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十津川警部「秩父SL・三月二十七日の証言」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

秩父SL・三月二十七日の証言小説

初版発行日 2012年3月10日
発行出版社 集英社
スタイル 長編

POINT】
消費者金融の元社長夫妻殺害!逮捕した犯人はSL乗車中だった!?鉄壁のアリバイに挑む十津川警部。秩父鉄道パレオエクスプレスを巡る旅情ミステリー!
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あらすじ

消費者金融の元社長で資産家の秋山夫妻が殺害された。十津川警部は、秋山に恨みを抱いていたという漫画家の戸川を逮捕する。だが、事件当日に人気の秩父SLの車内で戸川を目撃したという旅行作家のエッセイを発見。戸川の裁判まで20日余り。否認を続ける戸川の犯行を裏付けるため、十津川警部たちは極秘に再捜査を始める。秋山の金庫に残された個人情報が手掛かりになると思われたが……。

本作の謎は、「金にならない仕事は引き受けない大物弁護士・梅木浩三が、なぜ売れない漫画家の事件を弁護するのか?

小説の目次

  1. ある雑誌記事
  2. 有力弁護士
  3. 巻き戻す
  4. 殺人の青写真
  5. 九人のリスト
  6. 逆転への感触
  7. 閉廷

冒頭の文

五月十日。ゴールデンウィーク明けに、一つの事件が解決して、警視庁捜査一課の十津川は、珍しく非番になり、一日中自宅にいた。

小説に登場した舞台

  • 秩父鉄道

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三田村功:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

警察関係者

  • 高田:
    検事。戸川雅夫の裁判を担当している。
  • 木村:
    警視庁捜査四課の警部。

事件関係者

  • 小島俊介:
    旅行作家。
  • 戸川雅夫:
    無名の漫画家。秋山博之夫妻殺害容疑で起訴された。
  • 秋山博之:
    65歳。杉並区永福に住む資産家。天地出版社のオーナー。消費者金融会社の元社長。自宅で刺殺される。
  • 秋山裕子:
    50歳。秋山博之の妻。自宅で刺殺される。
  • 梅木浩三:
    梅木法律事務所の弁護士。戸川雅夫の裁判を担当する。
  • 井坂純一郎:
    井坂興信所の所長。元警察。
  • 柴田:
    新近藤食品の重役。荒川署の元副署長。
  • 相川啓次郎:
    60歳。政治家。法務大臣。
  • 木田清志:
    55歳。政治家。
  • 河野博史:
    俳優。
  • 武田真理:
    女性歌手。
  • 二宮恵子:
    銀座のクラブ「けいこ」のママ。
  • 坂本裕子:
    新宿のクラブ「裕子」のママ。
  • 篠田理恵:
    クラブのママ。
  • 折原誠一郎:
    K組の組長。
  • 浜口隆太郎:
    弁護士。75歳。
  • 佐伯博司:
    新近藤食品の重役。元K組の幹部。

その他の登場人物

  • 十津川直子:
    十津川警部の妻。
  • 山崎:
    週刊ジャパンの編集長。
  • 村木:
    秩父鉄道の車掌。
  • 溝口:
    弁護士。40歳。かつて梅木法律事務所で働いていた。
  • 遠山舞花:
    20歳。無名の漫画家。戸川雅夫のシェアハウス仲間。
  • 正木恵美:
    32歳。新橋で小さなバーを営んでいる。
  • 田原悟:
    42歳。最近まで井坂興信所で働いていた。
  • 梅木可奈:
    梅木浩三の娘。弁護士。
  • 田島:
    中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。
  • 小野寺正彦:
    弁護士。梅木浩三の大学時代の同級生。
  • 井上:
    梅木法律事務所のベテラン弁護士。
  • 馬場:
    日本弁護士会の代表。
  • 竹下:
    梅木法律事務所の弁護士。

印象に残った名言、名表現

(1)どんなに困難な状況でも、必ず突破口がある。それを見つけ出す十津川警部の信念。

「九人の利益は、同一ではなく、その精神構造もまた、同一では、ありません。ですから、その点を突いていけば、彼らの団結は、崩れていき、必ず、落語者が出てくると思っています。

(2)十津川警部の戦略。

(全員に、まんべんなく、接触し、脅かしても、効果は、上がらないだろう)と、十津川は思っている。そこで九人の弱い部分を、集中的に攻撃することに決めた。

総評

本作は、すでに起訴された事件、つまり、警視庁捜査一課の手を離れた事件について、再捜査をしていく、というストーリーである。

本作内で新たな殺人事件が起こることはない。ド派手なアクションや、意外性のある驚きも少ない。

ただ、登場人物が多く、人間関係もかなり複雑である。関連する事件も複数ある。その一つ一つを細かく検証し、つなぎ合わせていく、ロジカルな捜査が面白い。

十津川警部たちが、一人一人に話を聞き、情報を引き出していく。ときには策略を駆使しして、容疑者を少しづつ追い詰めていく。じわりじわりと、容疑者の外堀が埋められていく。最後には、容疑者が四面楚歌の状態になっている。

この論理性も、十津川警部シリーズの魅力なんだと、再認識させてくれる作品である。

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