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「明日香・幻想の殺人」感想レビュー。あらすじ、舞台、登場人物

明日香・幻想の殺人小説

初版発行日 2003年5月31日
発行出版社 徳間書店
スタイル 長編

私の評価 4.0

POINT】
十津川警部、古代史の闇に迫る名推理。
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あらすじ

奈良県明日香村・高松塚古墳の傍で、古代貴人の衣装をまとった絞殺こうさつ死体が発見された。被害者は資産家の小池恵介と判明。彼の口座から三十億円が引き出されていたのだ。十津川と亀井が小池の秘書兼愛人を訪ねるが彼女も失踪し……!?

小説の目次

  1. 幻想の明日香
  2. 明日香の歌
  3. 明日香の旅
  4. 新生明日香の会
  5. 王家の谷
  6. 挑発
  7. 幻想の終わり

冒頭の文

小池恵之介は、古稀を迎えた。

小説に登場した舞台

  • 高松塚古墳(奈良県・明日香村)
  • 橿原神宮前駅(奈良県橿原市)
  • 孝元天皇 劔池嶋上陵(奈良県橿原市)
  • 甘樫丘(奈良県・明日香村)
  • 雷丘(奈良県・明日香村)
  • 飛鳥寺(奈良県・明日香村)
  • 石舞台古墳(奈良県・明日香村)
  • 鬼の俎・鬼の雪隠(奈良県・明日香村)
  • 益田岩船(奈良県橿原市)
  • 談山神社(奈良県桜井市)
  • 多武峰観光ホテル(奈良県桜井市)
  • 蘇我入鹿首塚(奈良県・明日香村)
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登場人物

警視庁捜査一課

  • 十津川省三:
    警視庁捜査一課の警部。主人公。
  • 亀井定雄:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。
  • 西本明:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 日下淳一:
    警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。
  • 三上刑事部長:
    刑事部長。十津川警部の上司。

奈良県警

  • 吉田:
    奈良県警捜査一課の警部。
  • 青木:
    奈良県警捜査一課の刑事。

事件関係者

  • 小池恵之介:
    71歳。都内に15店舗あるイタリア料理チェーン「イル・コイケ」のオーナー。社長の座を息子に譲り隠居した。散歩したまま行方不明になった。その後、高松塚古墳で死体となって発見された。
  • 小池文彦:
    46歳。小池恵之介の息子。「イル・コイケ」の社長。
  • 早川亜矢子:
    41歳。小池恵之介の秘書で恋人。外苑近くのマンションに在住。行方不明になる。
  • 氏家千代子:
    43歳。ファッションコンサルタント。月島のマンションに在住。銀座の地下駐車場に停めてあった早川亜矢子の車の中で死体となって発見された。
  • 滝口美作:
    小池恵之介が身につけていた古代貴人の衣装をABC工房に注文した男。
  • 浅井三郎:
    劇団「あすか」の主催者。
  • 辻村信介:
    35歳。劇団「あすか」の役者。藤原鎌足役を演じた。蘇我入鹿首塚で死体の首が発見された。
  • 田宮利光:
    70歳。「新生明日香の会」の会長。

その他の登場人物

  • 小池あやか:
    小池文彦の妻。
  • 有沢:
    銀座四丁目に事務所のある「有沢法律事務所」の所長弁護士。「イル・コイケ」と契約している。
  • 小田:
    小田会計事務所の所長。
  • 広瀬久子:
    小田会計事務所の所員。
  • 宮本真由美:
    39歳。世田谷区太子堂にある「ABC工房」の社長。
  • 角田:
    明日香観光協会の会長。
  • 久保山:
    劇団「あすか」の役者。蘇我入鹿役を演じた。
  • 坂田千仁:
    「藤原鎌足公顕彰会」の理事。

印象に残った名言、名表現

(1)額田王の歌。

あかねさす 紫野むらさきの行き 標野しめの行き 野守のもりは見ずや 君がそで振る

(2)壬申の乱に勝った天武天皇をたたえる歌。

大君は神にしませば水鳥のすだく水沼を皇都となしつ

(3)剣池の淵に掲示されている万葉集の一句。

かるの池の浦廻うらみ行きる鴨すらに

玉藻たまものうへに獨り宿なくに

(4)甘樫丘から見える風景。

なるほど、南には刈り入れの終った田畑が広がり、その中に明日香の集落が見え、北には畝傍山、耳成山、天香久山の大和三山が並んでいる。

感想

本作は、藤原鎌足や蘇我入鹿らが活躍した、飛鳥時代がテーマで、奈良県が舞台になっている。

今回の事件の捜査のために、十津川警部と亀井刑事が、奈良県にある飛鳥時代の遺跡や古墳をめぐり、飛鳥時代の話を聞いたりしながら、歴史を学んでいくスタイルになっている。

そのため、読者もミステリーを読みながら、飛鳥時代の歴史を学べる、一石二鳥の作品である。しかも、古代ロマンたっぷりに説明されているのが面白い。

日本の歴史といえば、戦国時代や幕末明治維新の時代が人気であり、大河ドラマなどを通じて、この時代の知識をもっている人は多い。

だが、飛鳥時代については、歴史の教科書で学んだ以外、ほとんど知らない人が多いのではないだろうか。本作は、楽しみながら、日本人としての教養を深めることができる作品でもある。

もちろん、ミステリーもしっかりしており、二転三転するストーリーも楽しめる。

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