初版発行日 1987年7月30日
発行出版社 光文社
スタイル 長編
私の評価
【POINT】
息子の誘拐犯を刺殺!?亀井刑事が苦境に!!
息子の誘拐犯を刺殺!?亀井刑事が苦境に!!
あらすじ
<現職の刑事、わが子の誘拐犯を刺殺!>十津川警部が片腕と頼む亀井が絶体絶命の窮地に陥った。人気の特急で釧路へ向かう途中に息子を奪われ、犯人の指示でジュースを飲んだ途端、意識不明に。気づけば血まみれのナイフを握っていたのだ。死んだ男女には黒幕がいるのではないか。十津川の孤独な闘いが始まった!
小説の目次
- ハイデッカー車
- 殺人
- 送検
- ピカソの版画
- 北帰行
- 怨念の淵
冒頭の文
一六時〇五分に、千歳空港に着いた。東京から、一時間二十五分の空の旅である。
小説に登場した舞台
- 千歳空港(北海道千歳市)
- 特急「おおぞら」
- 釧路駅(北海道釧路市)
- 帯広駅(北海道帯広市)
- 札幌駅(北海道札幌市北区)
- 羽田空港(東京都大田区)
- 府中刑務所(東京都府中市)
- 成田空港(千葉県成田市)
- 仙台空港(宮城県名取市)
登場人物
警視庁捜査一課
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。犯人の罠にはまり、殺害容疑で北海道警に逮捕される。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。
警察関係者
- 山本:
釧路署の刑事。 - 高木:
釧路署の刑事。 - 佐々木:
北海道警の刑事。 - 三浦:
北海道警の警部。 - 山口:
警視庁書道捜査班の警部。 - 亀井公子:
亀井刑事の妻。 - 亀井健一:
亀井刑事の息子。特急「おおぞら」で何者かに誘拐される。
事件関係者
- 服部明:
35歳。新宿区のマンションに在住。傷害の前科あり。特急「おおぞら」の車内で何者かに刺殺された。 - 坂本陽子:
29歳。服部明の内縁の妻。新宿にあるバー「シルバー」のホステス。帯広の生まれ。特急「おおぞら」の車内で何者かに刺殺された。 - 結城かおり:
翻訳家。六本木のマンションに在住。荒木徹殺害容疑で亀井刑事に逮捕され服役していた女性。出所後、自殺した。 - 結城誠:
結城かおりの兄。渋谷区広尾のマンションに在住。 - 森あや子:
モデル。世田谷区代田のマンションに在住。自宅で死体となって発見された。
その他の登場人物
- 水島徹:
45歳。亀井刑事の親戚。釧路市役所の職員。 - 春野ゆか:
20歳。特急「おおぞら」の車内販売担当。N食堂札幌営業所の所属。 - 山下:
53歳。特急「おおぞら」の車掌長。 - 大西徹:
28歳。大手町にあるK重工の社員。特急「おおぞら」の乗客。 - 原田功:
30歳。傷害で府中刑務所に服役中の男。 - 宮木:
府中刑務所の所員。 - 小柴由美:
Kテレビのアナウンサー。結城誠の友人。 - 中村ヤスコ:
モデル。森あや子の友人。 - 長内:
亀井家の近くにある喫茶店「アバンテ」の店主。元警察官。 - 島崎今日子:
クラブ「リヨン」のホステス。
感想
本作は、亀井刑事の息子・健一が誘拐され、息子を助け出そうとした亀井刑事が、罠にはめられて殺人容疑で逮捕されてしまうという幕開けだった。
これまでも、亀井刑事が罠にはめられて逮捕された事件があったが、今回は狂気を握っていて、目撃証言もあるという徹底ぶり。まさに絶体絶命の危機であった。
亀井刑事を救出するため、真犯人を逮捕するために、十津川班が立ち上がったというのが本作の骨子となる。
真犯人は中盤でほぼ明らかになる。問題は、真犯人の尻尾をつかむこと、亀井刑事の無実を証明することである。
結末をここで明かすのは控えるが、今回は、十津川警部が完全に解決できたわけではない。逮捕もできなかったし、十津川が亀井の捜査を証明できたわけでもなかった。
そういう意味で、十津川は、犯人に完全に勝利することができなかった珍しい事件でもある。
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