初版発行日 2004年7月25日
発行出版社 実業之日本社
スタイル 短編集
私の評価
不老ふ死温泉、繋温泉、秋保温泉、東鳴子温泉、東山温泉。旅情溢れるみちのくの温泉を舞台に、十津川警部の推理が冴える!
あらすじ
1.死体は潮風に吹かれて(青森)
青森県不老不死温泉、波打ち際の露天風呂で女性の変死体が発見された。前夜、その女性に誘われ、露天風呂で戯れていた警視庁刑事・酒井が重要参考人として連行されたのだ。酒井は休暇を取り、趣味の温泉めぐりと五能線の旅を楽しんでいたという。弘前署から連絡を受けた十津川警部は弘前に飛ぶが…!?
2.北への殺人ルート(岩手)
短編集「十津川警部 みちのくで苦悩する」に収録。下記を参照↓↓
3.最上川殺人事件(山形・秋田)
短編集「石狩川殺人事件」に収録。下記を参照↓↓
→「石狩川殺人事件」
4.謎と憎悪の陸羽東線(宮城)
短編集「謎と殺意の田沢湖線」に収録。下記を参照↓↓
→「謎と殺意の田沢湖線」
5.裏磐梯殺人ルート(福島)
女子大生・代田ゆう子が会津若松へ旅行に行くと言い、行方不明になった。心配した友人の花井カオルは、ゆう子の住むマンションに入る私立探偵の杉本にゆう子の捜索を依頼。ゆう子は杉本とともに会津若松へ出かけるが……。
小説に登場した舞台
1.死体は潮風に吹かれて(青森)
- 青森空港(青森県青森市)
- 青森駅(青森県青森市)
- 弘前駅(青森県弘前市)
- 艫作駅(青森県・深浦町)
- 不老ふ死温泉(青森県・深浦町)
- 十二湖駅(青森県・深浦町)
- 十二湖(青森県・深浦町)
2.北への殺人ルート(岩手)
短編集「十津川警部 みちのくで苦悩する」に収録。下記を参照↓↓
3.最上川殺人事件(山形・秋田)
短編集「石狩川殺人事件」に収録。下記を参照↓↓
→「石狩川殺人事件」
4.謎と憎悪の陸羽東線(宮城)
短編集「謎と殺意の田沢湖線」に収録。下記を参照↓↓
→「謎と殺意の田沢湖線」
5.裏磐梯殺人ルート(福島)
- 上野駅(東京都台東区)
- 郡山駅(福島県郡山市)
- 会津若松駅(福島県会津若松市)
- 東山温泉(福島県会津若松市)
- 猪苗代湖(福島県・猪苗代町)
登場人物
1.死体は潮風に吹かれて(青森)
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 酒井勇:
52歳。警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 山本:
銀座数寄屋橋にある旅行社を経営。元警視庁捜査一課の刑事。 - 矢木明日美:
山本が営む旅行社の社員。弘前出身。 - 矢木幸介:
45歳。矢木明日美の父親。弘前署の刑事。 - 浦西みや子:
新宿にあるクラブ「MIYAKO」のママ。不老ふ死温泉の露天風呂で死体となって発見された。 - 本橋ゆう子:
28歳。クラブ「MIYAKO」のホステス。 - 田原:
弘前署の署長。 - 井上:
弘前署の刑事。 - 片岡:
弘前署の刑事。 - 真田:
K組の組員。 - 柿崎由美:
25歳。M電気所属のバレー選手。 - 柿崎秀美:
30歳。柿崎由美の姉。浦西みや子に1千万円を騙し取られて自殺した。 - 小野木豊:
40歳。投資コンサルタント。浦西みや子の恋人。
2.北への殺人ルート(岩手)
短編集「十津川警部 みちのくで苦悩する」に収録。下記を参照↓↓
3.最上川殺人事件(山形・秋田)
短編集「石狩川殺人事件」に収録。下記を参照↓↓
→「石狩川殺人事件」
4.謎と憎悪の陸羽東線(宮城)
短編集「謎と殺意の田沢湖線」に収録。下記を参照↓↓
→「謎と殺意の田沢湖線」
5.裏磐梯殺人ルート(福島)
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 代田ゆう子:
20歳。御茶ノ水にあるS大学に通う大学三年生。中野のマンションに在住。登別出身。会津若松へ旅行すると行った後、行方不明になる。その後、磐梯ゴールドラインのこがね平付近の林の中で死体となって発見された。 - 花井カオル:
S大学に通う大学三年生。代田ゆう子のクラスメート。 - 代田文子:
代田ゆう子の母親。登別在住。 - 杉本:
私立探偵。 - 平山英司:
代田ゆう子の恋人。東京八重洲にある中央工業の社員。三鷹のマンションに在住。 - 田中:
平山英司と同じマンションに住む男。日下刑事の大学時代の友人。 - 山田良:
中央工業総務部の管理部長。 - 中村:
会津若松署の刑事。 - 真田:
会津若松署刑事課の警部。 - 浜村:
会津若松市内のタクシー運転手。
感想
本作は、不老ふ死温泉、繋温泉、秋保温泉、東鳴子温泉、東山温泉と、温泉地を舞台にした5つの作品を収録した短編集である。
いずれも、旅情あふれるタッチで描かれた秀作であるが、ひとつ挙げるとすれば、「死体は潮風に吹かれて」だろう。
警視庁捜査一課の酒井刑事が、不老ふ死温泉で殺人容疑で逮捕されてしまう、というショッキングな事件であったが、事件を捜査した弘前署の万年平刑事・矢木幸介の活躍が見事であった。
矢木幸介は、刑事になってから20年間、犯人を逮捕したことがないため、平刑事止まりであったのだが、彼がなぜ逮捕したことがないのか?逮捕したことがないのに、20年もの間、現場の第一線の刑事でいられるのか?
その理由が捜査を通じて明らかになるとともに、矢木幸介の優秀さと、優しさが胸に染みる作品でもあった。
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