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「リゾートしらかみの犯罪」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

リゾートしらかみの犯罪小説

初版発行日 2017年6月16日
発行出版社 光文社
スタイル 長編

私の評価 4.0

POINT】
人気ローカル線・五能線をめぐる難事件。時刻表に隠された空白の時間とは?十津川警部の名推理!
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あらすじ

十津川班の新米刑事・津村の両親が殺された。休暇中だった津村に容疑がかけられるが、彼は五能線で青森の不老ふ死温泉へ旅をしていたという。津村は高校生の頃、不老ふ死温泉で、未解決の殺人事件の目撃者となっていたのだが……。十津川は、観光列車「蜃気楼号」の時刻表に隠された空白をもとに、二つの事件の真相へと迫ってゆく――。

小説の目次

  1. その時、高校生だった
  2. 総選挙の年
  3. 十一年前
  4. 蜃気楼号
  5. 殺人計画
  6. 政変
  7. 旅の終わり

冒頭の文

ゴールデンウィークが終わってすぐの五月十二日の深夜、世田谷区北沢の住宅街で火災が発生した。

小説に登場した舞台

  • 弘前駅(青森県弘前市)
  • 艫作駅(青森県・深浦町)
  • 黄金崎不老ふ死温泉(青森県・深浦町)
  • 快速「リゾートしらかみ」
  • 青森駅(青森県青森市)
  • 秋田駅(秋田県秋田市)
  • 東京駅(東京都千代田区)
  • 東能代駅(秋田県能代市)
  • リゾートしらかみ蜃気楼号
  • 能代駅(秋田県能代市)
  • 深浦駅(青森県・深浦町)
  • あきた白神駅(秋田県・八峰町)

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 津村進:
    28歳。警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。西本刑事の後釜で十津川班に配属された。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

警察関係者

  • 谷田:
    秋田県警の警部。
  • 田島:
    中央新聞社会部の記者。十津川警部の大学時代の同級生。

事件関係者

  • 津村利一郎:
    58歳。津村進の父親。世田谷区北沢に在住。青森県弘前市の生まれ。自宅で絞殺された後に火をつけらて死亡する。
  • 津村千枝子:
    57歳。津村進の母親。青森県弘前市の生まれ。自宅で絞殺された後に火をつけらて死亡する。
  • 小野寺修:
    当時60歳。東京にある小野寺興業の社長。政界の怪物と呼ばれていた。11年前、不老ふ死温泉で死体となって発見された。
  • 小野寺紀子:
    小野寺修の妻。人材派遣会社の社長。
  • 浅野由紀:
    40歳。保守党の代議士。都議会議員。かつて小野寺修の秘書をしていた。世田谷のマンションに在住。あきた白神駅近くで死体となって発見された。
  • 長谷川:
    代議士。
  • 小野寺勉:
    小野寺修の息子。長谷川代議士の秘書。新宿西口のマンションに在住。
  • 古賀貞子:
    55歳。青森市内にある食堂「みちのく」の女将。小野寺修の孫。かつて不老ふ死温泉にある旅館の仲居をしていた。交通事故で死亡する。
  • 加瀬俊太郎:
    代議士。保守党の長老。
  • 小倉真紀:
    40歳。六本木にあるクラブ「まき」のママ。
  • 南村優:
    35歳。六本木にあるクラブ「まき」のバーテン。
  • 片山信一郎:
    代議士。

その他の登場人物

  • 沖山久夫:
    津村家の近所にあるマンションの管理人。
  • 相川弘子:
    50歳。不老ふ死温泉にある旅館の仲居。
  • 皆川昭夫:
    65歳。弁護士。
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印象に残った名言、名表現

(1)不老ふ死温泉。

津村は、裸になると、露天風呂に飛び込んだ。温かさが、彼の身体を包み込む。津村は、満足して、風呂の縁につかまり、暗闇に広がる日本海に眼をやった。

(2)リゾートしらかみ。

「リゾートしらかみ」は、観光列車らしく、三号車では、津軽路じょんがら節ライブが、行われ、男女の演者が津軽三味線を弾き、津軽じょんがらを歌ってくれることになっていた。

感想

本作は、不老ふ死温泉や五能線を舞台にした、ミステリーである。

また、殉職した西本刑事の後釜で、警視庁捜査一課に配属された津村刑事を深堀りする作品でもある。

十津川班の若手エースだった西本刑事。十津川班の登場人物の中でも、十津川警部、亀井刑事についで存在感のあった刑事である。この刑事の後釜になった刑事なので、登場人物の背景や性格を描き、奥行きをもたせるためにも、本作は必要だったと思う。

五能線沿線の温泉や美しい景色が描かれ、往年のトラベルミステリーのそれを十分に堪能できる作品になっている。

また、事件の背景には、郵政民営化や年金基金での株の運用の話など、リアルな内容が盛り込まれ、また、郵政民営化を巡る政治家の攻防も描かれた。

社会派ミステリーとしてもトラベルミステリーとしても、かつての十津川警部シリーズを彷彿とさせる作品であった。

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