初版発行日 1989年11月25日
発行出版社 角川書店
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
今は廃止された懐かしの特急を舞台にしたトラベル・ミステリー。上野発殺人経由金沢行。
今は廃止された懐かしの特急を舞台にしたトラベル・ミステリー。上野発殺人経由金沢行。
あらすじ
東京浜松町のマンションで、銀座の美人ホステスが刺殺された。かつて愛人関係にあった会社員の長田が、容疑者として浮上する。しかし犯行時刻には上野―金沢を六時間二分で結ぶ特急白山に乗車していたという。十津川は粘り強く長田を追い詰めていくが、アリバイの証言者が現れ、長田の無実を訴える…。
小説の目次
- 上野駅
- 死体
- 尾行
- 目撃者
- 電話
- ホテル
- 加担
- 当惑
- 札幌
- ゲーム開始
- 逆転
冒頭の文
中央商事の長田は、突然、金沢支店への転勤を命ぜられた。
小説に登場した舞台
- 上野駅(東京都台東区)
- 特急「白山1号」
- 大宮駅(埼玉県さいたま市大宮区)
- 浜松町駅(東京都港区)
- 羽田空港(東京都大田区)
- 富山きときと空港(富山県富山市)
- 富山駅(富山県富山市)
- 高岡駅(富山県高岡市)
- 金沢駅(石川県金沢市)
- ホテルニューオータニ 東京(東京都千代田区)
- 千歳烏山駅(東京都世田谷区)
- 東京駅(東京都千代田区)
- 明治神宮(東京都渋谷区)
- 郡山駅(福島県郡山市)
- 会津若松駅(福島県会津若松市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 藤沼:
検視官。 - 三浦:
石川県警の警部。 - 田辺:
神奈川県警の刑事。 - 平井:
北海道警の警部。
事件関係者
- 長田博:
35歳。中央商事に勤務。東京本社営業第一課長から金沢支店へ転勤になった。 - 長田ゆみ:
長田博の妻。 - 木元加代子:
28歳。銀座にあるクラブ「砂時計」のホステス。長田博の愛人。浜松町のマンションに在住。自宅で死体となって発見された。 - 小谷ゆう子:
25歳。八王子にある日本藤花女子大学に通う大学生。 - 田原圭一郎:
34歳。横浜の伊勢佐木町にある宝石店「プラス2」の店主。自宅マンションで何者かに殺害される。 - 平川良平:
35歳。宝石店「プラス2」の共同経営者。 - 岩田治:
22歳。N大学に通う大学生。小谷ゆう子の恋人。去年の夏、定山渓で死体となって発見された。 - 小笠原貢:
新宿にある宝石店の店主。都内在住。 - 藤代冴子:
小笠原貢の恋人。宝石デザイナー。元女優。渋谷区松濤のマンションに在住。 - 村田淳:
福島にある三無温泉のオーナー。 - 伊東:
49歳。中央商事本社の営業部長。
その他の登場人物
- 浅井:
57歳。中央商事金沢支店の支店長。 - 田中:
中央商事金沢支店の営業第一課長。 - 寺本:
クラブ「砂時計」のマネージャー。 - 大竹英明:
S大学に通う大学生。杉並区下高井戸のマンションに在住。 - 沢口清:
建築デザイナー。 - 山中:
映画監督。 - 井原博士:
中小企業のコンサルタント。小笠原貢の友人。経堂のマンションに在住。 - 牧野きみ子:
女優。 - 里見マヤ:
新人女優。
感想
本作は、よくできたミステリー作品だったと思う。
タイトルが「特急「白鳥」六時間〇二分」だったので、列車トリックがメインの作品だと思っていたが、そうではなかった。
確かに、序盤で列車トリックが行われる。だが、この列車トリックは、意表をついたものではなく、十津川警部があっさりと見破ってしまう。
本作の肝は、「アリバイ交換」だったのである。犯人がもう一方の事件の証人になり、もう一方の事件の犯人が別の事件の証人になることで、アリバイ偽証を成立させるという高度なテクニックだ。
かなり複雑怪奇に入り組んだこの事件を、十津川がどう紐解いていくのか?ここが本作の見どころになる。
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