初版発行日 2009年6月30日
発行出版社 角川書店
スタイル 短編集
私の評価
5篇を収録したトラベル・ミステリ傑作選!
あらすじ
1.中央線に乗っていた男
鑑識技官・新美格の趣味は、通勤電車で乗客を観察しスケッチすることだった。5年間で500人の顔を描き、それが新聞で取り上げられたこともあって、四谷の画廊でスケッチ展が開催されることになった。同僚の個展開催のお祝いに駆けつけた十津川警部は、画廊で落ち合った新見から妙な女性客が訪れたことを聞かされる。彼女は、新見が今年の冬に描いたスケッチの中年男は、その前年の夏にすでに亡くなっている自分の父親だと主張したという。十津川が死んでいるはずの男の身元を調べ始めると…。
2.遠野の愛と死
遠野の曲り家・千葉家で都内在住のOL・杉本ユカが死体となって発見された。事件の前後、ユカは男に尾行されていたという目撃情報があったが、彼女の恋人は1年前に事故死しておりその後も恋人はいないという。その後、ユカを尾行していたのは私立探偵・木下信太と判明。木下も多摩川の河原で死体となって発見される……。
3.配達するのは死
短編集「四国情死行」に収録。下記を参照↓↓
→「四国情死行」
4.恨みの箱根芦ノ湖
短編集「恨みの三保羽衣伝説」に収録。下記を参照↓↓
→「恨みの三保羽衣伝説」
5.君は機関車を見たか
短編集「大垣行345M列車の殺意」に収録。下記を参照↓↓
→「大垣行345M列車の殺意」
小説に登場した舞台
1.中央線に乗っていた男
- 東京駅(東京都千代田区)
- 郡山駅(福島県郡山市)
- 快速「ばんだい15号」
- 会津若松駅(福島県会津若松市)
- 東山温泉(福島県会津若松市)
2.遠野の愛と死
- 南部曲り家 千葉家(岩手県遠野市)
- 新花巻駅(岩手県花巻市)
- カッパ淵(岩手県花巻市)
- 石上山(岩手県花巻市)
3.配達するのは死
短編集「四国情死行」に収録。下記を参照↓↓
→「四国情死行」
4.恨みの箱根芦ノ湖
短編集「恨みの三保羽衣伝説」に収録。下記を参照↓↓
→「恨みの三保羽衣伝説」
5.君は機関車を見たか
短編集「大垣行345M列車の殺意」に収録。下記を参照↓↓
→「大垣行345M列車の殺意」
登場人物
1.中央線に乗っていた男
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 新見格:
43歳。鑑識の技官。スケッチが趣味、十津川警部の友人。 - 飯沼善治:
53歳。今年の八月、東山温泉にあった土産物店「ひがしやま」の火事で焼死体となって発見されたとされたが、実は生きていた。 - 飯沼良子:
45歳。飯沼善治の妻。今年の八月、東山温泉にあった土産物店「ひがしやま」の火事で焼死体となって発見された。 - 飯沼由美:
飯沼夫妻の娘。新宿にあるカメラ店の事務。杉並区阿佐ヶ谷のマンションに在住。 - 原田勝之:
36歳。コンサルタント。世田谷区成城に在住。阿佐ヶ谷駅近くに停めてあった車の中で死体となって発見された。 - 広田:
会津若松市内にあるR興業の社長。 - 沢木:
東山信用金庫の理事長。 - 千代子:
東山温泉の芸者。 - めだか:
東山温泉の芸者。死体となって発見された。 - 早川あずさ:
クラブのホステス。
2.遠野の愛と死
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三田村功:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 岩下:
岩手県警の警部。 - 杉本ユカ:
25歳。K商事に勤務。世田谷区経堂のマンションに在住。遠野の曲り家・千葉家で死体となって発見された。 - 有田克彦:
29歳。通産省の職員。杉本ユカの恋人。去年の10月、昇仙峡で事故死した。 - 田中:
蒲田駅近くにある田中歯科の医師。 - 木下信太:
31歳。私立探偵。多摩川の河原で死体となって発見された。 - 片柳みや子:
銀座にあるクラブのホステス。石上山で白骨死体となって発見された。 - 原政彦:
32歳。銀座にあるクラブPのスカウトマン。四谷三丁目のマンションに在住。
3.配達するのは死
短編集「四国情死行」に収録。下記を参照↓↓
→「四国情死行」
4.恨みの箱根芦ノ湖
短編集「恨みの三保羽衣伝説」に収録。下記を参照↓↓
→「恨みの三保羽衣伝説」
5.君は機関車を見たか
短編集「大垣行345M列車の殺意」に収録。下記を参照↓↓
→「大垣行345M列車の殺意」
感想
本作は5つの作品を収録した短編集である。
どれも甲乙つけがたい秀作であるが、「遠野の愛と死」は、遠野の風景や観光スポットが旅情たっぷりに描かれたトラベル・ミステリーの王道をいく作品だったと思う。
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