初版発行日 2003年10月5日
発行出版社 講談社
スタイル 長編
天才贋作者vs.十津川警部。名作の楽譜に隠された真相とは!?贋作師、詐欺師、天才、ハイエナ。次々に現れるきな臭い人物たち。真犯人は誰??
あらすじ
若くして死んだ、早熟の天才作曲家・滝廉太郎。彼が書き遺したはずの名曲「荒城の月」の幻の全楽譜をめぐり、連続して起こる殺人事件。真犯人が張った巧妙な罠に、仇討ちを誓う被疑者の一人娘・リエ、廉太郎の研究者、天才贋作者、贋作で一儲けを企てる者、そして十津川らは翻弄され……真相を知るのは誰?
小説の目次
- シャープ記号
- ライプチヒから帰った女
- 虚の市場
- プロ集団
- ピカソの会
- 交叉する罠
- 終曲
冒頭の文
その客は、東京新宿のホテルSにチェック・インすると同時にフロントに、一つの紙袋を持ってきた。
小説に登場した舞台
- 小金井公園(東京都小金井市)
- 東京都調布市
- 館山(千葉県館山市)
- 東京ビッグサイト(東京都江東区)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 田中大輔:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
事件関係者
- 柴田昭一郎:
51歳。神戸市在住。大分県出身。元エースワンの社長で資産家。小金井公園に停めたベンツのトランクで死体として発見される。 - 柴田リエ:
柴田昭一郎の娘。ドイツのライプチヒに在住。夫はドイツ人。 - ワーグナー:
柴田リエの夫。 - 野村:
T芸大の教授。 - 菊池信介:
56歳。T芸大卒業の作曲家。 - 秋山正明:
南房総で農業を営む。元詐欺師。 - 小宮山ひとみ:
南房総で農業を営む。元詐欺師。 - 酒井寿夫:
65歳。贋作のプロ。 - 田辺清:
銀座の画廊のオーナー。 - 島田達三:
日本絵画の研究家。 - 三浦鉄夫:
明治時代から大正時代にかけて贋作のボスと言われた三浦利三郎の孫。 - 近藤真二:
日暮里の版画の彫り師。かつて哥麿の贋作を作ったことがある。 - 池田彰:
介護士。かつて日本画の贋作を作ったことがある。 - 中島陽子:
50歳。京都市中京区の喫茶店「舞妓」のオーナー。
その他の登場人物
- 井上:
新宿ホテルSのフロント係。 - 十津川直子:
十津川警部の妻。 - 真田:
警視庁捜査二課の警部。 - 島田洋子:
島田達三の妻。画家。 - 中村:
警視庁初動捜査班の警部。 - 三枝:
警視庁初動捜査班のベテラン警部。
印象に残った名言、名表現
(1)「荒城の月」制作のエピソード。
「土井晩翠が、会津若松の鶴ヶ城と仙台の青葉城を見て、『荒城の月』を作詞し、滝廉太郎は、郷里、大分県竹田の岡城跡を見て作曲した」
(2)滝廉太郎没後40年祭で、土井晩翠が滝廉太郎の墓前に捧げた詩。
ドイツを去りて東海の
故山に疾みて帰る君、
テームス埠頭送りしは
四十余都市のその昔。ああうらわかき天才の
音容今も髣髴と
浮ぶ、皓々明月の
光の下の岡の城。
感想
これぞ本格ミステリーだ!
これが本書を読み終えた、最初の感想である。
まず、犯人がわからない。次に、「犯人はこいつかな?」と思う人物が次から次へと現れる。贋作師、詐欺師、天才、天才に群がるハイエナ。きな臭く、香ばしい人物ばかりが現れる。
そして、ようやく事件が見えてきて、容疑者が絞り込まれ、「やっぱり、犯人はこいつか!」と、思ったところで、大どんでん返しがある。
大どんでん返しが、さらに、裏返る。最後の最後に、「え、まさかのお前かよっ!!」という人物が真犯人。
そう、本作はこの”真犯人”という表現こそが、ふわさわしい。犯人ではなく、真犯人なのだ。
あなたは、真犯人を、十津川警部より先に、見つけることができるか?
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