初版発行日 2003年9月25日
発行出版社 実業之日本社
スタイル 短編集
私の評価
北海道を舞台にした珠玉のミステリー5選!!
あらすじ
1.殺意の「函館本線」
定年退職した警視庁の名物刑事川島が、八か月後函館本線の線路際で死体となって発見された。首に絞められた痕があり函館警察署は殺人事件として捜査を開始した。十津川の調べで川島は自分が在職中に手掛けた殺人事件の再調査をしていた事が判明した。川島が逮捕した殺人犯は獄死していたが、生前川島に冤罪を訴えた手紙を出していた。その事件の真犯人が川島を殺したに間違いない。十津川は重要容疑者を捜し出したが、彼には強固なアリバイが……。
2.北の果ての殺意
短編集「幻想と死の信越本線」に収録。下記を参照↓↓
→「幻想と死の信越本線」
3.哀しみの北廃止線
短編集「哀しみの北廃止線」に収録。下記を参照↓↓
→「哀しみの北廃止線」
4.愛と裏切りの石北本線
ルポライターの片桐収は、車に時限爆弾をしかけられ、首都高速で爆発して死亡した。片桐が死ぬ直前、近くにいた井上に一枚の写真を渡したが、その写真は野原が写っていた写真だった。十津川警部は片桐の恋人の仁科ゆり子が何か知っていると睨み、日下刑事と清水刑事にゆり子を尾行させ、北海道に向かったが、ゆり子が乗っていた特急「オホーツク3号」で新たな殺人事件が発生する。
5.最果てのブルートレイン
「私を助けて!」稚内行きの下り急行「天北」の車中で、隣席の若い女性が矢代に救いを求めてきた。突然女は別の車両へ。そしてなんと女は上りの「天北」で殺されていた。莫大な遺産を相続したまま……。さらに、殺人事件の真相を追う矢代はまた、警視庁十津川警部に追われる身でもあったのだ!?
小説に登場した舞台
1.殺意の「函館本線」
- 羽田空港(東京都大田区)
- 千歳空港(北海道千歳市)
- 特急「北斗6号」
- 函館駅(北海道函館市)
- 特急「おおとり」
- 渡島大野駅(現・新函館北斗駅)(北海道北斗市)
- 仁山駅(北海道・七飯町)
2.北の果ての殺意
短編集「幻想と死の信越本線」に収録。下記を参照↓↓
→「幻想と死の信越本線」
3.哀しみの北廃止線
短編集「哀しみの北廃止線」に収録。下記を参照↓↓
→「哀しみの北廃止線」
4.愛と裏切りの石北本線
- 羽田空港(東京都大田区)
- 札幌駅(北海道札幌市北区)
- 特急「オホーツク3号」
- 旭川駅(北海道旭川市)
- 上川駅(北海道・上川町)
- 丸瀬布駅(北海道・遠軽町)
- 千歳空港(北海道千歳市)
- 北海道庁(北海道札幌市中央区)
- 遠軽駅(北海道・遠軽町)
- 中越駅(現・中越信号場)(北海道・上川町)
5.最果てのブルートレイン
- 札幌駅(北海道札幌市北区)
- 急行「天北」
- 塩狩峠(北海道・比布町&和寒町)
- 和寒駅(北海道・和寒町)
- 名寄駅(北海道名寄市)
- 美深駅(北海道・美深町)
- 音威子府駅(北海道・音威子府村)
- 稚内駅(北海道稚内市)
- 羽田空港(東京都大田区)
- 稚内空港(北海道稚内市)
- 急行「宗谷」
- 豊富温泉(北海道・豊富町)
- サロベツ原野(北海道・豊富町&幌延町)
- 稚咲内海岸(北海道・豊富町)
登場人物
1.殺意の「函館本線」
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 十津川直子:
十津川警部の妻。 - 川島正:
定年退職した元警視庁捜査一課の刑事。函館本線渡島大野駅近くの線路脇で死体となって発見された。 - 川島君子:
川島正の妻。 - 川島由香利:
川島正の娘。 - 山口:
函館署の署長。 - 高井涼一:
29歳。川島正に井上由美子殺害で逮捕され府中刑務所に服役中の男。井上由美子と交際していた。今年の八月に獄中死した。 - 井上由美子:
25歳。サラリーローン会社「アサヒ」の事務員。去年の4月に殺害された。 - 田畑孝:
40歳。サラリーローン会社「アサヒ」の営業部長。井上由美子と交際していた。 - 松下:
特急「おおとり」の車掌。
2.北の果ての殺意
短編集「幻想と死の信越本線」に収録。下記を参照↓↓
→「幻想と死の信越本線」
3.哀しみの北廃止線
短編集「哀しみの北廃止線」に収録。下記を参照↓↓
→「哀しみの北廃止線」
4.愛と裏切りの石北本線
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 西本明:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 日下淳一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 清水新一:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の部下。 - 井上:
経営コンサルタント。 - 片桐収:
35歳。ルポライター。中野のマンションに在住。車に時限爆弾をしかけられ首都高速で爆発して死亡した。 - 仁科ゆり子:
片桐収の恋人。阿佐ヶ谷のマンションに在住。 - 白石哲雄:
25歳。大手電器メーカー旭川支所の総務部管理課に勤務。特急「オホーツク3号」の車内で何者かに刺殺された。 - 皆川:
遠軽警察署の刑事。 - 本田:
北海道庁環境保全課の職員。 - 仁科東一郎:
52歳。中央物商の社長。N大学の教授。 - 仁科京次郎:
仁科東一郎の弟。仁科ゆり子の父親。 - 太田:
遠軽町にある太田建設の社長。
5.最果てのブルートレイン
- 十津川省三:
警視庁捜査一課の警部。主人公。 - 亀井定雄:
警視庁捜査一課の刑事。十津川警部の相棒。 - 田口徹:
21歳。S大学に通う大学四年生。自宅近くで車にはねられて死亡した。 - 矢代京子:
25歳。今年の8月に田口徹の運転する車にはねられて死亡した。 - 矢代要:
矢代京子の夫。新宿にある雑貨店の店主。 - 川口:
北海道警の刑事。 - 遠藤マリ:
26歳。札幌市内に住むOL。急行「天北」の車内で死体となって発見された。 - 上村:
稚内署の署長。 - 青木信一郎:
29歳。札幌に在住。名寄市の山の麓で死体となって発見された。 - 赤木卓郎:
稚内にある喫茶店「レッドツリー」を兄妹で営む。 - 赤木かおり:
赤木卓郎の妹。
感想
本作は、北海道を舞台にした5つの作品が収録された短編集である。いずれも、大自然の美しさが描かれ、犯人や被害者たちの愛憎を描いた作品であった。
十津川警部シリーズは、全国津々浦々を舞台にした作品を描いているが、北海道を舞台にした作品は、良作が多い。
それはなぜか?
その答えは、西村京太郎先生が以前、北海道を舞台にしたミステリーについて語った言葉にあると思う。
これまでにも、何作か、北海道を舞台にしたミステリーを書いて来て、なお、あきることがないのは、この土地の持っている荒々しさ、美しさ、広さなどのせいだろう。つまり、何が起きても、おかしくない、無限の可能性を秘めた土地だということでる。
西村京太郎作品と北の大地は、よく馴染むのである。
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