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十津川捜査班の「決断」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

十津川捜査班の「決断」小説

初版発行日 2012年9月10日
発行出版社 祥伝社
スタイル 短編集

私の評価 3.8

POINT】
宮古、湘南、知床、札幌が舞台の短編集。複雑に交錯する謎に十津川が挑む!
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あらすじ

1.宮古行「快速リアス」殺人事件

盛岡発宮古行「快速リアス」の車内で、前科二犯の荒木が毒殺された。インターネットで引き受けた怪しげな仕事の最中でのことだった。一方、東京のクラブママ殺害容疑で逮捕されていた男が、事件当夜荒木と会っていたと突然アリバイを主張。どんな意図が?二つの事件解決のため同じ列車に乗り込んだ十津川警部が気づいたこととは?

2.湘南情死行

警視庁捜査一課の西本刑事は、新しい恋人・塚本恵と湘南のドライブを楽しんでいた。湘南の海岸沿いにあるレストランで食事していたところ、海を走るクルーザーが見えた。クルーザーでは男女が仲睦まじくしていた。が、そのクルーザーが突然、爆発した。豪華クルーザーはなぜ爆発したか?午後3時20分、仕掛けられた時限装置の謎に十津川警部が迫る!

3.わが愛 知床に消えた女

警視庁捜査一課の元刑事で私立探偵の橋本豊のもとに、失踪人の捜索依頼が舞い込んだ。行方不明となったのはOLの三浦亜紀。「ひとりで生活してみたい」という手紙を残していた。橋本は調査を開始するが、真面目な亜紀には男の影もなく、手がかりがつかめない。しかし、直前に一千万円の貯金を下ろしていた。事件に巻き込まれたのか?やがて、携帯電話の交信記録から亜紀が知床にいることが判明。現地へ飛んだ橋本は、亜紀が事故死したという証言を得る。不審を抱いた橋本はかつての上司十津川に協力を要請した…。

4.カシオペアスイートの客

札幌に到着した寝台特急「カシオペア」車内で若い女性の刺殺体が発見された。現場となったのは展望室タイプの最上級スイート個室。その部屋の男性客が消えていた。妻との旅行で同じ列車に乗り合わせた警視庁の退職刑事・内山には男性客とどこかで会っている記憶があった。北海道警の捜査に協力した内山は、元上司の十津川警部に連絡。やがて八カ月前に渋谷で起きた資産家殺しとの関係が浮上した。その事件は容疑者自殺で決着していが……。消えた男性客の正体と行方は?

小説に登場した舞台

1.宮古行「快速リアス」殺人事件

  • 快速リアス
  • 宮古駅(岩手県宮古市)
  • 盛岡駅(岩手県盛岡市)

2.湘南情死行

  • 熱海(静岡県熱海市)
  • 小田原(神奈川県小田原市)

3.わが愛 知床に消えた女

  • 女満別空港(北海道・大空町)
  • ウトロの町(北海道・斜里町)
  • オシンコシンの滝(北海道・斜里町)
  • 知床第一ホテル(北海道・斜里町)
  • ウトロ漁港(北海道・斜里町)

4.カシオペアスイートの客

  • 上野駅(東京都台東区)
  • 寝台特急カシオペア
  • 札幌駅(北海道札幌市北区)
  • 横浜元町商店街(神奈川県横浜市中区)
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登場人物

1.宮古行「快速リアス」殺人事件

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。
  • 荒木圭介:
    35歳。詐欺や恐喝で前科二犯。渋谷区初台のマンションに在住。インターネットで請け負った仕事で宮古まで向かう途中、快速リアスの車内で毒殺される。
  • 川田真由美:
    荒木圭介行きつけ「クラブまゆみ」のママ。
  • 白石:
    岩手県警の警部。
  • 岩本:
    快速リアスの車掌。
  • 山本由佳里:
    40歳。六本木のクラブのママ。世田谷区成城に在住。何者かに殺害される。
  • 原田健太郎:
    35歳。新橋駅近くの印刷会社に勤務。世田谷区成城で起きた山本由佳里殺人事件の容疑者として逮捕された男。荒木圭介の友人。
  • 伊藤浩:
    20歳。成城にある中華料理店の店員。
  • 長谷川亜矢:
    山本由佳里が営んでいた六本木クラブのホステス。山本由佳里の姪。

