初版発行日 2010年3月31日
発行出版社 角川書店
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
豪華特典の車中での息詰まる頭脳戦ー。十津川警部を悩ませる暗号に隠された犯行計画!
豪華特典の車中での息詰まる頭脳戦ー。十津川警部を悩ませる暗号に隠された犯行計画!
あらすじ
交通事故で死亡した女性の財布に残されていた新聞広告の切り抜きには、暗号めいた数字が記されていた。十津川警部は、この切り抜きに隠された国家を揺るがす犯行計画に気づく。それは、首相と総務大臣が首相官邸で死亡するという、5年前に起こった異常な事件に端を発していた。一方、京都駅の0番ホームには、新聞広告を目にした犯人グループのメンバーらが集結し始めていた。夜行寝台特急に乗り込んだ彼らの緻密な犯行計画とは?そして上野から札幌に向かう豪華特典「カシオペア」の車中で、十津川警部と犯人グループとの息詰まる攻防が始まる!
小説の目次
- ある広告
- 六人の行方
- 奇妙な行動
- 不可解な動き
- 列車ジャック
- 犯人の居場所
- 自首の意味
冒頭の文
三月三日の朝刊各紙に、次のような尋ね人の広告が載った。
小説に登場した舞台
- 京都駅(京都府京都市下京区)
- 寝台特急「トワイライトエクスプレス」
- 東室蘭駅(北海道室蘭市)
- 室蘭港(北海道室蘭市)
- 白鳥大橋(北海道室蘭市)
- 登別駅(北海道登別市)
- 登別温泉(北海道登別市)
- 寝台特急「カシオペア」
- 福島駅(福島県福島市)
- 上野駅(東京都台東区)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 郡山駅(福島県郡山市)
- 会津若松駅(福島県会津若松市)
- 東山温泉(福島県会津若松市)
- 大宮駅(埼玉県さいたま市大宮区)
- 青森駅(青森県青森市)
- 青函トンネル
- 函館駅(北海道函館市)
- 森駅(北海道・森町)
- 洞爺駅(北海道・洞爺湖町)
- 苫小牧駅(北海道苫小牧市)
- 新千歳空港(北海道千歳市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 亀井公子:
亀井刑事の妻。 - 亀井健一:
亀井刑事の息子。 - 佐久間:
鉄道警察隊の隊員。 - 田島:
中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。
N会
- 佐伯康之:
当時53歳。コンサルタント事務所の社長。私塾「N会」の会長。総務大臣に抜擢された。5年前、首相官邸で死体となって発見された。 - 佐伯晴香:
35歳。佐伯康之の娘。会津若松出身。「N会」のメンバー。 - 井崎香里:
33歳。秋山の恋人。「N会」のメンバー。代田橋の交差点で交通事故によって死亡する。 - 雨宮裕也:
36歳。「N会」のメンバー。 - 井上文彦:
40歳。元陸上自衛隊。「N会」のメンバー。 - 行方進:
34歳。空手二段。「N会」のメンバー。 - 比嘉信和:
37歳。沖縄の生まれで父親はアメリカ陸軍。「N会」のメンバー。 - 徳川公生:
45歳。徳川家康の子孫を自認している。「N会」のメンバー。
事件関係者
- 安井:
5年前、首相官邸で何者かに殺害された。当時、総理大臣だった。 - 早川進:
現在の総理大臣。安井首相時代は首相秘書官をしていた。 - 木内:
首相秘書官。 - 青木:
首相秘書官。 - 日下部:
副首相。 - 小野寺夫妻:
寝台特急「カシオペア」の乗客。武蔵小金井に在住。 - クリッパー夫妻:
前アメリカ大統領夫妻。
その他の登場人物
- 秋山:
35歳。「アイダ精密工作機械製造」の社長。 - ゴーリヤ:
ロシア人のブローカー。 - 小野剛史:
ジャーナリスト。佐伯康之の友人だった男。 - 浅井:
佐伯晴香の顧問弁護士。
印象に残った名言、名表現
なし。
感想
本作は、政治的な思想をもったグループが、首相や前アメリカ大統領夫妻を、トレインジャックという形で人質にとるというショッキングな事件であった。
これまでにも、十津川警部シリーズでは、首相がターゲットになった作品はあったが、ここまで直接的に事件に絡んだことは少ない。そういう意味で、十津川警部シリーズ史上、最大のターゲットと言っても過言ではない。
さて、本作は、寝台特急「トワイライトエクスプレス」や「カシオペア」という豪華列車が舞台となっており、主に東北から北海道が登場する。では、なぜ、「京都駅0番ホームの危険な乗客たち」というタイトルなのか?
それは、今回の事件解決の突破口の一つになった、暗号トリックを示すものであるからである。この暗号の答えが「京都駅0番ホーム」になっている所がミソなのだ。
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