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「上越新幹線殺人事件」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

上越新幹線殺人事件小説

初版発行日 1998年10月5日
発行出版社 講談社
スタイル 長編

POINT】
5年の歳月を経て動き出す犯人とひとりの男。事件を追う警視庁と元刑事。2つの物語が交錯する傑作サスペンス!
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あらすじ

時限爆弾に寄る爆破事件が、新宿のデパートかで発生した。十津川警部はその手口から、企業を襲った連続爆弾魔「トキオ」の犯行と疑う。だが、彼は自分がつくった爆弾で死んだはずだった。十津川は「トキオ」を追いかけていた元刑事のもとを訪ねるが、その妻が「あさひ318号」の車内で爆殺されてしまった!

小説の目次

  1. 月岡温泉
  2. 接触
  3. ビデオ
  4. Wデパート
  5. 二年間の空白
  6. 最後の脅迫

小説に登場した舞台

  • 新潟駅(新潟市中央区)
  • 月岡温泉(新潟県新発田市)
  • 阿賀野川(新潟県阿賀野市)
  • 瓢湖(新潟県阿賀野市)
  • 白鳥会館(新潟県阿賀野市)
  • 芦花公園(東京都世田谷区)
  • 小田原魚市場(神奈川県小田原市)
  • 東京駅(東京都千代田区)
  • 大宮駅(埼玉県さいたま市大宮区)

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三田村功:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 田中大輔:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 片山明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 本多時孝:
    警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

事件関係者

  • 小久保勇:
    53歳。元警視庁の刑事。十津川の先輩。
  • 金井弘子:
    小久保勇の再婚相手。”弘美”の名前で芸者をしている。
  • 和田真治:
    元自衛官。5年前のトキオ事件で、警察が重要人物としてマークしていた男。警察に追い詰められて、自死した。
  • 宮地健:
    37歳。元自衛官。父親の死後、火薬工場を継いだ。和田真治と自衛隊で一緒だった。
  • 村上肇:
    35歳。池袋に本社のある警備会社「SS」の従業員。和田真治と自衛隊で一緒だった。
  • 長谷川良:
    32歳の男。
  • 太田啓介:
    37歳。大手の設計事務所で働いている。
  • 東野みゆき:
    28歳。太田啓介の恋人。OL。
  • 加納志郎:
    36歳。太田啓介の友人。N大学の助手。
  • 井口功:
    35歳。予備校で数学の教師をしている。
  • 大森芳郎:
    35歳。翻訳のアルバイトをしている。

その他の登場人物

  • 片山:
    ディスカウントショップSのオーナー。
  • 大野:
    警部会社「SS」の社長。警視庁のOB。
  • 竹田:
    消防隊長。
  • 赤坂広平:
    Wグループの副社長。
  • 加藤伸二:
    Wデパート池袋店の支店長。
  • 久保田:
    北条早苗の同級生。K新聞の記者をしている。
  • 阿部:
    お台場のホテルKの保安担当。元捜査一課長。
  • 丸山:
    旭出版の出版部長。
  • 竹見:
    品川にあるホテルOの支配人。

本作で印象に残った名言、名表現

(1)爆弾魔TOKIOについて、十津川警部の考察。人間の心理を深く見つめている。

「TOKIOの署名。連中は、問い詰められれば、偶然というだろう。
 だが、五人とも三十代と若い。彼等が爆弾魔なら、自分たちの行動を、単なる悪とは思っていないだろう。ひょっとすると、世直しの正義ぐらいに思っているのではないか。
 そうした連中は、たいてい自分たちの署名に拘る。かい人21面相もそうだし、神戸の少年もそうだった。何か意味のある署名をしたがるのだ。」

(2)十津川警部の執念を感じさせることば。

「彼等が、真犯人なら、必ずボロを出すさ。だから、監視し、彼等のことを調べる。彼等の経歴、性格、収入、家族、全てを、私は、知りたいんだ」

(3)十津川警部の経験に裏打ちされた直感。こうした直感はだいたい正しい。

「ふいに、十津川の身体を戦慄が走った。理屈ではなく、感覚だった。」

本作のキーワードは”トキオ
本作の重要な謎は、「なぜ犯人はいとも簡単にビルを爆破できたのか?

総評

本作は、5年前の”未解決事件”が尾を引いている。警視庁では解決とした事件だったが、ある男の中では未解決だったのだ。その事件が5年の歳月を経て、ふたたび動き出す。十津川警部が動き、男も動き出す。

この5年越しという長い年月をかけたところに、物語の壮大さを感じる。十津川警部にも、この男にも感情移入してしまう。

手がかりがつかめないときの苛立ち、犯人を取り逃がしたときの悔しさ、犯人の身勝手な行動に対する怒り、夢半ばで命を落とす無念さ。十津川警部やこの男を通して、事件を追体験し、さまざまな感情を覚える。

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