初版発行日 2016年6月15日
発行出版社 光文社
スタイル 長編
私の評価
悪人は誰?クルーズ中の小さな悪戯から始まった殺人事件。空前絶後の陰謀の真実!豪華客船を舞台にした「謎」に十津川警部が挑む!
あらすじ
旧友に頼まれ、日本一周クルーズ中の豪華客船「飛鳥2」に乗ることになった十津川警部。船内に奇妙な事件が多発している、というのだ。十津川が乗り込んだ後は、女性客が落水するという事故が起きたが、無事船員に救出される。しかし航海が終わった数日後、その女性が多摩川の河原で殺された。一体何故?そして新たなクルーズで殺人事件が!離島に取り残された十津川の捜査が始まる。
小説の目次
- クルージング
- 最初の乗客
- 容疑者
- 新たなクルージングへの誘い
- 小笠原諸島
- 該当者ナシ
- 最後の航海
冒頭の文
合同捜査で、福岡県警に来ていた十津川は、本庁の本多捜査一課長から電話を受けた。
小説に登場した舞台
- 下関駅(山口県下関市)
- 下関港(山口県下関市)
- 飛鳥Ⅱ
- 神戸港(兵庫県神戸市中央区)
- 新神戸駅(兵庫県神戸市中央区)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 三鷹駅(東京都三鷹市)
- 横浜港(神奈川県横浜市中区)
- 二見港(東京都・小笠原村)
- 母島(東京都・小笠原村)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 川本:
調布警察署の警部。 - 山崎:
母島の警察官。 - 高橋:
母島の警察官。 - 柿沼:
母島の警察官。 - 十津川直子:
十津川警部の妻。
飛鳥Ⅱ 日本一周クルージング
- 安藤:
飛鳥Ⅱ日本一周クルージングの客室係。 - 白井正明:
十津川警部の大学時代の同級生。 - 白井節子:
白井正明の妻。 - 池内恵子:
48歳。調布市のマンションに在住。調布市内の多摩川の河原で死体となって発見された。 - 早坂雅子:
49歳。池内恵子の友人。
飛鳥Ⅱ謝恩クルージング
- 三宅:
飛鳥Ⅱ謝恩クルージングの船長。 - 太田勝郎:
「月刊ミドル」の記者。 - 吉川香里:
「月刊ミドル」のカメラマン。 - 横井忠雄:
ニュージャパン旅行企画の社長。飛鳥Ⅱ謝恩クルージングを企画した。 - 鈴木:
横井忠雄の秘書。 - 井上勇:
ニュージャパン旅行企画の幹部。飛鳥Ⅱの図書室で死体となって発見された。 - 大野裕介:
30歳。三鷹市内のマンションに在住。母島の海岸で死体となって発見された。 - 泉公平:
50歳。会社員。
その他の登場人物
- 池内純一郎:
53歳。都内の会社に勤務するサラリーマン。池内恵子の夫。 - 池内和美:
池内純一郎と恵子の娘。R大学に通う女子大生。 - 笠井:
三鷹にあるKSステンレスの管理部長。池内恵子の不倫相手。 - 山田:
神田にある出版社「月刊ミドル」の社長。 - 長谷川:
「月刊ミドル」の編集長。 - 宇田川:
横浜に本社のあるN社の営業部長。
感想
本作は、豪華客船のロマンを描いた作品だったと思う。
十津川警部シリーズでは、飛鳥Ⅱを舞台にした作品がもう一作品刊行されている。2016年4月刊行の「飛鳥Ⅱの身代金」がそれである。
「飛鳥Ⅱの身代金」はよりミステリー要素が強い作品であり、今回の「飛鳥Ⅱ SOS」はミステリー要素はやや弱めで、その代わり、飛鳥Ⅱの豪華な船内に焦点が当てられていたように思う。
また、本作では、小笠原の母島に捜査本部が設けられた。当然、母島では人が少ない。そのため、飛鳥Ⅱに乗っていた十津川と亀井を中心とした捜査本部にし、そこに地元の警察官が3名、さらに、十津川直子が捜査本部の手伝いをするという、即席捜査本部である。普段とは違う捜査が垣間見えて、新鮮であったと思う。
事件については、最後、中途半端な感じで終わってしまった気がするが、飛鳥Ⅱを堪能するという意味では、良かったと思う。
最後に、西村京太郎先生のことばを紹介しておこう。
現在は豪華客船を使ったクルージングの時代だといわれる。鉄道もそれにならって、豪華列車が造られ、乗客はその列車を使ってのクルージングを楽しんでいる。そのプロローグになったのが「飛鳥Ⅱ」だろう。その「飛鳥Ⅱ」が、クルージング中にSOSを発信したら、それはもう間違いなく大事件である。
コメント