初版発行日 2012年10月3日
発行出版社 講談社
スタイル 長編
猫の街・谷中にある猫カフェで起きた殺人事件、ウェイトレスの失踪。事件の根は、丹後地方の伊根町にあった!ネコが事件解決に大活躍!
あらすじ
東京・谷中の喫茶店「カフェ猫」のオーナーが子猫と一緒に焼死体で見つかった。ウエイトレスの野中弥生が直前に失踪していたことをつかんだ西本刑事は、手掛かりを求めて丹後へ。弥生が残していった歌に出てくる天橋立に何かがある!?しかし、捜査は難航。十津川と亀井も丹後に向かうが、事件は思わぬ展開へ!
小説の目次
- 猫のいるカフェ
- 猫のいる海辺
- 猫と女
- 再びタンゴ鉄道
- 年齢の壁
- 別荘生活への道
- 終局
冒頭の文
先日、西本は、待望の引っ越しをした。警視庁捜査一課で働く西本には、前々から、東京の下町に住んでみたいという希望があった。
小説に登場した舞台
- 谷中銀座商店街(東京都台東区)
- 三浦坂(東京都台東区)
- ねんねこ家(東京都台東区)
- 熱海(静岡県熱海市)
- 宮津駅(京都府宮津市)
- 天橋立(京都府宮津市)
- 智恩寺(京都府宮津市)
- 天橋立傘松公園(京都府宮津市)
- 天橋立駅(京都府宮津市)
- 伊根町(京都府・伊根町)
- 伊根漁港(京都府・伊根町)
- 特急はしだて
- 北近畿タンゴ鉄道
- 浦嶋神社(京都府・伊根町)
- 新井崎神社(京都府・伊根町)
- 旧軽井沢(長野県・軽井沢町)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
事件関係者
- 坂口三太郎:
66歳。谷中の「カフェ猫×3」のオーナー。大衆演劇の元役者。 - 野中弥生:
25歳。「カフェ猫×3」のアルバイト。 - 弓太郎:
「カフェ猫×3」にいる猫。 - パトラ:
「カフェ猫×3」にいる猫。 - カオル:
「カフェ猫×3」にいる猫。 - 大川修太郎:
70歳。アマチュア画家。「カフェ猫×3」の常連客。 - 金子芳江:
熱海でコンパニオン会社を経営している。元劇団女優の一色かえで。 - 野中弓枝:
30歳。野中弥生の姉。伊根町に住んでいた。2年前、投身自殺する。 - 佐伯秀介:
本名は早瀬秀一。38歳。流行作家。かつて劇団卍座の劇団員に所属していた。
その他の登場人物
- 福本紗江:
天橋立駅近くで食堂を営んでいる。 - 山岸徳太郎:
伊根町にある芝居小屋の小屋主。 - 酒井浩一:
66歳。江戸川区で駄菓子屋を営む。かつて劇団卍座の劇団員をしていた。 - 安藤:
京都府警の警部。 - 吉田:
京都府警の刑事。
印象に残った名言、名表現
(1)伊根の舟屋。
伊根町が、全国的に有名になったのは、伊根湾に面した漁師の家の構えが、注目を集めたからだった。その家は、一階が船場という漁船を収納する船着き場になっていて、二階が、住居になっている。この住宅は、舟屋と呼ばれていて、その独特の形態が、観光客の人気を集めていた。
(2)漁港の風景。
港まで歩いていく。漁に行っていた船が、帰ってきたところだった。その頭上には、何十羽ものカモメが、飛び交っている。桟橋には、落ちた魚を狙っているのか、野良猫が、何匹も集まってきていた。
感想
人間にとって最良のパートナーと呼べる動物は何か?と問われたら、ほとんどの人がネコかイヌと答えるだろう。それは、昔も今も変わらないし、未来も変わらないと思う。それほど、ネコとイヌは人間にとって身近な動物であり、良き心の友でもある。
御存知の通り、西村京太郎先生は、無類のネコ好きとして知られている。先生が京都に在住していた頃からネコを飼っており、湯河原に越して来られた後も、ネコとともに暮らす生活をしている。
本作は猫の街・谷中や、ネコが集まる伊根漁港が舞台になっているし、ネコが事件の謎の一つであり、事件解決の糸口にもなっている。
十津川警部シリーズの中で、ここまでネコが活躍した作品は珍しい。
このネコがどう事件と結びつくのか?そして、本作のタイトル「猫と死体はタンゴ鉄道に乗って」の持つ意味とは?
西村京太郎先生の猫愛とともに、楽しめる作品だ。
コメント