初版発行日 2018年6月30日
発行出版社 光文社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
能登路をはしる『花嫁のれん』の車内に、加賀友禅の花嫁が突然、現れ、消えた!?
能登路をはしる『花嫁のれん』の車内に、加賀友禅の花嫁が突然、現れ、消えた!?
あらすじ
十五年前の映画「北の城の花嫁」の主演女優・宇野喜代子が七尾で殺された。雑誌編集者・黒木は、彼女が十五才で出産、渡米していたことを知る。米国で育った喜代子の娘でモデルの小賀れいらが帰国し、金沢で母の死の謎を探っていた。れいら主演で「北の城の花嫁」再映画化が決まるが、内容を巡る対立が発生。一方、れいらのマネージャーが襲われる。十津川は、れいらの父親が大物政治家・古賀代議士であることを知るが、京都でさらに殺人が!
小説の目次
- 観光列車「花嫁のれん」
- 十五才十五年
- 金沢とモデル
- 映画の話
- 京都望見
- 政治家たち
- 真実の脚本
- 正史から秘史へ
冒頭の文
現在、日本を走っている鉄道は、三つに分けられるといわれる。
小説に登場した舞台
- 東京駅(東京都千代田区)
- 特急「はくたか551号」
- 金沢駅(石川県金沢市)
- 「花嫁のれん1号」
- 和倉温泉駅(石川県七尾市)
- 和倉温泉(石川県七尾市)
- 一本杉通り(石川県七尾市)
- 花嫁のれん館(石川県七尾市)
- 本延寺(石川県七尾市)
- 能登島(石川県七尾市)
- 東映 京都撮影所(京都府京都市右京区)
- 四条河原町(京都府京都市下京区)
- ひがし茶屋街(石川県金沢市)
- 嵯峨野(京都府京都市右京区)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 篠原:
石川県警の刑事。 - 原田:
京都府警捜査一課の刑事。 - 橋本豊:
私立探偵。元警視庁捜査一課の刑事で、十津川警部の元部下。 - 田島:
中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。
事件関係者
- 黒木:
雑誌「鉄道アラカルト」の編集者。 - 鬼名綾乃:
雑誌「鉄道アラカルト」の新人編集者。 - 宇野喜代子:
30歳。元女優。15年前、映画「北の城の花嫁」の主演だった。八王子にある児童養護施設「斉生院」の出身。本延寺で死体となって発見された。 - 古賀:
62歳。代議士。保守党のドン。 - 加藤:
古賀代議士の秘書。 - 小賀れいら:
15歳。宇野喜代子の娘。モデル。青山にあるモデルクラブMMMに所属。 - 坂本みずほ:
小賀れいらのマネージャー。車で轢かれて負傷した。 - 渡辺:
映画会社の元社長。京都に在住。 - 小野寺:
フードチェーン「ジャパンフードチェーン」の社長。京都の河原町に在住。 - 小野寺愛子:
フードチェーン「ジャパンフードチェーン」の副社長。 - 三村修:
35歳。三軒茶屋に事務所をかまえる私立探偵。鴨川の河原で死体となって発見された。 - 堀内勇人:
脚本家。 - 井上昭:
脚本家。最近、死亡した。 - 川原:
映画監督。すでに死亡している。
その他の登場人物
- 入江洋一郎:
70歳。映画「北の城の花嫁」を撮った映画監督。 - 田中京子:
女優。映画「北の城の花嫁」に脇役で出演した。 - 宇野:
八王子にある児童養護施設「斉生院」の院長。
感想
本作は、事件のスタートが「花嫁のれん」であり、事件のメインは京都が舞台となった。
15年前の公開された映画と、今回、京都で撮影することになった映画の関連が事件の肝になっており、書き換えられた映画の脚本がカギを握っていたという話であった。
もう少し、「花嫁のれん」の描写を多くしてほしかったというのが率直な感想である。また、事件の終わり方が逮捕や完結まで至らず、捜査の方向性が固まった段階で終わったのが、少し消化不良でもある。
最後に、西村京太郎先生のことばを紹介しておく。
最近は、観光列車ばやりである。しかも、その殆どが成功している。北陸に生まれた『花嫁列車』も観光客で賑わっている。それを聞くと、作家としては、その列車の中で、事件を起こしたくなる。美しい花嫁のれんの陰での殺人、果たして上手くいったか、読んでくださればさいわいです。
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