初版発行日 1985年2月25日
発行出版社 光文社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
青森―東京―京都が舞台の強烈な謎とサスペンス!十津川の推理が冴え渡る!!
青森―東京―京都が舞台の強烈な謎とサスペンス!十津川の推理が冴え渡る!!
あらすじ
青森から大阪まで。日本海沿いをひた走る寝台特急で専務車掌が絞殺された。事件の謎を握るのは五年前に車中で出産した若い女性。その足跡を辿ると、男女が続けて不審な死を遂げていることが判明。おまけに当人らしき女性は越前岬から投身自殺したという。
小説の目次
- 第一の事件
- 三つの接点
- 女の過去
- 新たな殺人
- マンションのカギ
- 東北新幹線
- 影の人間
- 一人の男
- 三十六年前の疑惑
- 北への旅
- 海の心中行
- アリバイの追求
- 怨念の声
冒頭の文
発達した低気圧が、三陸沖を北進しているせいか、青森の街には粉雪が舞っていた。
小説に登場した舞台
- 青森駅(青森県青森市)
- 弘前駅(青森県弘前市)
- 大館駅(秋田県大館市)
- 秋田駅(秋田県秋田市)
- 羽後本荘駅(秋田県由利本荘市)
- 酒田駅(山形県酒田市)
- 新津駅(新潟県新潟市秋葉区)
- 直江津駅(新潟県上越市)
- 富山駅(富山県富山市)
- 金沢駅(石川県金沢市)
- 福井駅(福井県福井市)
- 敦賀駅(福井県敦賀市)
- 京都駅(京都府京都市下京区)
- 新大阪駅(大阪府大阪市淀川区)
- 大阪駅(大阪府大阪市北区)
- 四谷三丁目駅(東京都新宿区)
- 清水谷公園(東京都千代田区)
- 咲花温泉(新潟県五泉市)
- 咲花駅(新潟県五泉市)
- 大宮駅(埼玉県さいたま市大宮区)
- 盛岡駅(岩手県盛岡市)
- 特急「はつかり7号」
- 青森駅(青森県青森市)
- 青森港(青森県青森市)
- 福島駅(福島県福島市)
- 羽田空港(東京都大田区)
- 青森空港(青森県青森市)
- 恐山(青森県むつ市)
- 下鴨神社(京都府京都市左京区)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 田中大輔:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 西野:
青森県警の刑事。 - 杉浦:
京都府警捜査一課の警部。 - 井原:
京都府警の警部。 - 津田:
福井県警の警部。 - 有元:
新潟県警刑事課の刑事。 - 三浦:
青森県警捜査一課の警部。 - 外山:
青森県警の刑事。
事件関係者
- 広野:
48歳。寝台特急「日本海2号」の専務車掌。寝台特急「日本海2号」の車内で死体となって発見された。 - 深見早苗:
当時20歳。5年前、「日本海1号」のベッドの上で出産した女性。平城大学を中途退学した。別荘で服毒死した。 - 松本かね子:
49歳。渋谷にある星野総合病院の看護師長。弘前出身。今年の正月に弘前で車にはねられて死亡した。 - 遠藤和夫:
25歳。松本かね子をはねたトラック運転手。 - 羽田:
救急隊の隊員。5年前、鈴木早苗を病院まで運んだ。今年の正月に雪の下敷きになって死亡した。 - 河西:
清水谷公園で死体となって発見された男。 - 佐藤市郎:
40歳。青森駅前にある不動屋の社長。何者かに毒殺された。 - 堀田俊一郎:
56歳。太平洋電気の社長。 - 堀田進二:
堀田俊一郎の弟。太平洋電気の販売子会社の社長。別荘で服毒死した。 - 山崎鉱一:
53歳。太平洋電気の営業部長。世田谷区成城に在住。青森港の岸壁で水死体となって発見された。 - 堀田要:
太平洋電気の子会社・太平洋企画の秘書。 - 堀田進太郎:
堀田俊一郎と深見早苗の息子。
その他の登場人物
- 深見晋作:
深見早苗の父親。丸太町通にある漬物店の店主。 - 深見徳子:
深見早苗の母親。 - 河野みゆき:
東京のKBKテレビのアナウンサー。京都にある平城大学の卒業生。 - 沢井由美:
四谷三丁目のマンションに在住。平城大学の卒業生。深見早苗の友人。 - 花井かずみ:
京都にある旅館の手伝い。深見早苗の友人。 - 小西徳之助:
青森の元漁師。 - 柴田純:
歌手。 - 上田:
51歳。寝台特急「日本海2号」の車掌長。 - 広野章子:
広野専務車掌の妻。 - 井上:
寝台特急「日本海2号」の専務車掌。 - 林:
寝台特急「日本海2号」の客専見習。 - 新見:
大阪駅の助役。 - 三沢:
5年前、広野と一緒に「日本海1号」の車掌をしていた。 - 飯田:
星野総合病院の事務長。 - 安井:
救急隊の隊員。5年前、鈴木早苗を病院まで運んだ。 - 羽田:
救急隊の隊員。 - 山崎敏子:
山崎鉱一の妻。 - 山崎由香:
山崎鉱一&敏子の娘。K大学に通う女子大生。 - 西島:
太平洋電気の部長秘書。 - 矢吹:
太平洋電気の営業部次長。 - 中西:
太平洋電気の人事部長。
感想
本作は、序盤が良かったが、序盤の良さを中盤以降に台無しにしてしまった印象である。
序盤は、魅力的な謎が提示されたし、リズムよく進み、物語に一気に入り込めた。が、中盤からはスピード感もテンポも悪くなり、ダラダラとした展開が続く。
中盤は関係者たちの人間関係を探ったり、過去を探ったりして、捜査を深める流れだったと思うのだが、あそこまで、長々と捜査する下りが必要だったのか?結果得的に関係ない人物も登場したりして、話がややこしく、わかりづらくなってしまった。
あまりにも中盤が長く冗長なので、いったい何の話をしてるんだ?と思ってしまった。本作は、この中盤で離脱してしまった人もいるかもしれない。
あまりにも長い中盤から、終盤は一気にスピードアップする。これも十津川警部シリーズの特徴であるが、中盤が長すぎたため、終盤は急ぎすぎて無理矢理終わらせたような印象になってしまう。
はっきり言えば、本作は序盤と終盤だけで良かったかもしれない。序盤が良かっただけでに、中盤以降のダラダラ展開が残念でならない。
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