初版発行日 1994年4月5日
発行出版社 講談社
スタイル 短編集
私の評価
4つの難事件に十津川が挑む、傑作短編集!
あらすじ
1.小諸からの甘い殺意
短編集「愛と哀しみの信州」に収録。下記を参照↓↓
→「愛と哀しみの信州」
2.哀しみの北廃止線
元警察官で探偵事務所を開業する橋本のところに、奇妙な依頼が舞い込んだ。廃線となった広尾線幸福駅の切符を買い、駅の壁に絵馬をかけて来て欲しい、というのだ。切符を届けに依頼人の部屋に入った橋本を待っていたのは、飛び散る血痕と、事件を捜査している十津川警部だった!?
3.北の空に殺意が走る
警視庁捜査一課の日下刑事は、自宅マンションの郵便受けに入れられていたアビシニアンの仔猫を飼うことになった。その後、経堂のマンションで殺人事件が発生。被害者はアビシニアンの仔猫を飼っていた。和倉温泉で殺害された新宿にあるクラブのママも、アビシニアンの仔猫を飼っていたことが判明する……。
4.蔵王霧の中の殺人
日下刑事の大学時代の同級生でフリーカメラマンの村田が、蔵王のお釜で撮った写真に不審な点があると日下刑事に相談する。日下刑事は上司の十津川警部を通じて山形県警に捜査依頼をしたが、事件の証拠がないから動けないと言われてしまう。その後、村田が奥多摩で死体となって発見され、蔵王のお釜から女性の水死体が発見される!
小説に登場した舞台
1.小諸からの甘い殺意
短編集「愛と哀しみの信州」に収録。下記を参照↓↓
→「愛と哀しみの信州」
2.哀しみの北廃止線
- とかち帯広空港(北海道帯広市)
- 幸福駅(北海道帯広市)
- 十勝川温泉(北海道・音更町)
- 羽田空港(東京都大田区)
- 帯広駅(北海道帯広市)
3.北の空に殺意が走る
- 富山きときと空港(富山県富山市)
- 和倉温泉(石川県七尾市)
4.蔵王霧の中の殺人
- 蔵王のお釜(宮城県・蔵王町&川崎町)
- 山形駅(山形県山形市)
- 成田空港(千葉県成田市)
登場人物
1.小諸からの甘い殺意
短編集「愛と哀しみの信州」に収録。下記を参照↓↓
→「愛と哀しみの信州」
2.哀しみの北廃止線
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 三浦:
帯広署刑事一課の警部。 - 橋本豊:
私立探偵。元警視庁捜査一課の刑事で、十津川警部の元部下。 - 広田幸子:
帯広出身。以前、北国建設の社長秘書をしていた。三井由紀子の名前を名乗り、橋本豊に「幸福駅のきっぷを買って、駅の壁に絵馬をかけてほしい」と依頼した女性。 - 合田信之:
北国建設の社長。 - 加東敬介:
31歳。中村法律事務所につとめていた弁護士。2年前、合田信之を刺して怪我を負わせた罪で服役していたが出所した。 - 中村:
中村法律事務所の所長弁護士。
3.北の空に殺意が走る
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下刑事:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 北条早苗:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 森けい子:
28歳。コンパニオン。経堂駅近くのマンションに在住。自宅で死体となって発見された。 - 大西友一郎:
新宿にあるレストランのオーナー。森けい子のパトロン。 - 黒川敬:
26歳。タレント。元プロ野球選手。森けい子の恋人。 - 手塚:
和倉温泉Kホテルの支配人。 - 吉井みゆき:
52歳。新宿にあるクラブのママ。和倉温泉に宿泊中、近くの海岸で死体となって発見された。 - 日高:
石川県警の警部。 - 小川愛子:
60歳。吉井みゆきのお店の手伝いをしていた女性。阿佐ヶ谷のマンションに在住。 - 竹下:
吉井みゆきの顧問弁護士。 - 安田:
ネコ博士。 - 町田要:
42歳。元暴力団員。
4.蔵王霧の中の殺人
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 日下刑事:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 本多時孝:
警視庁捜査一課長。十津川警部の上司。 - 三上刑事部長:
刑事部長。十津川警部の上司。 - 村田:
フリーカメラマン。日下刑事の大学時代の同級生。大塚のマンションに在住。奥多摩の渓流で死体となって発見された。 - 安田かおり:
25歳。銀座にあるクラブ「艶」のママ。世田谷区松原のマンションに在住。山形県出身。 - 川本祐子:
25歳。中野駅前にある吉井法律事務所の社員。中野区本町のマンションに在住。安田かおりの高校時代の同級生。蔵王のお釜で水死体となって発見された。 - 吉井:
中野駅前にある法律事務所の所長。 - 吉岡:
新宿2丁目にある料理店のオーナー。山形県出身。 - 小野田:
週刊Pの編集長。
印象に残った名言、名表現
なし。
感想
本作は、長野県の小諸、北海道の帯広、石川県の和倉温泉、山形県の蔵王を舞台とした、4つの短編が収録されている。
いずれも、舞台の情景描写がすぐれたトラベルミステリーであり、読み応えもある。3作目の「北の空に殺意が走る」、4作目の「蔵王霧の中の殺人」では、いずれも、日下刑事の友人やプライベートが登場しており、長編では見られない、日下刑事の一面を見ることが出来る。
最後に、西村京太郎先生のことばを紹介しておく。
トラベルミステリィを書いていると、当然さまざまな列車に乗る。単線が、複線になり、気動車が、電化されて電車が走るようになって行く場合もあれば、逆に、赤字がかさんで、廃止されてしまう線もある。廃止される線は、人口の少い、辺鄙な場所を走るものが多い。行ってみると、そういう所ほど、自然が豊かで、景色が素晴らしいことが多い。駅が消え、赤さびた線路が、雑草に隠れていくのを見ると、自然に帰っていくような気がしなくもない。
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