初版発行日 1988年6月30日
発行出版社 光文社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
札幌駅を起点に定山渓、豊平峡を巡り、事件は意外は展開を。十津川警部は真犯人の罠に挑んだ。
札幌駅を起点に定山渓、豊平峡を巡り、事件は意外は展開を。十津川警部は真犯人の罠に挑んだ。
あらすじ
午後七時に札幌にいた男が、函館駅17時12分発の特急「北斗13号」に乗ることができるか?午後九時すぎ、札幌駅に到着した同列車内で刺殺された私立探停石本功は、まさにこのケースだった。石本は不倫で駆け落ちしたエリート社員とOLを尾行していた。
小説の目次
- 千歳空港
- 第二の殺人
- 疑惑
- 観光バスの客
- 豊平峡ダム
- 逮捕と裏切り
- 再検討
- 札幌駅の罠
冒頭の文
市川真代は、札幌市内のホテルを出て、タクシーで千歳空港に向かった。
小説に登場した舞台
- 千歳空港(北海道千歳市)
- 札幌駅(北海道札幌市北区)
- 円山公園駅(北海道札幌市中央区)
- 中島公園(北海道札幌市中央区)
- 特急「北斗13号」
- 定山渓温泉(北海道札幌市南区)
- ホテル鹿の湯(北海道札幌市南区)
- かっぱ淵(北海道札幌市南区)
- 大倉山ジャンプ競技場(北海道札幌市中央区)
- 藻岩山(北海道札幌市中央区)
- 羊ケ丘(北海道札幌市豊平区)
- 野幌森林公園(北海道江別市)
- 北海道開拓の村(北海道札幌市厚別区)
- 豊平峡ダム(北海道札幌市南区)
- 羽田空港(東京都大田区)
- 新宿東口(東京都新宿区)
- 熱海駅(静岡県熱海市)
- 伊豆熱川駅(静岡県・東伊豆町)
- 特急「ライラック9号」
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 三浦:
北海道警の警部。 - 山口:
北海道警の刑事。 - 片山:
北海道警の刑事。 - 白石:
北海道警の刑事。 - 森:
北海道警の刑事。 - 佐々木:
北海道警の刑事。 - 木崎:
北海道警の刑事部長。 - 皆川:
静岡県警の警部。
事件関係者
- 市川真代:
24歳。都内でOLをしていたが、田宮と新しい生活を始めるために札幌へ引っ越した。 - 田宮:
40歳。中央興産の営業課長。妻も仕事も捨てて市川真代と札幌で新しい生活を始める。 - 田宮はるみ:
35歳。田宮の妻。中央興産重役の娘。等々力に在住。札幌市内のNホテルで死体となって発見された。 - 原田みどり:
原田はるみの親戚。 - 石崎功:
31歳。四谷三丁目に事務所をかまえる私立探偵。特急「北斗13号」の車内で何者かに刺殺される。 - 木元和子:
東京にある山本法律事務所の弁護士。 - 水原健:
33歳。渋谷駅近くの雑居ビルに事務所をかまえる私立探偵。傷害の前科あり。豊平峡ダムで死体となって発見された。
その他の登場人物
- 山下:
特急「北斗13号」の車掌。 - 木島きく:
50歳。札幌市内のNホテルのルーム係。 - 大下徹:
41歳。札幌市内のNホテルのフロント。 - 大和田伸一:
40歳。札幌市内にある喫茶店のオーナー。網走の生まれ。 - 大和田きみ子:
大和田伸一の妻。 - 石原:
中央興産の販売課長。田宮の同期。 - ケイコ:
銀座のクラブ「綾」のホステス。田宮と親しくしていた。 - 大竹昭子:
元中央興産の社員。世田谷区代田に在住の主婦。 - 森:
30歳。元中央興産の社員。 - 小坂井明:
豊平峡ダム管理事務所の職員。
印象に残った名言、名表現
■東京と札幌の違い。
東京は、でこぼこした街なのに、この札幌は真っ平らなのだ。高層建築のことではない。東京は、山や谷のある地形のところに、家が建てられた感じなのに、この札幌は、真っ平らな場所に、家を建てたことがよくわかる。
感想
2021年現在、駅シリーズは9作品が刊行されている。
- 東京駅殺人事件(1984年)
- 上野駅殺人事件(1985年)
- 函館駅殺人事件(1986年)
- 西鹿児島駅殺人事件(1987年)
- 札幌駅殺人事件(1988年)←本作
- 長崎駅殺人事件(1991年)
- 仙台駅殺人事件(1995年)
- 京都駅殺人事件(2000年)
- 新・東京駅殺人事件(2014年)
十津川警部【駅シリーズ】おすすめランキング!
今回は十津川警部シリーズを500作以上読んだわたしがおすすめする、駅シリーズおすすめランキングを紹介します。
本作は、第5作である。
今回の作品の特徴は「心理的なトリック」であった。物語の前半と後半で、人物の印象が180度代わってしまう。この事により、当初いだいていた全体像も、大きく変わってしまうのである。
物語の前半は、すべてを捨てて、札幌に来て、新しい生活を始めようと奮闘する男女の美しい愛、という印象だった。
不倫で愛し合っていた男女。男は資産家の娘の妻を捨てて愛した女の元へ行く。女は先に札幌に行き、健気に男を待つ。札幌で落ち合った男と女は、すべてをすてて愛し合う。
だが、後半はすべてが逆転してしまう。
美しい男女の恋愛逃避行も逆転する。前半で起こった殺人事件や、敵と味方の存在もすべてが逆転してしまうのだ。
この鮮やかな心理的トリックを、ぜひ味わってもらいたい。
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