員が何者かに殺された。
小説の目次
- 橋本豊
- 伊勢の町で
- 鳥羽と東京の間
- イルカ島
- 救援
- 秘密
- 二人の死者
- 個人秘書
- 死者の証言
- アリバイ
- 過去を追う
- 最後の旅
冒頭の文
十津川が入って行くと、刑事部長室には、六十歳ぐらいの痩せた男が、三上部長と話をしていた。
小説に登場した舞台
- 東京駅(東京都千代田区)
- 名古屋駅(愛知県名古屋市中村区)
- 宇治山田駅(三重県伊勢市)
- 伊勢神宮(三重県伊勢市)
- 古市(三重県伊勢市)
- 真珠島(三重県伊勢市)
- 鳥羽水族館(三重県伊勢市)
- 金刀比羅宮(三重県伊勢市)
- 日向島(イルカ島)(三重県伊勢市)
- 富士見展望台(三重県伊勢市)
- 賢島(三重県志摩市)
- 成田空港(千葉県成田市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
三重県警
- 富田:
三重県警の刑事。 - 新名:
38歳。三重県警の警部。
事件関係者
- 橋本豊:
元警視庁捜査一課の刑事で、十津川警部の元部下。殺人未遂容疑で服役していたが出所後はトラックの運転手をしていた。十津川の依頼で平山亜矢子の捜索をすることになる。 - 西尾昇平:
当時50歳。賢島にある旅館を営んでいた。3年前、旅館が火事になって死亡した。 - 西尾優子:
42歳。西尾昇平の妻。3年前、旅館が火事になって死亡した。 - 西尾徹:
13歳。西尾昇平の息子。3年前、旅館が火事になって死亡した。 - 西尾あや子:
西尾昇平の娘。3年前の火事の後、東京に引っ越す。 - 平山:
太陽薬品の社長。元国務大臣。等々力の豪邸に在住。 - 平山威一郎:
平山の息子。 - 平山亜矢子:
平山社長の娘。S大学に通う女子大生。伊勢志摩に旅行に行ったが行方不明になった。 - 野口透:
橋本豊を尾行していた男。去年まで新宿に本社のあるK電気で働いていた。イルカ島で何者かに射殺された。 - 関口はるみ:
野口透の恋人。元K電気の社員。西尾あや子のマンションで死体となって発見された。 - 金子みどり:
30歳。銀座にあるクラブ「ジョーカー」のママ。平山の愛人だった。 - 三田村弘:
37歳。青年実業家。目黒に在住。平山の元秘書。 - 松田優:
3年前の西尾旅館の火事は殺人事件だと主張していた男。1年前、志摩の海で水死体となって発見された。 - 大野さと子:
銀座にあるクラブ「ドリーム」のママだった女性。23年前、平山の愛人だった。 - 大野章:
大野さと子と平山の息子。大久保のマンションに在住。
その他の登場人物
- 立木ユミ:
宝石デザイナー。西尾あや子と親しくしていた。 - 佐々木敬:
38歳。中野に事務所をかまえる弁護士。平山の元秘書。 - 太田:
平山の元秘書。 - 片平良吉:
52歳。志摩の鮮魚商。 - 小坂井功:
志摩にある喫茶店の店主。 - 八木:
鳥羽新報の編集長。 - 沢田祐一:
60歳。銀座三丁目に事務所をかまえるコンサルタント。銀座のネオン街に詳しい。
感想
本作は、3年前に発生した賢島にある「西尾旅館」の火事で、旅館を営んでいた家族が死亡したことに端を発する殺人事件だった。
そして、本作のスタートは、元警視庁捜査一課の刑事の橋本豊が、十津川警部の依頼で平山代議士の娘・平山亜矢子の捜索をするところから始まる。3年前の事件と橋本豊が始めた捜索は、繋がっており、この捜索が事件の根幹に触れることでもあったのだ。
その後は、十津川警部が執念の捜査で一つ一つ事実を積み上げていき、推理を重ね、犯人に少しずつ迫っていく。
前半はスローペースだが、後半から一気にスピードアップ。このスピード変化が十津川警部シリーズの魅力の一つである。
コメント