2.湘南情死行

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 塚本恵:
    24歳。西本刑事の大学の後輩で恋人。新橋の設計事務所に勤務。
  • 三浦:
    神奈川県警捜査一課の警部。
  • 宮川拓也:
    35歳。青年実業家。IT企業の社長。港区白金に在住。小田原の海でクルーザーに乗っていたところ、クルーザーが爆発し死亡する。
  • 矢野明日香:
    23歳。Rプロダクション所属の女優。宮川拓也の不倫相手。小田原の海でクルーザーに乗っていたところ、クルーザーが爆発し死亡する。
  • 宮川祥子:
    宮川拓也の妻。
  • 桜井:
    ベンチャー企業の社長。
  • 加藤:
    Rプロダクションのマネージャー。
  • 樋笠典子:
    27歳。Rプロダクション所属の女優。
  • 寺脇秀二:
    宮川拓也の顧問弁護士。
  • 浅井守:
    25歳。米軍厚木基地に勤務。

3.わが愛 知床に消えた女

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 橋本豊:
    私立探偵。元警視庁捜査一課の刑事で、十津川警部の元部下。
  • 田中ゆかり:
    25歳。橋本豊探偵事務所の秘書兼金庫番。
  • 三浦亜紀:
    29歳。M商事の経理部に勤務。1ヶ月前に突然退職し行方不明になる。
  • 三浦誠一:
    三浦亜紀の父親。世田谷区給田に在住。
  • 三浦富美子:
    三浦亜紀の母親。
  • 坂本清:
    知床に住むセフティコンサルタント。元警官。
  • 五十嵐京子:
    30歳。知床ジェットで勤務する女性。東京出身。現在行方不明。
  • 青木:
    ウトロの派出所の巡査。
  • 佐々木宏:
    38歳。知床ジェットのオーナー。

4.カシオペアスイートの客

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。
  • 内山清志:
    元警視庁捜査一課の刑事。定年退職した。
  • 内山貴子:
    内山清志の妻。
  • 内山悦子:
    内山貴子の姉。札幌で夫とジンギスカン料理店を営む。
  • 池谷:
    北海道警の警部。
  • 野崎修太郎:
    70歳。NS興業の社長。渋谷区松濤に在住。去年の10月に殺害された。内山清志が扱った最後の事件の被害者。
  • 野崎郁代:
    40歳。内山清志の妻。夫が殺された2日後に自殺した。
  • 大羽信輔:
    27歳。世田谷区三軒茶屋のマンションに在住。野崎修太郎の隠し子だった。野崎修太郎には認知されていない。
  • 小笠原:
    野崎修太郎の顧問弁護士。
  • 福田美由紀:
    24歳。六本木のクラブのホステス。カシオペアスイートの中で死体となって発見された。
  • 三浦俊介:
    30歳。野崎修太郎の息子。野崎修太郎の遺産相続人の一人。
  • 三浦優子:
    NS興業の子会社の社長。三浦俊介の母親。
  • 前田和男:
    23歳。横浜・元町にある喫茶店「ゆき」で働く。野崎修太郎の遺産相続人の一人。喫茶店の店内で死体となって発見された。
  • 前田由希子:
    前田和男の母親。

印象に残った名言、名表現

■北海道の景色。

道路の両側に、広大な、北海道の景色が広がる。一面の畑と思っていると、景色は、牧草地帯に変わり、何頭かの牛が、のんびりと、寝そべっていたりする。

その、広大な畑や牧草地の間を、道路がまっすぐ、はるか彼方まで、延びている。

感想

本作は、宮古、湘南、知床、札幌を舞台にした、4つの作品からなる短編集である。

いずれも、旅情あふれるサスペンスで、コンパクトにまとまっていて、読みやすい。被害者を別の人間に偽装するトリックや、時限爆弾の設定時間を使ったトリックなど、小ネタも満載である。

個人的には、「カシオペアスイートの客」がイチオシである。定年退職した刑事が、たまたま殺人事件に関わることになり、自分が定年退職したことを忘れて、事件に没頭していく姿は、面白くもあり、微笑ましくもあった。

最近思うのは、短編は、余計な装飾がないので、スピード感があって読みやすい。

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