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「伊勢志摩殺意の旅」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

伊勢志摩殺意の旅小説

初版発行日 2000年1月25日
発行出版社 実業之日本社
スタイル 長編

私の評価 3.8

POINT】
十津川警部、カルト宗教と対決!捜査一課史上最大の作戦が幕を開ける、超弩級サスペンス!!
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あらすじ

地下鉄丸ノ内線の車内で若い男が刺殺された。男は「セコ」という謎の言葉を残して死んだ。身元は不明だが、東京駅の派出所で「警察の元締はどこか」と尋ねていたことと、伊勢の名物・赤福餅を持っていたことが判明。十津川警部と亀井刑事は、伊勢市へ飛んだ……。

小説の目次

  1. 地下鉄
  2. 真相への道
  3. 都市制圧計画
  4. 神の掟
  5. 戦いの場
  6. 重圧の下
  7. 騒乱の中で

冒頭の文

三月十五日の午後三時五十二分。丸ノ内線荻窪行の地下鉄の車内で、事件が、起きた。

小説に登場した舞台

  • 霞ヶ関駅(東京都千代田区)
  • 名古屋駅(愛知県名古屋市中村区)
  • 伊勢市駅(三重県伊勢市)
  • 赤福本店(三重県伊勢市)
  • 内宮おはらい町(三重県伊勢市)
  • おかげ横丁(三重県伊勢市)
  • 団五郎茶屋(三重県伊勢市)
  • 東京駅(東京都千代田区)
  • 岐阜羽島駅(岐阜県羽島市)
  • 賢島(三重県伊勢市)
  • 浜松サービスエリア(静岡県浜松市)

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三田村功:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 本多時孝:
    警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

警察関係者

  • 鈴木:
    東京駅八重洲口派出所の巡査。
  • 小坂:
    伊勢警察署の署長。
  • 青木:
    岐阜羽島駅前派出所の巡査部長。
  • 田島:
    岐阜羽島駅前派出所の巡査部長。
  • 加東明:
    28歳。中央新聞社会部の記者。

天上教

  • 御手洗良介:
    60歳。岐阜羽島にある健康食品製造会社「GFM」の社長。天上教の教祖。
  • 村田俊一:
    「GFM」の広報担当。天上教の信者。
  • 大塚聖:
    「GFM」の修養道場主任。天上教の信者。
  • 清水治:
    天上教の信者。
  • 三崎正春:
    天上教の信者。
  • 後藤敬:
    天上教の信者。
  • 水沼京子:
    天上教の信者。

事件関係者

  • 君原大介:
    池袋にあるS大学に通う大学生。旅行グループ「J.U.T」のメンバー。柏原ありさの恋人だった。2月に長ノ世古で車にはねられて死亡する。
  • 三沢明:
    35歳。伊勢市にある土産物店の店主。君原大介を車ではねた男。
  • 大石:
    会所世古にあった土産物店「楓屋」の店主。お店の火事で焼死する。
  • 柏原ありさ:
    M大学に通う大学生。大石の姪。旅行グループ「J.U.T」のメンバー。君原大介の恋人だった。土産物店の火事で焼死する。

その他の登場人物

  • 今井道夫:
    大学生。世田谷区太子堂のマンションに在住。名古屋の生まれ。
  • 柏原章子:
    柏原ありさの母親。大石の姉。横浜在住。
  • 坂本:
    伊勢新報のデスク。
  • 立花:
    池袋にあるS大学の事務局長。
  • 加門:
    S大学の学生。君原大介の友人。
  • 深見:
    S大学の学生。君原大介の友人。
  • 足立みか:
    S大学の学生。旅行グループ「J.U.T」のメンバー。
  • 上島亜木子:
    M大学に通う大学生。柏原ありさの親友。
  • 山田:
    M新聞伊勢支局の局員。
  • 寺内:
    伊勢駅前の「中央不動産」の社員。
  • 島崎:
    42歳。伊勢市役所・市街化調整課長。
  • 滝本:
    伊勢市役所の助役。
  • 江崎:
    三重県の医師団の団長。
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印象に残った名言、名表現

(1)精進落し。

古市は、江戸時代、江戸の吉原、京都の島原と並んで全国的に名の知れた遊郭があった場所である。

昔、お伊勢参りをした人々は、ここで、「精進落し」をした。精進落しという言葉は、何とも、奇妙で、面白いいい方だと、十津川は、感心する。

(2)おかげ横丁。

入口には、江戸時代、道中安全を祈願した常夜灯があり、そこを入って行くと、のぼりの立つ、芝居小屋のおかげ座があり、その他、伊勢かまぼこや、伊勢うどんの店が、昔風の建物で、並んでいる。

屋根の上には、縁起物の、招き猫が飾ってあったり、鬼がわらがあったり、お休み処の団五郎茶屋は、「みたらしだんご」の、のぼりが、はためいていた。

感想

本作は、カルト宗教との対決を描いた作品である。犯人当てのミステリーではない。

もちろん、警視庁捜査一課が出動するので、発端は殺人事件であり、殺人事件の捜査を通して、カルト宗教と対決する構図であった。

殺人事件の捜査を開始した序盤の段階で、十津川警部は、今回の事件を予感していた。

この伊勢市で、何か大きな「陰謀」が、計画されたのだ。

この予感が現実となったのである。そして、前半の段階で、十津川は、カルト宗教の教祖に会い、その異常性を目の当たりにしたのだ。

「私は、ただ、清らかな、神の王国を作りたいと願っているだけです。神の支配する王国ですよ」

対決すべきカルト宗教の存在が明らかになった後は、十津川班対カルト宗教の構図になる。このカルト宗教は、伊勢市の土地を買いあさり、マスコミを買収して我が物にし、インフラ事業、行政も味方につけた。

かなり、強大な敵になっていたのだ。

この後の戦いは、ここで明かすことはできないが、最後は、国家権力が出動し、国家権力の強大さを見せつけた形になった。はっきり言えば、警視庁ではなく、警察庁の出番になるほど、強大かつ危険なものになったということだ。

最後の制圧は、1990年代に起きたオウム真理教事件を彷彿とさせるのもであったと思う。

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