初版発行日 1990年7月20日
発行出版社 祥伝社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
高山と東京を結び、謎とサスペンスを見事に綾なして放つ推理傑作!
高山と東京を結び、謎とサスペンスを見事に綾なして放つ推理傑作!
あらすじ
深秋の飛騨高山。落葉の下から発見された若い女の絞殺体は、スケッチ旅行中の白石ゆかと思われた。が、その名は偽名で、宿に残されたスケッチブックも偽物だった。では、殺された女は誰なのか。難航する捜査……。やがて東京で、男二人が相次いで刺殺された。乗り込んだ十津川警部が殺人現場で目にしたのは、飛騨高山を描いた、消えたスケッチブックの一枚だった……。
小説の目次
- 上三之町
- 一枚の絵
- 第三の殺人
- 無名の画家
- 再び高山
- 一つの推理
- 変身
- 海の彼方に
冒頭の文
十月十六日。飛騨高山の秋祭りは終わったが、秋の観光シーズンは、続いていた。
小説に登場した舞台
- 上三之町(岐阜県高山市)
- 飛騨民俗村・飛騨の里(岐阜県高山市)
- 日下部民芸館(岐阜県高山市)
- 下呂温泉(岐阜県下呂市)
- 下呂駅(岐阜県下呂市)
- 高山駅(岐阜県高山市)
- 国分寺駅(東京都国分寺市)
- 成田空港(千葉県成田市)
- 石廊崎(静岡県・南伊豆町)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 田中大輔:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 加東:
42歳。上三之町派出所の巡査。 - 向井:
28歳。岐阜県警の警部。 - 岩田:
岐阜県警の刑事。 - 坂口:
警視庁捜査一課の警部。十津川警部の同期。 - 松本:
浦和署の刑事。 - 小川:
石川県警の警部。
事件関係者
- 白石圭一郎:
世田谷区成城の豪邸に住む男。慈善事業で「白石基金」をしている。 - 宇田川宏:
52歳。宇田川通商の社長。麹町の高級マンションに在住。自宅で死体となって発見された。 - 沼田章:
有名デザイナー。白金台のマンションに在住。自宅で死体となって発見された。 - 根本一成:
32歳。画家。去年、自殺した。 - 小野寺由美子:
根本一成の弟子。現在行方不明。 - 山岸ミユキ:
27歳。シナリオライターの卵。元OL。国分寺のマンションに在住。飛騨の里の裏山で死体となって発見された。 - 野田:
巣鴨でスーパーを経営している男。
その他の登場人物
- 村上:
喫茶店「たかやま」のマスター。 - 大川美奈子:
宮川沿いの旅館「和本旅館」の女将。 - 白石ゆか:
白石圭一郎の娘。アメリカの大学に留学中。 - 原田:
宇田川宏の専属運転手。 - 本橋:
代議士。通産政務次官。 - 二宮みや子:
29歳。宇田川宏の秘書。元モデル。初台のマンションに在住。 - 有田敬子:
30歳。宇田川宏の愛人。渋谷駅近くのマンションに在住。 - 中根:
宇田川宏の顧問弁護士。 - 石上新治:
28歳。沼田章の弟子。 - 水野くに子:
渋谷駅近くにある喫茶店「レインボー」のオーナー。沼田章が親しくしていた水野一郎の未亡人妻。 - 浅井:
新宿に画廊をもつ画商。 - 三浦正:
画家。根本一成の友人。奥多摩に在住。 - 堀江幾三郎:
代議士。 - 黒木敬夫:
画商。 - 高柳:
野田の秘書。
印象に残った名言、名表現
■たまっていた恨みが爆発する。
誰に向けようもない恨みが、ある時、堰を切って、何人かの人間に集中し、殺人が起きたのではないか。
感想
本作は、飛騨高山でスケッチをしていた女性の死と、東京で起きた連続殺人事件のつながりを探るミステリーであった。
高山で殺された身元不明の女性は何者か?東京で殺された二人の人間との関係は?この2つの謎が事件解決のカギを握っていた。そのため、十津川警部は、この謎を解くために、捜査をする。
今回は、パズルのピースを一つ一つ組み立てていくような、地道で丁寧な捜査を展開していく。十津川警部シリーズは、ド派手な展開と地道な展開の2パータンがあるが、今回は後者のパターンだった。
残念だったのは、高山の描写が少し少なかったところである。序盤は高山がメインだったが、後半は東京がメイン舞台になってしまった。後半にも、もう少し、高山での展開が見たかった。
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