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十津川警部「四国お遍路殺人ゲーム」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

四国お遍路殺人ゲーム小説

初版発行日 2008年3月10日
発行出版社 集英社
スタイル 長編

POINT】
徳島県内の八十八ヶ所巡りのお寺が次々に登場。事件にまつわる謎、登場人物たちの人間関係、意外な真実、スカッとする結末、旅情。すべてがピタッとはまる傑作ミステリー!
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あらすじ

東京・深大寺でテレビ番組のディレクター井上美奈子がお遍路姿の絞殺体で発見された。彼女が企画した”お遍路ゲーム”収録目前の出来事だった。翌日、捜査本部に「四国八十八ヶ所巡りの途中で人が殺される」という謎の電話が!急遽、徳島に飛んだ十津川警部はお遍路姿に変装し、番組収録を見守る。が、新たな殺人事件が発生し、事件は予想外の展開を見せ始めた!?

小説の目次

  1. 同行二人
  2. 予告電話
  3. 遍路ころがし
  4. 動機の解明
  5. 若い遍路の女
  6. 射撃の腕
  7. ゲームの勝者

小説に登場した舞台

  • 深大寺(東京都調布市)
  • 徳島阿波おどり空港(徳島県・松茂町)
  • 霊山寺(徳島県鳴門市)
  • 極楽寺(徳島県鳴門市)
  • 金泉寺(徳島県・板野町)
  • 大日寺(徳島県徳島市)
  • 地蔵寺(徳島県・板野町)
  • 安楽寺(徳島県・板野町)
  • 十楽寺(徳島県阿波市)
  • 熊谷寺(徳島県阿波市)
  • 法輪寺(徳島県阿波市)
  • 切幡寺(徳島県阿波市)
  • 藤井寺(徳島県吉野川市)
  • 焼山寺(徳島県・神山町)
  • 平等寺(徳島県阿南市)
  • 太龍寺(徳島県阿南市)
  • 鶴林寺(徳島県・勝浦町)
  • 立江寺(徳島県小松島市)
  • 恩山寺(徳島県小松島市)
  • 薬王寺(徳島県・美波町)

登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 北条早苗:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三田村功:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

徳島県警

  • 増田:
    徳島警察署の警部。
  • 岡本:
    徳島警察署の本部長。

事件関係者

  • 井上美奈子:
     30歳。中央プロダクションのディレクター。深大寺の参道で死体として発見される。
  • 青木:
    中央プロダクションの広報部長。
  • 近藤定良:
    中央プロダクションの社長。50歳。
  • 木田昭:
    48歳。中央プロダクションのディレクター。
  • 木村亜矢子:
    20歳。学生。
  • 斎藤亜希子:
    お遍路ゲームに参加したA子。40歳。主婦。
  • 小暮昌江:
    お遍路ゲームに参加したB子。40歳。主婦。
  • 太田黒淳一:
    M・エレクトロニックスの社長。52歳。
  • 小池:
    M・エレクトロニックスの社長。52歳。
  • 北川治子:
    58歳。M・エレクトロニックスの大株主。
  • 渡辺伍郎:
    M・エレクトロニックスの秘書。35歳。

その他の登場人物

  • 狩野あかり:
    25歳。中央プロダクションの社員。
  • 小沼敬太郎:
    50歳。中央プロダクションのプロデューサー。
  • 佐野清美:
    32歳。中央プロダクションのディレクター。
  • 新井:
    中央プロダクションのスタッフ。
  • 飯田:
    中央プロダクションのディレクター。
  • 松本栄子:
    北川治子のお手伝い。

印象に残った名言、名表現

(1)四国八十八ヶ所の第一札所、霊山寺のお遍路グッズ売り場にて。

まず、金剛杖、それから、白衣、同行二人と書かれた菅笠、ロウソクや線香の入った小型のバッグ、各札所で、参拝したという証拠に、墨書や朱印を、押してもらう納経帳、数珠、さらには、お経を書いた、経本などがあり、どれにも、ちゃんと、値段がついているのが、楽しかった。

(2)自白に追い込む十津川警部の高等テクニック。

「知らなかったといっても、これから、捜査が進んでいくと、あなたは、殺人の共犯者ということに、なるかも知れない。話すなら、今ですよ。今なら、あなたは何とか、罪に、問われなくて済む」

総評

本作は、数ある十津川警部シリーズの中でも、上位に入る面白さだったと、個人的に思っている。

その理由は2つ。

1つ目は、旅行エッセイの要素が満載であること。

徳島県内限定だが、四国八十八ヶ所めぐりに登場するお寺がたくさん登場する。お寺の風景や歴史、内部の様子も詳細に描かれているのである。捜査のためとはいえ、十津川警部や亀井刑事もこのお遍路の道を歩き、お寺をめぐり、疲れたら一休みする。食事もする。

十津川警部といっしょに四国お遍路を追体験できるのだ。これだけでも十分楽しい。

2つ目は、ミステリーとしての完成度の高さ。

”意外な展開”をむかえるミステリーの真骨頂が見事にはまる。すごくキレイ。殺人の動機も納得性がある。あぁ、そりゃ事件が起きるよねぇ。と腑に落ちる。謎の登場人物が多くて、最初は混乱するけれど、最後に全容がわかると、その人間関係がスッキリする。勧善懲悪のスカっと感もある。

十津川警部シリーズといえば、「駅シリーズ」が人気だけど、この「四国お遍路殺人ゲーム」も駅シリーズと同等のクオリティがある。

また、四国お遍路を題材にした作品は、2005年刊行の「青い国から来た殺人者」、2008年刊行の「鳴門の愛と死」もある。

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